息を吸うように嘘をつく。【ショートショートnote】
感想文部に入っているのは、たまたま
教室をまちがえたからだった。
由真は嘘が好きだ。
萩原朔太郎の「竹」を由真が小さな
声で朗読していた。
「光る地面に竹が生え 青竹が生え 地下には竹の根が生え」
読んだあと、その詩の感想をはずかしいぐらい
美辞麗句で述べた時だった。
あの時わたしは見た。
由真の制服のスカートの裾から何かが見えた。
尻尾のような柔らかいふさふさの、もふもふ
しているようなもの。
でも、それに気づいたのはたぶんわたしだけ
みたいで、部員の誰もが誰一人ツッコまない。
その時、みんなには見えていないん
だなってわたしは気づいた。
「樹里ちゃんみえるの?」
きらきらした瞳で聞いてきた。
うんとうなづいた。
嘘をつくと由真ちゃんに尻尾が生えると
知った。
来年卒業する私たち。
離れ離れになっているのはわかってる。
由真ちゃんは、樹里ちゃんと別れるのが
淋しいなって泣いくれた。
その時だった由真ちゃんのお尻あたりに
もふもふ達が生えてくるのが見えていた。
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お題は【感想文部】です。
いつも、笑える方向を目指しています! 面白いもの書いてゆきますね😊