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パレスチナ刺繍を着物の帯に加工したわけ/山本真希さんに聞く

中東パレスチナの伝統的な刺繍の美しさにひかれ、それを着物の帯として商品化した人がいる。株式会社ICEJ代表取締役を務める山本真希さんだ。1月25日、東京・荻窪の中東ワインショップ「エインシャント・ワールド」地下ギャラリーで開かれた1日カフェ「カフェバグダッド」で、山本さんに、プロジェクトの意義や目指すことなどを聞いた。聞き手は、カフェバグダッド店主(以下、CBと表記)。参加者の10数人は中東で一般的なトルコ・コーヒーを飲みながら山本さんの話に聞き入った。

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飛行機に乗るときは洋服

【CB】山本さん、どうもお疲れさまでした。
【山本】ありがとうございます。
【CB】昨日お帰りになったんですか?
【山本】昨日イスラエル・パレスチナから帰ってきました。すみません、ちょっと、ウコン茶飲みながらですけど、別に二日酔いとかではありません。ちょっと風邪気味なので、なんとなく。
【CB】時差ボケはないんですか?
【山本】時差ボケ、今回はそんなにないですね。実は10日間しかいなかったので。元々、時間をできるだけ日本時間寄せに生活するようにしていたので。
【CB】10日間?
【山本】だと短いですね。
【CB】短いほうなんですね。どういう経由地を通って、いつもパレスチナに行かれてるんですか? いつもっていうか、今回の場合。
【山本】そうですね。いくつかパターンがあるんですけど、私は今回キャセイパシフィックで、成田、香港、香港、テルアビブと。
【CB】香港・テルアビブ間もキャセイ航空ですか?
【山本】キャセイです。結構、中国系の方が多いので。
【CB】中国系の方は、ビジネスとか? 観光ですか?
【山本】観光と、あとビジネスだと思いますね。ビジネスの方も多いですね。
【CB】キャセイで、中国人の方がテルアビブに?
【山本】はい。とても多いですよ。
【CB】いつも、(イスラエル最大の商業都市)テルアビブの「ベングリオン空港」を使うんですか?
【山本】そうですね、ベングリオンを使っていますね。


【CB】いつもそういう話、散々聞かれているかもしれないですけど、和服で(パレスチナに)行かれてますよね? だいたいいつも。あ、飛行機の時は違う?
【山本】さすがに飛行機は(笑)。私は飛行機は洋服なんですが、私のお友達の料亭の女将さんとかは、飛行機も和服っていう方、結構います。
【CB】ベングリオン空港で和服で入国すると、何か違うことがありますか?
【山本】ちょっとやってみたいですね、やってみたいです。和服だと、とても好意的に受け入れられると思っていて。私、いつも入国する時に、何のために来たか、って必ず聞かれるんですが、その時に、半分本当であり半分嘘なんですけど、「私は和食を教えに来た」って言うと「オー、グレート」って言って、みんな、オー、ウェルカム、カモンカモンみたいな感じになるので、和服で行ったらとても好意的に受け入れてくれるんじゃないかな、とは思ってます。
【山本】和食ブームです。イスラエルも、パレスチナも。イスラエルはだいぶ前から和食ブームですけどね。パレスチナでも最近、ここ2、3年ぐらいお寿司ブームが来ていて、特にパレスチナの富裕層の中でブームです。

生ハムは食べたことがある

【CB】ちょっと話がそれますけど、10日間、日本にいないと、昨日トンカツを食べたってFacebookにアップされていましたけど、やっぱり「トンカツ食べたい」という感じもありますか?
【山本】そうですね。みなさん、ご存知の方も多いと思うんですけど、イスラエルはユダヤ教で、パレスチナは主に、まあどの宗教もいるんですけどね、ユダヤ教徒、イスラム教徒、キリスト教徒の国々です。キリスト教は豚食べますけれども、それ以外の人は食べないので。豚肉のお店っていうのはエルサレムのロシア人マーケットとかに行けば食べ、あ、(世俗派が多い)テルアビブはもうね、普通に結構、普通にっていうか豚骨ラーメン屋さんもあるんですけれどもね。

【CB】エルサレムには、なかなかない?
【山本】少ないですね。パレスチナも、(ヨルダン川西岸の中心都市)ラマッラのあるお肉屋さんに行くと、豚肉を売っていたりします。元々、ラマッラっていうところはキリスト教徒の村だったので、そういう限られた場所に行けば豚肉は買えるし、食べることもできる。
【CB】食べますか? 食べたことありますか? パレスチナで。
【山本】パレスチナで、誰かの、日本人の方のお家にお招きいただいた時に、どこかで買った生ハムをいただきました。
【CB】生ハムですか。
【山本】うん。どっかの高級スーパーとかで買ったんだと思います。
【CB】それは、パレスチナ、イスラエルの外で作られたもの?
【山本】そうですね。輸入品ですね。
【CB】やっぱり豚がちょっと懐かしくなるとこがあるんですか?
【山本】懐かしくなりますね。今回10日だけだったのに懐かしくなったっていうか、まあ…

【CB】現地は何を食べますか? そうすると。


【山本】現地ではですね、結構、時と場合によるんですけれども、ファラーフェル・サンドイッチ(ひよこ豆コロッケをパンにはさんだもの)とか、シャワルマ(日本ではケバブと呼ばれるファストフード)っていうラップサンドイッチですね。
【CB】肉ですね?
【山本】そうですね。
【CB】回る肉ですよね。


【山本】回るお肉を削いで、それでラップ状のサンドイッチにしたものとかは、食べたりしますけれども。結構、出張で行くと、もうほんと時間に追われているので、ゆっくり食べてる時間がないから、結構キッチン付きのホテルに滞在するんですよね。なので、すみません、趣のないお話ですが、日本からパスタとか持ってったりして茹でて食べたり、あとお野菜。現地で買えるお野菜を買って食べたりとか。でもよくお野菜は野菜マーケットに行って、いろんな、レタス、ルッコラとか、トマトとか、そういうものを買いだめして、必ず食べてます。
【CB】サラダとか?
【山本】サラダにして。
【CB】自炊派っていうか、時間もないし自炊してる感じ。
【山本】そうですね。できるだけ。そういう感じが多いですね。
【CB】すごいですね。
【山本】あとは友人にお招きいただいたりすると、パレスチナの伝統的なおもてなし料理いただいたりとか。

友情深まる料理「マクルーバ」


【CB】何かおいしかったものってありましたか? 今回じゃなくてもいいんですけど。これはおいしいなって感じたもの。


【山本】そうですね。パレスチナのおもてなし料理で「マクルーバ」というのがあるんですけど、アラビア語でアップサイドダウン、ひっくり返すっていう意味で、おっきなお鍋にお野菜とかご飯とか入れて炊いた後に、そのお鍋をおっきなお皿の上にひっくり返して、ライスケーキみたいな見た目になるおもてなし料理がありまして、それはとてもおいしい。全体的にどれもおいしいんですけれども、特にマクルーバは、みんなで集まって1つの釜の飯を食うみたいな、友情が深まる料理だなと思いますね。

東京五輪に向けて刺繍帯作り

【CB】なるほど。今回パレスチナに行った目的っていうのは、どういうことだったんですか?
【山本】今回の目的、大きくは3つですかね。1つはですね、今こちらにご紹介させていただいてるイラストがございますが、この「伝統工芸が結ぶシルクロードの美」というイベントを2月の下旬に開催するんですね。

このイベントは、シルクロード地域だから、パレスチナってシルクロード的に言うと本当に端っこなんですけれども、中央アジアのウズベキスタンとか、あとは南アジアのパキスタンとかアフガニスタンとか、あとはトルコとか。そういったシルクロードの地域の伝統工芸、民族衣装とか、陶器とか、あとこういう刺繍とかを楽しんでいただこうというイベントです。そのイベントに、伝統工芸を作る職人さんとして、パレスチナの刺繍を作っている職人さん2人をお招きします。その方々はですね、話がちょっと長くなっちゃうんですけれども、ヨルダン川西岸っていう地域に住んでる難民なんですが、その方々のビザの代理申請をすることがまず1つ。
2つ目はですね、「イマジンワンワールド」という東京オリンピックに向けた着物プロジェクト向けの帯製作の打ち合わせです。さっき言ったパレスチナ難民の方々とか、あとオリーブ農家兼刺繍職人、兼業農家の方々と難民が作っています。


あと、3つ目はですね、今日も持ってきているんですが、そのオリンピック向けの帯とは別に、ストールとか帯を作るために、いろいろな刺繍を作ってもらっているので、それのピックアップのために行ってきたんです。
【CB】じゃあ結構忙しかった?
【山本】そうですね。ちょっと忙しくって…

ビザ取りが難題

【CB】ビザはうまく申請できたんですか?
【山本】パレスチナ人が日本に来る時のビザの申請なんですけど、まずこれがすごく、大きな問題でして。今まで日本に来てるパレスチナ人ってだいたい日本政府から招かれている方とか、あとは民間団体の招聘による方々なんですが、ビザは代理で申請する人が必要なんですね、基本的に。

何故かっていうと、まずパレスチナ人が訪日する場合、テルアビブにある日本大使館の領事部にビザの申請をしなければなりません。ただ、多くのパレスチナ人、ガザ地区に住んでる人でもヨルダン川西岸に住んでいる人でも、普通のパレスチナ人はテルアビブまで行くことができないんですよね。政治的な理由など、色々な理由で。なので、もしパレスチナ人が日本へ行く時は、誰か、その人がつながりのある日本人なり、イスラエルに行くことのできるパレスチナ人なりが代理申請をしなければならないんです。で、今回は、そのお招きする2人の刺繍の職人さんは、もちろんテルアビブには行けませんので、私が彼女たちの代理となって申請してきたっていうことですね。ただし、その申請も申請期間が5日間か10日間ぐらいかかるので、まだちょっと結論は出てないんですが。

【CB】結論はまだ出てない。大丈夫?
【山本】まだ出てないんですが、たぶん大丈夫だと思いますね。ただ、必ず身元保証人が必要なんですよ。難民の方々が自分でお金を出す場合は、もちろん銀行残高とか全部出すんですが、今回、私が身元保証人として、彼女たちの旅費、今回クラウドファンディングさせていただいてるんですが、お出しするんですね。もちろん私の銀行残高とかも出しましたし、住民票や、会社の履歴事項とかっていうのも出しました。で、ビザの申請する時には既にチケット取ってなきゃいけないんですよ。だからチケットももう2名20万円分、発券しましたし。ホテルも予約をしてなくちゃいけないんですが、今回はイベントにJICAが後援していただいたので、JICAの研修センターに宿泊にできることはなったので、ありがたいことなんですよね。そういうことを経てからようやく申請ができて、どうなるんだろうか、みたいな…
【CB】それビザが出たら、パスポートに貼ってもらうシール状のビザを貼ってもらうんですか?どこかで。
【山本】どうなんでしょうね。それでもう私がいる間に申請許可が出なかったので、許可が下りた、という時に、そのパレスチナ人のパスポートを受け取るのは、代理受け取り人になってもらったJICAのなんです。JICAの方にピックアップしていただくことになっています。
【CB】かなり大変なことです。
【山本】そうなんです。ものすごく大変で、だからパレスチナ人、他の国もそうだと思いますけれどもね、やっぱり日本に来るためにはコネクション、ビザを代理申請できる誰かへのアクセスがないといけない。ものすごくハードルが高いですね。
【CB】そうですよね。みんながみんな行けるわけじゃない。山本さんの声が掛かったから行けることになったんですね、その方たち。

(注)後日、山本さんから、ビザが無事におりたという連絡があった。以下は、山本さんからのビザ申請の大変さについての補足説明。

ヨルダン川西岸のパレスチナ難民キャンプにいる時、在テルアビブ日本大使館領事部から、追加の書類を求められた。『記入した書類をスキャンしてメールで送ってください』と指示されたが、キャンプだと、スキャンするのも一苦労でした。
2人に記入を依頼しておいた申請書類が、同じ筆跡だったので書き直してもらったこともありました。

素晴らしい技を持つ人に来てほしい

【山本】こんなに大変なのに、なぜビザを申請したかと言いますと、必ずしも知識階級とか富裕層のパレスチナ人だけが日本に来るのは、それももちろんいいことですが、そうじゃない方々、例えば伝統工芸の素晴らしい技を持っている方なども、日本に来てもいいんじゃないかなって思ったんですよね。

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【CB】もちろん初めてですよね、このお2人。海外に行くのも初めて?
【山本】もちろん初めてです。彼女たち、飛行機なんて乗ったことないです。
【CB】ヨルダン(ヨルダン川西岸の東側。西岸は元々ヨルダン領だったが、現在イスラエルに占領されている)には行ったことない?
【山本】ヨルダンには行ったことがあります。ありますけど、飛行機なんて乗ったことないし、本当にアラビア語しかできない普通のパレスチナのお母さんたちで、でも刺繍の腕はものすごく素晴らしいっていう方々なんです。
【CB】その方の刺繍の実演をやる? 東京の九段下でしたっけ?
【山本】実演もいたします。九段下にある九段ハウスっていう建物なんですけれどもね。
【CB】それは2月の下旬。
【山本】2月の28日、29日です。
【参加者】すみません、お話、すごく「へーっ」と思うので、(プロジェクターの)画面を、せめてパレスチナの刺繍に変えてもらえませんか?
【山本】はい。そうですよね。
【参加者】たぶんこのままだと、ずっとこの画面で…

(山本さんプロジェクターの画面を切り替える)

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オリーブ農家は刺繍もする

【山本】例えば、こういう刺繍の…この方は日本に住んでるパレスチナ人、駐日パレスチナ常駐代表部の大使の奥様なんですけれども、この赤い帯がパレスチナの刺繍の帯です。これは難民の方ではなくて、オリーブ農家の女性に刺繍してもらった帯なんですけれども。
【CB】オリーブ農家?
【山本】そうですね。オリーブ農家さんが。
【CB】オリーブ農家の人が刺繍をやるんですね。
【山本】(うなずく)元々、パレスチナの刺繍って伝統的にオリーブ農家さんとか遊牧民の方々が、野良着を補強するために刺繍してたんですよね。青森の(伝統工芸の)こぎん刺しが、麻に綿の糸で補強するというのと同じことだと思います。
【CB】そうなんですか…ちょっと「そもそも」のところに戻るんですけど、そのパレスチナの刺繍を和服用の帯にしようっていうふうに思ったのは、何がきっかけだったんですか?
【山本】いくつかあるんですが、私元々、会社員時代、全然、今とはジャンルの違う仕事をしてたんですけれども、その時から、いろんな国々の文化イベントのボランティアをずっとしてまして。例えば、タイシルクの使った着物のファッションショーのお手伝いとか、してたんですね。で、いろんな国々の方々がまわりに多くって。例えばですね、モロッコのカフタンっていう民族衣装ご存知ですか?

【山本】モロッコのとても素敵な、華やかなお衣装があるんですが、日本に住んでいる、ご主人がモロッコの方が、着物の素材でそのカフタンを作ったりしていたんです。そのまわりにいる方々が異国のものを取り入れ、融合させるのを日常的に見ていました。

着物は異国のものを受容してできている

あと何よりも、私、着物を普段からよく着ているんですけれど、着物そのものが異国のものを受け入れているんですよね。よく着物って日本の、独自の素晴らしい文化だっておっしゃる方もいらっしゃいますけれども、でも実は多くの着物に用いられている伝統柄といわれているものが、実はシルクロードを通して、例えばペルシャとか中国とかそういった地域から、伝来してるものだと思った時に、このパレスチナの刺繍を帯にするっていうことも、なんとなく自然で。私のまわりの先輩たちの活動を見ていると、自然な流れで、私もじゃあこれで帯作ってみようと思ったということです。

【CB】じゃあ結構前からパレスチナの刺繍の存在は知っていた?
【山本】ずっと前から知っていました。この大使夫人とも15~16年ぐらいお付き合いがございまして。本当にいつも美しいパレスチナの刺繍がほどこされた民族衣装を、いろいろなパーティーで着ていらしたので、ああ綺麗だなあと思っていました。そのころまでは私は、パレスチナって本当、砂漠だけだと思ってたんです。恥ずかしいながら。でも実は、砂漠は、もちろんあるですけど、緑も豊かだし、素敵なところなんです。
【CB】初めてパレスチナに行かれたのはもうちょっと後の話なんですか?
【山本】そうですね。初めてパレスチナに行ったのは2013年の冬ですね。
【CB】帯作りを始めたのは何年…
【山本】それも、そのぐらいですかね。実際に初めての帯が完成したの2014年ぐらいですね。
【CB】パレスチナに実際に行ったことが、その帯作りの実際に始めることと何か関係してるんですか?
【山本】うーん、人生いろいろあるじゃないですか。私がパレスチナに行くきっかけは、ちょうど会社を転職する時の休暇だったんです。ずっと会社員やってたんですけれども、その時、近々独立するつもりで転職を決めたので。パレスチナに行って、ものすごく色々な、いい印象も、悪い、ネガティブなこともあったのですが、「じゃあこのパレスチナの刺繍の帯をやろう」と思ったんです。

パレスチナ刺繍にも花鳥風月がある

【CB】そうなんですね。さっき日本の和服が、純和風というよりはいろんな国・地域のものが影響されている、みたいなお話がありましたけど、その和服とパレスチナの刺繍がマッチしてるっていうのは、その辺に理由があるってことなんですかね?
【山本】いや、マッチっていうか、普通に合うだろうなと思って…
【CB】私は専門家でもないし、よくわからないですが、和服の柄って、わりと具象的というか。
【山本】お花、とか。そうですよね。
【CB】花鳥風月とか、そういうものを描いてますよね、わりとね。
【山本】なるほど。おっしゃりたいことがわかりました。
【CB】でもパレスチナの帯の柄は、幾何学というか、抽象的な。その具象と抽象が合う、ということが結構面白いと思ったりしたんですけど。


【山本】ちょっとこれは実際に本当かどうか知らないんですけど、イスラム教って、(預言者の)ムハンマドの姿とか表しちゃいけないですよね。
【CB】そうですね。
【山本】このパレスチナの帯も、実はこの中にアーモンドのお花とかが全部、抽象化されてるっていうんですか。(イスラム教が偶像を排している)そういうことが、関係あるのかな? わからないけど。
【CB】どうでしょう。でも、イスラム芸術は、偶像の排除というところが、背景にあるとはよく言われるはずですよね。具象はやりにくいから、抽象に向かってくみたいな。そういうのあるのかもしれませんね。
【山本】でも、すべての抽象的に見える模様に、(プロジェクターに帯を示して)これは例えばラクダの目とか、バラの花だ、アーモンドの花だとか、エジプトへの道とか、エルサレムのタイルとか、いろいろんな…
【CB】つまり、この抽象的な絵柄の中にも花鳥風月みたいなものがあるということなんですかね?
【山本】ありますね。刺繍の中にパレスチナの人々の世界が込められていると思います。本当、感性が豊かだなって。どの地域もその地域独特の文化があって、アートがありますけれども、パレスチナの芸術も、砂漠もあれば木々もあって、という豊かな自然が背景にあると思います。そういったアートがすべて刺繍の中に込められてますね。

伝統柄も新しい柄も両方ある

【CB】こういう図案っていうのは、わりとデザインは自由なんですかね? 伝統的な、基本的な図柄もあるし、新作というか新しく作られた図案っていうのもあるんですか?
【山本】両方ありますね。基本的に日本と同じように、昔からある伝統柄もあればモダンな柄もあります。先ほどお見せした赤い帯、これは新しい柄で、4つの花のように見えるもの、実はお星様なんですよね。これはモダンな柄です。でもこの帯の中には鳥の羽っていう本当に昔からある伝統的な柄もありますし。

【CB】作る人とデザインする人は、同じ人なんですか?
【山本】パレスチナの刺繍って、元からある例えばアーモンドの花とか鳥の羽とかを組み合わせるのがデザインなんです。こういったパターンが基本的にあるので、私が帯を作る場合は、その決まったパターンを組み合わせています。
【CB】山本さんがそれを考える?
【山本】考える帯もあります。
【CB】なるほど。じゃあそこは、山本さんなりの創造性があるってことですね。
【山本】そうですね。だから、この帯を作る活動はすごくアートだと思っていて。でも私、元から油絵とかピアノとかずっとやってたので、私の中でも大好きなんですよ。どういうの作ろうかなとか、色、何にしようかなとか、考えるのが大好きです。

帯はクリエイティブな作品

【CB】その日本人である山本さんのデザインが、パレスチナの他の刺繍職人の作品に影響を与えたりする可能性もあるんですかね?
【山本】どうでしょうね。今度新しく「イマジンワンワールド」用の帯は、本当に1から全部組み立てているので、もしかしたらどっかで似たようなデザインのものが作られた入りする可能性もありますね。
【CB】じゃあそれって一種の美術作品っていうことになるかもしれない。
【山本】はい、完全にこれはクリエイティブな作品だと思いながら作ってます。
【CB】作者は、まあ共同作者。
【山本】共同作者ですね、そうですね。
【CB】その刺繍職人さんと山本さんと、ですか? 2人ですか? 基本的には?
【山本】職人さんは色々な方がいらっしゃるので。基本的に1本の帯は1人の職人さんが刺繍しますけれども、でも今回の「イマジンワンワールド」用の帯は大作なので、何人かの方々に分担してやってもらっています。

【CB】今、やっているってことなんですね。
【山本】今、現在進行形です。本当はですね、今日この場に、できたてほやほや刺繍したものを、その「イマジンワンワールド」用の帯をお見せするつもりだったんですが、思うように進みませんでして、まだ…
【CB】(オリンピックに)間に合うんですか?
【山本】2月の27日、28日のイベントにも間に合わないので、その場の実演で、そのイマジンワンワールド用の帯を織ってもらおうと…
【CB】実演と言いながら、実際の重要な作品を織る作業だ。締め切りに追われてるというわけですね。
【山本】何故かというとですね、この帯は長さ4メートル50センチで全部総刺繍なんです。振袖用の帯で、だいたいお振袖用の帯でも、これ4メートル20~30センチぐらいなんですが、「イマジンワンワールド」さんから「できれば5メートルください」と言われて。
【CB】かなり厳しいタイムスケジュールの中で…
【山本】そうですね。タイムスケジュールも、いつも本当に厳しいんです。
【CB】でもオリンピックに間に合えばいいんじゃないんですか?
【山本】なにかお披露目会があるらしいんです、春に。なので…
【CB】もう春に。
【山本】はい。でも今回2月の彼女たちが来る時までに終わらせてもらわないと、私がまた旅費をかけて…その、お金の話してもいいですか?
【CB】はい。

黒字化する日を信じて

【山本】例えば、この1本の帯を、客様からオーダーいただくとします。「この色とこの色と」といって注文をいただくとすると、まず私がオーダー時にパレスチナへ行って、さらに2回目、ちゃんと色は正しいかどうか途中経過を見に行って。で、引き取りの時が3回目。実は、帯1本作るために、3回旅費かかってるというだけで、いくらお金がかかるかわかりますよね。
でもそこまでのの帯はなかなか誰も買いませんから、もうちょっと刺繍が少ないバージョンは20万円からで販売させていただいています。でもこれにかかる旅費とか苦労とかを聞いたら、20万円は安いですねっておっしゃる方もいます。現在のところ、赤字ですから。たくさんの販売に繋がれば、ちゃんと黒字化すると思うんですけれども。今はいつか黒字化する日を信じて、赤字でも何が何でもやり続けるぞって…
【CB】資金繰りが大変そうですね。
【山本】大変です。本当に大変です。
【CB】だって納品しなければ、当然入金もないわけですよね。
【山本】入金もないです。それで、私のほうは、オリーブ農家さん、難民の方々が刺繍してくれたら、ちゃんとお金をその場で払いますから。結構高いんですよ。よく途上国だから安いって勘違いされるんですが、例えばベトナムとかの刺繍などと比べると断然高いので。
【CB】物価が高いんですかね?
【山本】物価は高いです。イスラエルと同じですからね。だから本当に高いんです。でも価値のあるお金だと思ってるので。私がやるべきことは、とにかく美しい帯を作って、その価値を理解していただける方に購入いただくこと。だからそれを購入していただける方を探すこと。あとは美しいものを作ることが、私の役目だと思ってやってます。
【CB】ちょっと戻るんですけど、帯を作るのは(京都の)西陣の方とかが関わるんでしたっけ?
【山本】そうですね。仕立ては一級の和裁職人さんにお願いしてまして、もちろんそれだってお金かかるのは当然なんですけれども。実は最初はですね、パレスチナの人たちに仕立てまでやってもらおうと思って、私わざわざ職人さんのところに名古屋帯っていうものを作る修業に行ったんですけど、私でさえやるのが難しいから、これはパレスチナ人の人たちに「やって」って言うのは無理だなって諦めて。「餅は餅屋」って言うじゃないですか。やっぱり和裁職人さんっていうのは帯を作る仕事をプロとしてやってらっしゃるわけだから、今は、ちゃんとそういう方々に仕事として依頼してます。

各地域の文様を一つの帯に

【CB】なるほど、大変な。だから「イマジンワンワールド」のために作られてるものは、かなり凝ったものというか…
【山本】そうですね。かなり凝ってるんですが、写真お見せしたいんですけど。すいません、写真出てくるまでにちょっと時間かかるかもしれないんですけど。
【CB】今回撮ってきたやつですか?
【山本】今回撮ってきた、今現時点での様子をお見せ…これがそのイマジンワンワールド用の帯なんですが、普通だったら帯って端っこから端っこまで同じ柄なんですが、今回パレスチナを代表する帯にしたかったので、パレスチナ各地域を代表する文様を入れたかったんですね。

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そうすると、パレスチナで刺繍が有名な地域って11~12ヶ所ぐらいあるので、そのモチーフを全部31センチに入れられなかったんです。なので、前半と後半で違う柄のものを1本の帯に、だからこことここで前と後半なんです。例えばこれはガザの紋様、これ今イスラエルとなってるジャッファ(イスラエル北部の地中海岸の都市)っていうところですし、これもジャッファですね。あと、これはベエルシェバっていう砂漠の地域のラクダの目。これは(ヨルダン川西岸の)ヘブロンって地域の「パシャ」のテント。オスマントルコによる統治の時代があったので、「パシャ」と呼ばれる偉い方のテントの柄もあります。
【CB】それつまり複数のいろんな地域の人がリレーして刺繍してるんですか? そうすると。
【山本】主に2つの団体で作っています、(プロジェクターに写真を示しながら)こちらは、難民の刺繍職人さんですが、こちらはオリーブ農家さんの職人さんが作っています。オリーブ農家さんがだいたい終えた後に、難民キャンプの女性たちが今、刺繍してるという状況ですね。
【CB】じゃあその難民キャンプの中にも、ジャッファの刺繍をやる人もいるし、パシャの刺繍をやる人もいる、そういう感じなんですか?
【山本】そういうことですね。
【CB】要は、自分の出身地の伝統刺繍を作る?
【山本】出身地以外の柄もやります。
【CB】あ、出身地以外のものをやれる人がいる?
【山本】やります。ただ、1つ、ここにゴールドの刺繍があるんですが、これについてはパレスチナの刺繍って「クロスステッチ」って技法と、「カウンチングステッチ」っていう技法がメインなんですね。それだけじゃないんですけど、「クロスステッチ」って「バッテンバッテン」で刺繍していくんですが、カウチングステッチっていうのは日本語で「コード刺繍」とも言われるんですけど、布の上に、この形に太い糸を置いて、その太い糸が布にくっ付くように更に細い糸で布に括り付けていくっていう技法なんですね。現在パレスチナでこれができる団体が、ベツレヘムのキリスト教系の団体と、あと、この団体にいる職人さんしかいないんですよね。なかなかやっぱりどこもそうだと思うんですけれども、伝統工芸ってなかなか継承されていなくて、パレスチナも同じく、社会の変化とか紛争の影響とか、そういった理由で伝統工芸が継承されにくい状況になっていますね。
【CB】「イマジンワンワールド」の帯は、パレスチナの帯として出品されるってことなんですよね?
【山本】そうです。その「イマジンワンワールドプロジェクト」というのは、基本的には、例えばオリンピックに参加する世界の国々をイメージした着物と帯を、日本の職人さんが作ります。しかし、パレスチナの帯だけは何故か唯一、パレスチナの職人さんが刺繍、作ることを許されていましして。
【CB】他は違うんですね。じゃあ他の国は、日本人が作るんですか? その国をイメージして?
【山本】そうなんです。日本人が作ってます。例えば帯だったら有名な龍村織物さんっていうところが、何カ国かのものを作ってますし。
【CB】パレスチナの帯だけがちょっと特別な感じなんですか?
【山本】そうですね。特別に作ってくださいと注文いただけたので。だからそういった意味でこのパレスチナの帯は、プロジェクトの中で、ちょっと特殊な…
【CB】特筆すべきものだと。

価値を高めるのは大変なこと

【山本】そうですね。「イマジンワンワールド」は、福岡の久留米の呉服屋さんがプロジェクトのリーダーなんですが、その呉服屋さんでさえもが、パレスチナ刺繍の帯を5年くらい前に見ていただいた時に「この帯は例えば龍村さんとかそういったところの帯の隣に並べても遜色がない」と言われました。つまりそれだけ素晴らしいものだと。日本各地の着物や帯を見てらっしゃる方が、太鼓判押してくださったっていうことは、それだけのポテンシャルがパレスチナ刺繍にあるということなんです。だから、私はちゃんとその価値を高めていかないといけないな、と思っています。
パレスチナっていうと、なんか粗悪なものが多そうっていうイメージがありますよね。寄付を呼び掛けたり、移動費を節約したりして、品物を安く販売できるケースもあると思います。それももちろん大事なことです。でも、私はNGOではないので、NGOがやらないものを差別化して、高付加価値品として作らなければならないと思っています。
だから両方大事だと思うんですよ。NGOの方々が、できるだけ良いものを安く日本の方々に紹介すること。それもすごく大事なことです。でも私はやっぱり、「価値を高める」ということがものすごく、パレスチナでやっていかなければならないことだと思っていて。それができるのは、私だと思っているんです。なので、ひたすらその価値を伝えるための活動を頑張っています。
【CB】価値を高めるっていうのは結構大変なことでしょうね。
【山本】大変ですよね、やっぱり。
【CB】尻を叩いて結構…
【山本】そうですね。パレスチナ人だけじゃないんですけど、アラブの方々、これ悪口じゃないですよ、文化なんで仕方ないんです。やっぱり、大雑把なんですよ。日本と違ってオーダーしてもらったものをオーダー通りに作るっていうものが、必ずしもあの地域の「普通」ではないんですよね。なので、そういったところからの、異文化コミュニケーションから始まるので。でも私が何度も「やり直し」と言って、ついには私が「じゃあもういいよ、あなたたちにオーダーしないから」って言って荷物まとめて出ていこうとしても、「いや待ってよ。お願いだから、私たちこの帯作りたいから」って言ってくれて。一種の駆け引きではあるんですが。
【CB】厳密さを重視するのって、「日本的」言っていいのかもしれないですけど、そういう考え方を、理解してくれるんですか? それとも、よくわかんないけど山本さんがそう言うならまあやろうか、みたいな感じなんですか?
【山本】理解できていないでしょうね。たぶん異文化で育った者が、完全に理解しあうのは無理だと思っているので、そこのところは時間をかけてやるしかないと思ってるんですよ。実はこのイマジンワンワールドに出す刺繍もね、やり直ししなきゃいけないところがあるんですけれども、もうそういうものが出来てしまったからには、時間をかけてやり直して作るしかないと思って。
【CB】信頼関係的なものは、そういうときに大事だったりもするんですか? そうでもないですか?
【山本】いや、信頼関係は大事だと思ってますね。
【CB】山本さんが言うなら、じゃあここちゃんとやろうかなとか。
【山本】うん、あと「ちゃんとお金を払ってくれる」、とか。あるいは、この刺繍をパレスチナに置き去りにしないで、ちゃんと私がまたパレスチナに来るということを信じてもらっている、というような信頼関係がなかったらできないと思いますね。
【CB】なるほど、大変ですね。
【山本】やっぱり大変ですね、いろいろと。何かと大変ですね。
【CB】これが完成してオリンピックの大きな話題になったら、楽しいですね。
【山本】なるといいですね。楽しいですね。やっぱり途中は大変なんですけれども、こういったものが出来上がった時の喜びっていうのは私も、刺繍している彼女たちにとっても、ものすごく大きいことなので、続けられるんだと思います。あと続けるポイントとしては、嫌なことは忘れることですよね。私、性格的に嫌なこと忘れちゃうんですよ。なんか大変だ、何が大変だったけな、みたいな。だからたぶんこんなことを5、6年も続けてるんだと思います。忘れちゃうんです。

ビジネスとして軌道に乗せたい

【CB】これから、オリンピックがひとつの目標になると思いますけど、その先に見据えた何かありますか? 「目標」「夢」といった。
【山本】これをちゃんとビジネスとして軌道に乗せたいと思ってますね。この帯を作るということを。
【CB】この4、5年ぐらいの間でしょうか、だんだん知名度も上がってきて…
【山本】本当におかげさまで。パレスチナ刺繍に対しての理解が、本当に広がってきてると思います。帯を購入したいと連絡くださってる方々も、そこそこ増えてきました。日本の呉服屋さんに行っても欲しいと思うようなものがないんということをいう人もいるんです。そういう方々が、「こんな刺繍の帯は日本で買ったらものすごく高くなっちゃうし、柄も日本では見たことない」と評価してしてくれる人が増えてきて。
とは言っても、20万円以上なので、そう簡単にポンって買えるようなものではないので、「お金を貯めたら買いたいです」という人もいます。あと1回、百貨店で展示会をさせていただいた時は、大学を卒業したばかりの女の子がテレビで見て来てくださって、「私、自分でこれから仕事を頑張るために買いたいんです」って言って、「無理して買わなくていいからね」って言ったんですけど、分割払いで買ってくださったり、というのもあります。
【CB】この写真は何ですか?

明るめパレスチナ民族衣装記念撮影84029239_229133281415693_4088967380149993472_n


【山本】この女性たちが身に着けているのは、パレスチナの各地域を代表する民族衣装で、日本も各地域いろいろ伝統工芸ありますけど、パレスチナも各地域独特の民族衣装があって、例えばこれはベエルシェバの遊牧民の衣装で、遊牧民とかって土地に価値がないからお金がすべてで、持参金のコインをつけています。少し前の写真ですが。
【CB】すごいですね。毎年こういうイベントがあるんですか?
【山本】イベントは時々やってますね。パレスチナのベツレヘムの資産家の女性が、パレスチナの民族衣装を盛り上げるための活動をやっています。外国メディアにも出てる、マハサカさんっていう、ベツレヘムの女性なんですけど。

刺繍ができるのは限られた人

【CB】パレスチナで、伝統的な刺繍を見直していこうという動きもあるんですか? 逆ですか?
【山本】うーん、パレスチナ自治政府がやってるようには見えませんね。自治政府の文化庁とかもそういうふうなことをやってるっていう話はなさそうです。パレスチナも日本と同じで、こういう、本当に伝統的なものは古くさいと感じる人たちもいて。
あと、値段の問題。例えば、この写真の衣装、やっぱりパレスチナでもものすごく高い。1000ドル以上するんですね。となると、本当に富裕層のパレスチナ人しか買えなくて。こうした本当に伝統的なものを評価するパレスチナ人っていうのは、アメリカに住んでるパレスチナ系の人たちかも知れません。年に1回パレスチナに帰ってくる時に、この団体に1000ドル以上かけてオーダーしたりとかしています。それ以外のいわゆる一般的なパレスチナ人っていうのは、こういう衣装は着ません、というか着れない。
【CB】日常的に身に着けれる人はいない。
【山本】いないですし、あとやっぱりどこでも同じだと思うんですけど、機械化が進んでいて、機械刺繍ばっかりなんです。街中で売ってる衣装屋さんっていうのは。
【CB】あれ機械ですね。街中でみやげ物屋とかに売っているものは。
【山本】機械ですね。ほとんどもう、普通に手刺繍のものは街中で売ってません。とても高価なものなので。なので、限られたお店に行かないと、手刺繍のものは買えませんね。
あとは若い女の子たちの中には、こういう古くさいものじゃなくって、もっとモダンなのがいいと言っています。パレスチナ刺繍を使ったモダンなお洋服を作ってるデザイナーさんがレバノンにいたり、ニューヨークにいたりというのはあります。
【CB】この写真に写っている人たちは少数派ってことですよね。例外的な人たち。
【山本】そうそう、少数派です。こうしたNGOに勤められる人っていうのはエリートのパレスチナ人なんですよね。その他多くのパレスチナ人っていうのは、こういうものにアクセスしたくってもできない。買えないし。一方、作り手のほうは、代々刺繍をしているオリーブ農家さんとか、難民の方々が生計を立てるために、刺繍を学んでいる、というところでしょうね。
元々刺繍って、パレスチナ女性の「たしなみ」で、日本人が昔みんな浴衣を普通に縫えたように、刺繍をしてたんですが、やっぱり現代化とか紛争とかの影響で、刺繍ができる人は本当限られた人たちになってる、というのが現状です。

【CB】きょうはありがとうございました。少し休憩した後、会場から質問を受けたいと思います。(了)

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