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自分軸の作り方#55「思いやりコミュニケーション」相手の心を想像する。

 NVC(思いやりコミュニケーション)のセミナーで学んだ大切なことを、今日は書いてみたい。


私はもともと、思いやりがあるとは言い難い人間である。


就職して実家から離れ一人暮らしを始めたときに
私はアパートの二階に住んでいて、一階には男性が住んでいた。

見た目はまあまあ素敵だけど、家賃の安い木造のアパートだった。

普通、二階の住人の生活音に悩むのは一階の住人だと思うのだけれど、
その当時、一階の住人は
二階までドスドス足音を響かせ
さらに目覚ましがわりに 早朝に大音量で音楽をかける人だった。

そのころ、夜勤もあり、睡眠時間がとても大切だった私は
あまりにもうるさくて、直接ドアをたたき、音量を下げてほしいとお願いしたこともあるし管理会社にクレームの電話をしたこともある。

それでもなお、うるさい時があり、

怒りがこみ上げた私は自分のベッドから 高らかにジャンプして
床にドシーンと着地し
騒音に強い不快感を持っていることを、
階下の住人にアピールしていた。


そんな、怖いもの知らずの20代女子だった。


NVCでは、「自分の心に寄り添う」方法を、まず学ぶ。
自分の心の奥底にある「感情」と「ニーズ」を
見つめる作業なくして、目の前の相手を思いやることができないからだ。


一般的に 聞きたくもない大音量の音楽を、眠い時に聴かされると

「なんて非常識な人!!」と腹が立つものだと思う。

NVCでは、そのようなときに、
もう一段掘り下げて自分の「感情」と「ニーズ」を見つめる。


なんて非常識な人!!」は、感情ではなく、判断・評価(ジャッジ)なのである。
「二階の住人に丸聞こえなほど、大きな音を早朝に立てるべきではない」という、ジャッジ。

早朝に大音量で音楽をかける階下の住人に対して腹を立てるのは、なぜなのかを考えると

眠いのに眠れないから、欲求不満になる。
こちらの辛さをわかってもらえないから、不愉快になる。
何度か伝えたのに、こちらの大変さをわかってもらえないので
怒りがこみ上げる。
眠れないと仕事に支障があるから、不安にもなる。

太字で書いてあることは、「感情」だ。

そして、自分の満たされないニーズ
「休息/睡眠」
「理解してもらう」
「誠実であること」「時間・余裕」
だったかな、と思っている。


自分のニーズを理解して、「ああ、わたしは、眠れないから不満で不安なんだ。理解してもらうこと、時間・余裕が大事なんだ」と知って、「睡眠をじゅうぶん取りたいよね」「下の人に、夜勤でつらいことを理解してほしいよね」と自分に寄り添うと、
相手への不満でいっぱいになっている自分の心に少しだけスペースができる。
そのスペースは、「相手への思いやり」の気持ちが入り込むことができる
第一歩になる。

(ちなみに、その足音と目覚ましの音がうるさい一階の住人は、私のアピールが伝わったのか、知らぬ間に転居していって、私には平和な日々が訪れた。)



さて、他人が出す「大音量」。
それは許しがたい行為なのだけれど、


もしも、相手を思いやるとしたら、の話をしよう。


「思いやり」と「大音量」で思い出したのは、あだち充の漫画「タッチ」で
主人公の兄・かっちゃんが事故で亡くなって

主人公・たっちゃんが自分の部屋に戻ったときのシーンだ。


ベッドに顔をうずめて 

大音量の音楽を流す、たっちゃん。
高架下では、電車の音が響く中、
南ちゃんの泣き顔だけが描写されていた。




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この、たっちゃんの大音量を責められる人は、だれもいないと思う。



思いやりコミュニケーションとは、想像力だ。

自分の感情とニーズをみつめることができるようになると、
他人の感情とニーズを、想像する余裕が少しだけ、できる。

「音楽は、人に迷惑をかけないように楽しむべき
「大音量で外まで聞こえる音を鳴らすなんて、非常識な人間のやることだ」と、一刀両断、怒りに満ちたジャッジをする前に

その人は、もしかして
そうでもしないとやりきれないほどの
辛さや 痛みを抱えている人なのかもしれない。と
相手の思いを想像して、思いやる心のスペースを持つことができたら

自分の心の中は、そしてこの世の中は 
今より少しだけ、平和になるんじゃないのかな。

そんなふうに思うので、
わたしはNVCを学んでいるし、人にも伝えたいと思っている。

そして、誰かの心を思いやることができ、
自分のニーズをも無視しないで、自分のことも同じように思いやることができる人が
「自分軸で生きている人」だと思っていて、

私は自分軸をしっかり持った人になることを目指して、生きている。


ああ。久しぶりに、「タッチ」読みたくなっちゃったな。



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