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308日目(節分は日本流のストレンジシチュエーション法である)

一時保育のお迎えに行くと、次女は残ったお弁当を保育園の前の広場で食べたいと言い出した。

鬼とほうれん草

残っていたのはほうれん草。野菜を食べるなんて偉い!そう思ってベンチに腰掛けた。

次女はほうれん草を口いっぱいほおばり、横を向いた時だった。青い鬼と赤い鬼がいるではないか。

おそらく学生と思われる彼らは、広場で一人目の獲物を見つけ、襲いかかるでもなく、優しく、

「悪い子はいないですか」

と声をかけてくれた。10秒くらい鬼を見つめた後である。次女の目には涙が溢れてきた。

「うわーん」

言葉にならない何かがそこにあった。
口いっぱいに頬張ったほうれん草がでてこないうちに、学生たちに会釈をしてそそくさと帰った。抱っこして車に乗ると、安心したのかあっという間に眠ってしまった。

我が家での節分

ちなみに我が家でも大人が交代に鬼なって節分をやったが、全然怖がらず。いつもいる、安心できる場所での鬼では意味がないようだ。余裕綽々で豆を投げ、大喜び。

こわいものへの反応は母親不在の不安と同じ

ところで、心理学者のエインズワースは、安定した愛着をもつ(母親といると安心できる)子どもについて、ストレンジシチュエーション法(母親がいなくなって戻ってくる実験)において、次のような反応を示すことを見出した。

母親と離れる時に多少泣いたり混乱をするものの、母親が戻ってくると抱き付いたりしてすぐに気持ちを落ち着ける事ができます。

そう、節分は、子どもがいきなり異界の鬼に晒されて、不安にさせられるという意味でストレンジシチュエーション法と同じなのだ。

「節分」という言葉

「節分」とは、「筋」を「分ける」と書く。その意味で、父性的な儀式である。なぜなら、父性は、何かを切り分けることだからだ。精神科医の佐々木正美氏は

「これは良いこと、これは悪いこと」と善悪を教えたり、他人と良い関係を築く上で大切なマナーが身につくよう導くなど、過去から受け継いで来た社会のルール、知恵や文化を与えるのが父性性、父親的な役割です。

と言っている。物事を切り分けることは善悪の区別や社会のルールを教えることに繋がっている。一方で、母性については

子どもの希望や要求を受け入れて、満たしてあげる。この”相手を受け入れ包み込む”のは母性的な愛情表現、いわゆる母性性

と言っている。切り分ける父性に対し、包み込む母性というわけだ。さらに、 

母性的な愛情・愛着をたっぷり浴びた子どもは一歩成長し、他の人との関わりを求め始めます。そこでルールやマナーを覚える段階に入りますが、お母さんに愛情欲求を受け止められてきた子どもは、周囲の要求を自然と受け入れることができます。「人を叩いてはいけないよ」「順番を守って遊ぼうね」と教えると、比較的すんなりと指示に従うことができる、つまり父性性が伝わりやすいと言えます。大事なポイントは、母性性が子どもに十分に与えられた後でないと、父性性は伝わりにくいということ。
両者のバランスではなく、「先に母性、次に父性」という連続性が、子どもの健全な心の成長には重要です。

と言っている。だとしたら、昔の人は節分での子どもの反応をみて、そろそろ父親が積極的に子育てに関わる時期なのだなぁと考えたのかもしれない。

節分という儀式は、思いの外、大切な儀式なのであった。

儀式と子育て

このように、子どもの関わる儀式は昔の子育てのためにとても大きな役割を果たしていたのかもしれない。次はひなまつり。我が家ではどんなことが起こるだろうか。今からとても楽しみだ。

ちなみに

ほうれん草の花言葉は「健康」。健やかな成長には、十分にかけられた母性的な愛情とその上にかけられた父性が必要だということなのだと、この日の出来事は教えてくれた。

(出典はこちら↓)

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