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CAE構造解析の材料特性

構造解析の材料特性は、弾性、塑性、粘性の組み合わせでモデル化されます。そして、これらの特性は温度や湿度などの条件や、負荷の繰り返し、変形の方向や向きによっても変化することがあります。

材料特性

弾性は、力をかけると伸び縮みし、力を抜くと元の状態に戻る特性です。構造解析では最も基本的な材料の挙動です。単純な線形弾性だけで実用的な解析ができるケースもあります。

線形弾性・超弾性

塑性は、力をかけると伸び縮みしますが、力を抜いても元に戻らない特性です。塑性は弾性と組み合わせて、弾塑性として用いられることがほとんどです。弾塑性は金属のモデル化によく使われます。例えば、針金やゼムクリップは、小さい力で変形させて力を抜くと元に戻りますが、大きな力で変形させると元に戻らなくなります。元に戻る範囲は弾性、元に戻らない範囲が塑性です。このような弾性と塑性の組み合わせを、弾塑性といいます。

弾塑性

粘性も、力をかけると伸び縮みしますが、変形の速度に比例した抵抗が働く特性です。力を抜いても元に戻りません。粘性は弾性と組み合わせて、粘弾性として用いられることが多いです。ゴムやプラスチックなどの高分子材料のモデル化によく使われます。固体の基本的な特性を弾性で表わし、そこに衝撃や振動を吸収する特性である粘性を追加したものが、粘弾性です。

粘弾性

これまで扱ったことがない材料の挙動を考慮する際には、ソフトウェアの機能よりも、材料特性データの不足が課題になることが多いです。残念ながら、便覧などに載っている材料特性のデータはそれほど当てにはなりません。炭素鋼であれば、弾性部分のヤング率とポアソン比、それに単純な塑性モデルの降伏応力くらいならそのまま使えるかもしれません。しかし、負荷の繰り返しや温度変化には対応できないことがほとんどです。また、ゴムや樹脂のような材料は、生成条件よって特性が大きく変わることがあるので、材料データがないと信頼できる解析ができません。

材料データの測定には費用と時間がかります。製品不具合に対応するための解析依頼など、急に必要になっても準備できないので、自社製品に使用している材料のデータはぜひ取得しておきたいです。予算をどう獲得するかは悩ましいですが。

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