「なかにし礼」から読む、破天荒な肉親の捉え方
私の父(要介護1・パーキンソン病)はなかなかの曲者で、
ようやく ショートステイ にこぎ着けたのに、
行った先で職員に難癖を付けたようで、
「もう、来ないで下さい」 と言われて帰ってきました。
子供の頃からよく見ていたのです。
父は何かあるとすぐ電話をかける人で、対応に気に入らないことがあると、
「社長を出せ!」 が定番でした。
社長は会社そのものなんだから、
下っ端に言っても通じない場合は、即社長に言うのがいいんだ! とよく言っておりました。
母も私も また社長を出せが始まった・・・ と呆れる日々でした。
今回のショートステイ断られ騒動。
やりそうだな~ と思っていたら案の定だったので、まぁ想定内です。
施設の雰囲気が気に入らないなどもあるはずなので、
今度はまた別の施設に行かせる予定です、ヘッ!
先日、会社の人に聞かれたのです。
「どうだったの?ショートステイ」 と。
会社のチームにはふんわり家の事情は話しているので、
親切心で聞いてくれたものと思います。
正直に事の顛末を話すと、非常にびっくりしていました。
私の父のクソ親父具合に。
私よりも年上の先輩なので、
こういうクソは知っている?ものだと思っていたので、
驚いた先輩に私が驚きました。
先輩のお父さんについて聞いてみたところ、
あまり怒られた記憶もなく優しかったし、
小うるさく言われないように彼女自身も上手く立ち回っていた、とのこと。
あっ、通じない・・・
それではと、同世代の同僚に聞いてみたら、
やはり同様の反応で、彼女のお父さんは、
お兄さんには厳しかったけど彼女には優しかったし、
くどくど言われたことはあまりなかった、とのこと。
うちは・・・家族みなに厳しい父でした。
最終的には私に対してはよくしてくれたけれど、
小言が多くて参ってしまう日々だった。
うーーーーーん。
うーーーーーん。
高校生の頃、友人に父の横暴?について思わずこぼしたら、
「そんな事言われるの?ひどいお父さんだね!」
と返ってきました。
わかるのです、同情してくれてそう言ってくれたのは。
それでも、正直彼女の言葉にかなりモヤついたのです。
でもその時はどうしてかよくわかりませんでした。
私は、若い時はほんとうに色々な事に悩み、
(これは皆そうでしょうね)
悩むことだけに時間を割いただけでは!?と思うほど。
(それだけ時間があったのですね・・・遠い目)
生きるのが不安で仕方なく、なにかを求めて乱読していました。
ひょんな事から辿り着いたのが なかにし礼 のエッセイで、
その時のモヤモヤの原因が瞬時にこれだと繋がったのです。
なかにし礼 には、目ん玉が飛び出るくらいの超破天荒な兄がいて、
その兄が死ぬまで、金銭的な尻拭いはもちろん、さんざんっぱら迷惑をかけられている事を書いています。
*小説「兄弟」は、ビートたけし(兄)&トヨエツ(弟)でドラマ化もされている
「兄さん、お願いだから死んでくれ」 ← トヨエツの声
そのお兄さんが亡くなった時、周囲からかけられた言葉
「酷いお兄さんが亡くなって ほっと したでしょう」 に違和感を持ち、
最終的には
「どんなにひどい肉親でも、他人から悪く言われたくない」と思うに至った事を書いていました。
私がその友人に対して感じた違和感はまさにそれでした。
この精神、私はこの時自分の心に強烈に刻み入れた。
それは今でも意識していることで、
相手がいかに親族の酷さを訴えても、同調して悪口を言ってはいけない、
と思っています。
傾聴の奥深さを感じた出来事でした。
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