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マリリンと僕

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小説『マリリンと僕』をまとめました。
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2021年12月の記事一覧

マリリンと僕10 〜 過去との遭遇 ~

マリリンと僕10 〜 過去との遭遇 ~

クリスマスの夜、いつもの公園でマリリンと会った後、自宅アパートに戻ると、1人の女性が僕の部屋の前に立っていた。

顔を見て、すぐに誰なのかが認識出来た。

「絵莉…」
彼女の名前は深谷絵莉。元カノだ。

元カノと言っても、当時の僕は多い時で5人の女性を掛け持ちしていた。専門学校の同級生、バイト先の後輩、友達の友達、バイト先のお客さん(たぶん既婚者だったと思う)…。どれも僕からではなく、アプローチを

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マリリンと僕9 ~クリスマスは終わらない~

マリリンと僕9 ~クリスマスは終わらない~

目が覚めた時、時計は昼の12時を回ったところだった。カーテン越しでも外が晴れていて、陽が差しているのがわかる。体は朝方よりはスッキリしていて、頭痛や吐き気も無い。

マリリンのお父さんから誘われたクリスマスパーティは、想像を超える盛大さだった。それはまるで夢のような出来事だったし、戸惑いや緊張を抑える為に大量にワインを飲んだせいで、本当に夢だったんじゃないかと思うくらい実感を伴っていない。

昼過

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マリリンと僕8 ~Merry? Xmas~

マリリンと僕8 ~Merry? Xmas~

12月24日、クリスマスイブ。

繁華街にはカップルが溢れ、至る所に装飾された、イルミネーションの輝きに魅せられている。ファミリーは特製のケーキやチキンを囲んでホームパーティを楽しみ、子どもたちは明日に控えたサンタクロースの訪れを待ち望んでいた。

そして僕は今、東京は品川にそびえ立つ『城山グランドホテル』のメインタワーにある大宴会場にいた。一張羅の黒のスーツとこの日の為に新調したシルバーのネクタ

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マリリンと僕7 ~黒猫は夢に誘う~

マリリンと僕7 ~黒猫は夢に誘う~

準レギュラーで出演していたテレビドラマがクランクアップを迎えた。初めて体験することばかりで、日々緊張の連続。でも、とても充実していたから、終わってしまうことが実感を伴わず、過去に無いくらいの喪失感を感じていた。そしてある意味では、不安だった。

撮影最終日の夜、出演者や監督を始めとしたスタッフがほぼ全員集まっての打ち上げがあった。当然のことだが、ダブル主演の八雲一朗と木村咲良も参加していた。僕と2

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