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構造解析のCAEに携わっています。メーカーとベンダー双方での業務を経験し、現在は独立し…

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構造解析のCAEに携わっています。メーカーとベンダー双方での業務を経験し、現在は独立して事業を営んでいます。

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  • CAE解析

    CAE解析に関する記事です。解析技術から業界動向まで、CAEに直接・間接に関わるエンジニア向けです。

最近の記事

  • 固定された記事

CAE学習のための動画を作成しました

CAEは通常、特定のソフトウェアのセミナーに参加して学ぶことが一般的です。そして、CAEを適切に使いこなすために必要な工学や数値計算の知識は、参考書などを用いて自己学習することが一般的です。そこで、自己学習をサポートするための教材を作成しました。 このコースはCAEの初心者を対象としています。初めてCAEを使用する技術者や、CAEの経験が浅い技術者の方々に、特定のソフトウェアに依存しない汎用的な知識を身につけていただけるように構成しました。また、解析実務を直接担当しない方々

    • CAEソフトウェアのバグについて利用者として知っておくべきこと

      CAEソフトウェアにもバグは存在します。しかし、有名なソフトウェアであれば、基本的な機能や古くからある機能については、まず問題ありません。多くのユーザーに利用されており、長年のうちにバグは出尽くして解消されていると考えられるからです。 一方で、利用者が少ない特殊な機能や新しく追加された機能には特に注意が必要です。利用実績が乏しいため、まだ明らかになっていないバグが存在する可能性があります。新機能については、急いで導入する必要がなければ、一つバージョンを見送り、機能が安定して

      • CAE解析で人気のあるトピック

        このnoteを開始してから2ヶ月が経過しました。ここでは、これまでの各記事のアクセス状況を基に、読者がどのトピックに関心を持っているかを紹介します。 1. CAEエンジニアのスキルとキャリア 最も多くのアクセスを集めたトピックは「CAEエンジニアに必要なスキル」でした。「CAEをどこまで勉強するか」も高い人気があります。読者は、エンジニアとして必要なスキルが何かを知りたがっています。この関心の高さは、CAE業界で働きたい、または働き続けたいと考える読者が多いことを示してい

        • 時代遅れのCAE知識

          CAEの技術は日々進化しています。一部では既に成熟した感もありますが、その発展はまだ続いています。しかし、CAEに長く関わっていると、一通りのことは理解したと錯覚しやすくなり、学習することを怠ってしまいがちです。少し話を聞いただけですぐに解った気になってしまいますが、実際に自分で試みたときに、理解が不足していることに気付かされたりします。 より大きな問題は、部下や後輩など、相対的に若い方への接し方です。少し前には不可能だったことが、現在は容易にできるようになっていることや、

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        • CAE解析
          19本

        記事

          新入社員へのCAE教育

          毎年4月になると、企業は新入社員を迎えます。多くの製造業では、新入社員の教育・研修におけるCAEの取り扱いに頭を悩ませています。問題は、どの程度までCAE教育を行い、どのように実施するかです。 教育の課題 企業の採用方針にもよりますが、新入社員のバックグラウンドは多岐にわたります。機械系、電気系、化学系、情報系など、学部によって履修した分野は異なります。そして、一部はCAEを全く知らない状態からスタートし、一方で研究室で既にそれなりの経験を持っている者もいます。彼らの配属

          新入社員へのCAE教育

          CAE解析業務におけるAIの活用

          現在広く利用されているAI技術を、CAE解析業務においてどのように活用できるかを考えてみます。 モデル作成 CAEのモデル作成においては、精確な条件設定が不可欠です。間違うこともあるAIをすべてのプロセスに適用することは難しいですが、メッシュ作成など柔軟性が許される作業ではAIによる自動化や支援が有効です。また、必要な知識を学習したAIが経験の浅いオペレータを支援することも可能です。これらの支援により、オペレータはより効率的にモデル作成を進めることができます。 計算リソ

          CAE解析業務におけるAIの活用

          CAEベンダーとの付き合い方

          CAEはコンピュータを用いたシミュレーション技術であり、現代のものづくりに欠かせません。CAEのソフトウェアは比較的高価で専門的なため、企業ではCAEの実務担当者が自社の経営層やCAEソフトウェアのベンダーと折衝します。このとき実務者は、予算を認めない経営層や期待に応えないベンダーに不満を持つことがあります。しかし、経営層やベンダーを攻略すべき対象や仮想敵と捉えるのではなく、利害関係者として巻き込んでいく方がよいです。これは道徳や心構えの問題ではなく、そうすることが有利になる

          CAEベンダーとの付き合い方

          CAE導入の意思決定

          CAE解析に使用するソフトウェアは、必ずしも会社全体で統一する必要はありません。CADと異なり、各部署は解析の目的に応じて異なるソフトウェアを選択できます。そのため、ソフトウェアの導入は実務部門が外部のソフトウェアベンダーと直接交渉して進めることが一般的です。これは、技術管理部門が会社を代表して導入・管理する必要があるCADとは対照的です。 ベンダーからの提案 CAEを担当する実務者が解決したい問題をベンダーに相談すると、ソフトウェアを用いた解決策が提案されます。また、既

          CAE導入の意思決定

          CAE分野への投資

          CAEは製品の設計・開発を支援するシミュレーション技術です。この技術の活用には、ソフトウェアやハードウェアの費用だけではなく、人員を育成するコストも必要です。工場設備などと異なりCAEの費用対効果は明確に算出することが難しいので、投資の方針決定は高度な判断になります。しかし、役員や技術部長などの経営層はCAEに詳しいとは限りません。そのため、上層部に稟議を提出する中間管理職は、CAEへの投資全般についての情報を補足しなければならないことがあります。検討のポイントをまとめてみま

          CAE分野への投資

          CAE解析の精度

          CAEはコンピュータを使って製品の挙動をシミュレーションし、その性能や信頼性を評価する手法です。しかし、CAEで得られる結果と実際に行われた試験結果がいつも完璧に一致するわけではありません。構造解析の場合、この一致度は大まかに以下の3つの段階に分けられます。 精度の分類評価不可能: 解析結果と実験結果がまったく異なり、形状や条件を変更した際の傾向も一致しません。 相対評価可能: 結果が大まか(最悪の場合でも30%くらいに収まる程度)に一致し、形状や条件の変更による結果の傾向

          CAE解析の精度

          CAEのコンサルティング利用法

          CAEのコンサルティングサービスは、大きく4つのカテゴリーに分けられます。それぞれのカテゴリーは、異なるニーズに応じた支援を提供します。 業務改革の推進 業務改革を目的としたコンサルティングです。顧客企業の製品開発における設計や実験を含む業務全体を診断・分析し、CAEを活用した組織変更や業務フローの最適化を提案します。ここでは、組織の構造や業務プロセスそのものに深く踏み込み、根本的な改革を目指します。これは、一般的なビジネスコンサルタントが行う業務に近いものです。 技術力

          CAEのコンサルティング利用法

          CAEエンジニアに必要なスキル

          CAEエンジニアに必要なスキルを整理してみました。製造業のCAE部門の解析専任者を想定すると、こんな感じになるでしょうか。 CAEのスキル 手順書通りに操作できる CAEソフトウェアの基本的な使用方法を理解し、定められた手順に従ってタスクを遂行する能力です。初心者レベルであり、CAEツールの基本機能の使用方法や結果の基本的な解釈が含まれます。 日常実施している解析をアレンジして、経験がない機能を使う 新しい機能や未経験の解析方法を取り入れる能力です。マニュアルや教材を参

          CAEエンジニアに必要なスキル

          設計者CAEの今後

          設計者CAEとは CAE解析の目的は設計の妥当性の確認です。一部の実験を代替する役割もありますが、広義には設計プロセスの一環だと言えるでしょう。多くの企業では専門のCAE部門を設置し、解析専任の担当者を配置しています。これは、CAEには専門知識と時間が必要なので、知的財産や技術管理、材料分析など他の専門分野と同様に、専門チームを組むことで効率が向上するためです。 一時期、設計部門とCAE部門の関係がよく議論されました。例えば、設計者はCAE部門の解析結果が設計に役立たない

          設計者CAEの今後

          CAEをどこまで勉強するか

          CAEエンジニアに必要なスキルは様々ですが、ここでは座学的な勉強で身につける技術的な知識について考えてみます。 材料力学や流体力学などの工学については、自分の業務に必要な知識を持っていることが求められます。例えば、破壊力学を理解せずに亀裂進展解析はできませんし、ビンガム流体の特性を知らずに粘土やアスファルトは扱えません。ソフトウェアの機能も、これらの一般的な工学理論に基づいています。したがって、解析対象となる現象のモデル化に使う理論は、前提知識として必要です。 判断に迷う

          CAEをどこまで勉強するか

          CAE構造解析の材料特性

          構造解析の材料特性は、弾性、塑性、粘性の組み合わせでモデル化されます。そして、これらの特性は温度や湿度などの条件や、負荷の繰り返し、変形の方向や向きによっても変化することがあります。 弾性は、力をかけると伸び縮みし、力を抜くと元の状態に戻る特性です。構造解析では最も基本的な材料の挙動です。単純な線形弾性だけで実用的な解析ができるケースもあります。 塑性は、力をかけると伸び縮みしますが、力を抜いても元に戻らない特性です。塑性は弾性と組み合わせて、弾塑性として用いられることが

          CAE構造解析の材料特性

          CAEの事例発表

          学会やユーザー会での事例発表は、自社の解析技術力をアピールできる良い機会です。また、エンジニアのモチベーション向上や教育にも役立ちます。自社が発表する場合は機密保持やリソースを考慮して、実現可能な範囲で対応できます。一方、他社の発表については、どのように受け止めるかが問題になることがあります。 例えば、自社ではすぐにはできないような事例を見聞きしたエンジニアが「ウチでもやってみたい」と言い出したり、経営層が「我が社ではできないのか」と投げかけてくるケースです。このような時、

          CAEの事例発表