その男、ヒュッテンブレンナー
金融業を営む貴族の家系に生まれ、オーストリアの継承問題から勃発した戦争に際して、女帝マリア・テレジアのもとにイギリスからの軍資金をもたらし、戦後のマリア・テレジア政下で貨幣の鋳造を任されて、その利益の3分の1の保有を許され、製糸工業と縫製工場を創設し、オーストリアにはじめてブラウアーポルトギーザーのワインをもたらし、マリア・テレジア通貨の長期かつ広範囲な流通による莫大な富も相まって、当時のもっとも裕福な人の一人に数えられたヨハン・フォン・フリース。その末息子であるモーリッツ・