見出し画像

新入社員へのCAE教育

毎年4月になると、企業は新入社員を迎えます。多くの製造業では、新入社員の教育・研修におけるCAEの取り扱いに頭を悩ませています。問題は、どの程度までCAE教育を行い、どのように実施するかです。

教育の課題

企業の採用方針にもよりますが、新入社員のバックグラウンドは多岐にわたります。機械系、電気系、化学系、情報系など、学部によって履修した分野は異なります。そして、一部はCAEを全く知らない状態からスタートし、一方で研究室で既にそれなりの経験を持っている者もいます。彼らの配属先も多様です。CAE部門に限らず、設計、実験、生産技術、品質管理などに配属される人員も、CAEの基本を理解しておくことが望ましいです。

しかし、部門によってCAEの重要度は異なります。多くの知識を詰め込む必要がある集合研修では、会社の仕事の中にCAEという分野があることを説明する程度で終わることが多いため、開発・設計部門に配属される社員には追加の研修が必要になります。自身が直接CAE解析を実施しない場合でも、解析結果を利用する機会が多いためです。

実施上の問題点

様々なバックグラウンドを持つ新入社員へのCAE教育は、基本的なレベルから始める必要があります。CAEの役割や実例紹介、力学の基礎、精度の考え方、結果の見方などが含まれます。

長期的に見れば、このような教育はCAE活用のみならず、会社全体の技術力向上に貢献します。しかし、教材や講師の準備には大きな負担が伴います。そのため、CADの解析機能に付属している簡単なチュートリアルを実施して終わらせることも少なくありません。座学で力学の基礎を教えるよりも、簡単なモデルの解析を完了させたと報告する方が、上層部に理解されやすいという事情もあります。その結果、座学で学べる部分は各担当者の自助努力に任されてしまい、原理原則を十分に理解しないままCAE解析を利用する状況が生まれることもあります。

企業によっては外部講師を招くこともあります。予算は必要ですが、工数負担をせずに専門家による教育を行い、実績を作ることができるのがメリットです。私も講師としてそのような仕事を受けています。

参考

CAE初心者向けの動画をUdemyで提供しています。企業研修用の教材を元にに、個人学習のために重要ポイントをコンパクトにまとめたものです。もしご興味があれば、下記リンクよりご利用いただければ幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?