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中庸でいて纏まり過ぎないエスプリ 過去日記2016


某日


彼はお仕事へ
曇っていて昼間は肌寒い
でも関西は今年一番の暑さらしく
京都では30度を越えたらしい
昼過ぎにスーファミ届く
今度は無事に使えるといいなと
願いながら
写真に撮り
LINEで報告する

ホリーガーデンを読みだす
果歩は木村文乃がいいかと想像する
ふわふわした雰囲気がハマりそう
静江はまだイメージが湧かないが
ロングヘアでハッキリした性格っぽい
最近、夏帆がいいと思う
そういえば江國香織のドラマに
前に出ていた



タラモサラダを作り
ポークジンジャーと大根の味噌汁


彼は早速
ドラクエをしている彼の母さまはパチンコをするらしい
ちょっと意外

ゲーム音を聴いていると
こういうのを聴いていた世代が
ヒャダインの音楽を好きになったりするのかと
時代背景を考える
純はどうもゲームには興味がない
でも
簡単なベースボールのくじは
したりする
当たったことは一度も、ない



朝方、なんだか植物の気にあてられたような夢を見た
植物の吐き出すエネルギーのようなものが少女の姿に権化されて
攻撃してくる
半分寝ぼけながら
人と人がなんだか反りが合わないのは気の合う合わないだとか
彼に説明すると
純ちゃんは河合隼雄みたいな事言ってと
言っていた


人間関係だけでなく
食べ物とか住まいとか
そういうものの取り合わせには
すべて
そういう、それらが発するものの
合う、合わないがあるのだと思う
それらが合わないと
互いになんだか居心地が良くない
そういうもので
どちらかが悪いとか
そういうもんではないのだと



多分
それが簡単に言うと
相性というものなのだろう


静けさ穏やかさ、
中庸でいても、それに纏まり過ぎないエスプリ、
機知と自由
そういうものを純は愛する



某日


風が強いのは、もう飽きたから
早く初夏になればいいのに
ハードオフに彼が
壊れたスーファミを返品しに行く
二百円が返金された


久しぶりのステラタウン
前回行った時は、ひっそりしていたが
今日は割と賑わっていた
ブックオフが中々見つからない
別館のような建物があり
本だけでなく服やら家電やら
色々なものに溢れていた
土呂へ繰り出しただけでも
こんなに疲れていては
遠出など出来ないな
困ったものだ

でも疲弊の半分は強風の所為ということにしておこう
人生を諦めてしまう勇気はまだ
とっておきたい


帰宅してタンメンを食べる
たらこのおにぎりと甘い玉子焼きも
彼はドラクエにより
睡眠過多を逃れられている
いいことだ


純はホリーガーデンの続き
果歩は中野に癒されている
いっそ
こういう形の愛も良いのではと思うのだが
過去の恋人が亡霊のように
記憶の中に籠城している

よく、いい人はどうでもいい人、
などと揶揄されるが
中野をそうしてしまうには勿体無い気がする
中野は女の我儘をむしろ
肯定してくれているし、発っしても
受け流される下らない冗談さえ
優しさのかたまりのようにも思えるのだが



風の音は日付が変わる時間までも
聞こえている


中野は菅田将暉、でもいいな
いや大賀の方がいいかな
菅田将暉は色っぽ過ぎるかも知れない


某日

起きたら、まだお腹がどんよりと痛かった
けれども、また冷やし中華は
食べたいと思ってる

風はだいぶましになったけど
そういう訳でおうちにいた
ブランデーをいれた親子丼を
作った
鳥肉は炒めてから煮る
少しの手間でも大切


彼はドラクエ
ぽぽんたは相変わらず一列に
並んでちょこちょこして可愛い


夜にひとりでドンキへ行く
果物が食べたい
メロンやバナナ、苺も買う
メロンが甘くて美味しかった

彼にミニトマトの
湯むきをしてもらった
冷蔵庫を開けると高原のように
ピクルスのある絵がひろがる


ぬるい眠りを読む
ケイトウの赤、やなぎの緑
aikoの歌を思い出す
雲は白リンゴは赤
aikoも江國香織を読んだのでは
ないかと思う
さながら、冷蔵庫のピクルスは
きゅうりの緑トマトの赤



心はまだホリーガーデンを
時々往き来している
中野の好きな豚の角煮
果歩の赤いデニムのトート
鳥肉とネギの生姜煮
小説を読んでいると料理が
したくなってくる



和室のソファで二回も画鋲を
踏んでしまった事を思い出したら
涙が出てきた
ぐしゅん、ぐしゅんと涙が溢れた
滑り台で擦りむいた傷も
まだ痛む
痛むのだけれど、なんだか
少しだけしあわせなことだと思う


彼はベッドの端で
落っことさないでーとくりくり
していた
彼といると
はしゃぎ過ぎてしまう
子供の頃の遠足みたい



カモミールティーと
ブランデー入り親子丼の休日

楽しいゴールデンウィークをありがとう


某日


ベッドの上で目を瞑っていると
いつの間にか寝てしまうものだな
夕方降り出した雨にも気がつかなかった
プルキニエ現象について調べる
夕暮れの青もいいけど
夜明けの碧もいい


彼が図書館の本を3冊借りてきてくれた
ダイニングのシャンデリアの
電球が切れた

LED電球だと
虫がこないとか言ってたような


江國香織は真昼のセックスが好き
というシーンがよく出てくる
それと同じように豆ごはんが好きだとか書いてるのは
殆ど本人の嗜好のよう


彼の指は細くてきれい

純は時々
何かを落っことしても
そのままにしているのだけど
彼が
それらを片したり拾うことは
先ずない


そういう指先の繊細さとは
無縁のアバウトさも
また
彼らしいと思うのだった


某日

目が覚めたら2時半でびっくり
バナナサンドとベーコンチーズサンド


彼と近所の公園
思ってたより、かなり広かった
公園のまわりを少し散策する
緑がきれい


散歩中のマルチーズみたいな白い犬と遊ぶ
ピンクのゴムボールみたいなのを
投げてやる
犬はピンクの髪留めを耳につけている

滑り台はまだ子供たちが遊んでいたので
純だけ滑った
ローラー式になってるので
その気を出したらスピードが出そう
彼が自販機で十六茶を
買ってくれた
帰宅してゴマだれの冷やし中華



薔薇の木枇杷の木檸檬の木を
読む
苺をつぶしたドーナツを焼く



それにしても
今日はよく眠ったようだ
香川照之のドラマは一話完結だから見やすい



101はやっと誰かが入居してきた
犬の絵の布が出窓にかかっていた


某日


彼がお腹をこわした
血の気が引いて青ざめた顔をしていた
それでも帰ってきてから
もう冷やし中華食べたくない?
と訊くと首をふった


温めていたシチューを見て
「シチューだ!」と言った
ドラクエはレベル41まであがった
ようだ

純は夜中の三時半頃まで
薔薇の木枇杷の木檸檬の木を読む
あとがきの途中で瞼がどんより
重くなった


雨は結構降った
テラス側と寝室側では聞こえてくる

彼にネクタイを洗えるかと訊かれ
大丈夫だよと意気揚々と答えたが
夜、和室に行くと裾がほつれて
無残なそれが干されてあった
干す時には気がつかなかった
ネクタイよ
ご愁傷様



彼は家にいると
ドラクエ天国なので
せめて通勤途中に本が読めますように


読書を海に潜ることに喩えた話をしたのだが
少なくとも
共に砂浜で潮風に吹かれるくらいの日常が自然であればいいと思う
海のそばで暮らすことは憧れだが
しばらくは
本の世界を漂うという至福は
味わえるのだから



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