Nagare Kataru/舞台演出家から経営コンサルタントへ

高校卒業後より演劇活動を開始。劇団を主宰し、脚本を書き、演出を執って、東京・大阪・京都…

Nagare Kataru/舞台演出家から経営コンサルタントへ

高校卒業後より演劇活動を開始。劇団を主宰し、脚本を書き、演出を執って、東京・大阪・京都の各都市で公演を重ねること10年。相通じるものを感じて、コンサルの道へ進むことを決意し米系コンサルティング・ファームに入社。現在はエレクトロニクス業界を中心にプロジェクトをセールスして回る役割。

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「マクガフィン」を語る

プロフェッショナル・ファームでのキャリアが長くなると、いわゆるパートナー業務(プロジェクトの提案や受注)を務めることになる。私自身は、パートナー業務とはクライアント経営陣に向けて、まだ見ぬ冒険活劇を語り、盛り上げ、共謀する役割だと捉えている(少なくともそう信じて振舞うことで、幾つもプロジェクトをスタートさせることができた)。その際に常に心掛けている、「マクガフィン」を語るということについて記してみたい。 1.「マクガフィン」との出会い 「マクガフィン」という概念は、『定本

    • 観てない舞台を語る: 「第2世代の選択」

      これも、この眼で観たことは無いのだが、60年代アングラ演劇の次に興隆した”小劇場運動第2世代”の演劇から「五つの舞台」を選んで、Twitterで語ってみた。その内容を再掲するとともに、第2世代のそれぞれが、自身の”劇風”を選び取る様を俯瞰して、改めて考えた幾つかのことを、備忘としてここに記しておこうと思う。 1.つかこうへい「初級革命講座 飛龍伝」(1973) つかこうへい氏には、広末涼子氏や黒木メイサ氏、そして桐谷美玲氏と著名な女優陣が次々と主演した「飛龍伝」という大劇場

      • 観てない舞台を語る: 「アングラの席捲」

        やはり、この眼で観たことは無いのだが、新劇に取って代わり、60年代後半という時代を席捲したアングラ演劇から「五つの舞台」を選んで、Twitterで語ってみた。その内容を再掲するとともに、主宰者達による濃密な相互関与の俯瞰から、改めて考えた幾つかのことを、備忘としてここに記しておこうと思う。 1.状況劇場「24時53分『塔の下』行きは竹早町の駄菓子屋の前で待っている」(1964) ”アングラ四天王”の代表格、唐十郎氏が24歳で書いた処女戯曲。その推薦文を、なんと当時既に有名人

        • 観てない舞台を語る: 「新劇の時代」

          勿論、この眼で観たことは無いのだが、ふと思い立って新劇の老舗である文学座にまつわる「五つの舞台」について、Twitterで語ってみた。その内容を再掲するとともに、時系列に沿った俯瞰を通じて改めて考えた幾つかについて、備忘としてここに記しておこうと思う。 1.文学座「女の一生」(1945)我が母校(高校)の大先輩、杉村春子氏の代表作である。 初演1945年4月、なんと戦時中。それなのに冒頭と最後に空襲で焼け野原の場面が登場。風刺が効いてるやと思いきや、戦後になって森本薫氏が

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          なぜ、水を飲まないのか?

          以前に経営幹部と対峙する際の話法について書いたので、今回は企業組織のマネージャー層(部長職位や課長職位を想定)に変革を働き掛ける際のアプローチについてまとめてみようと思う。 当然ながら、”職位”が異なるからアプローチを変えるわけではない。経営幹部は変革の「オーナー」となるのに対し、マネージャー層は変革の「実務者/実現者」となる、つまり果たす”役割”が異なっている。必達を期すチェンジ・エージェントとしては、異なる役割には、異なる相対の仕方を準備して臨みたい。 そして、これを

          経営幹部と対峙するシナリオフレーム

          プロジェクトをデリバリーしている期間中、定期的にトップクライアントと面談を持つのだが、この時間が好きである。ここで言う面談とは、関係各位を大勢集めてプレゼンする報告会等とは異なり、週に1度か隔週に1度程度の頻度で、クライアント企業の社長(もしくは準じる取締役)と1対1で対峙して、プロジェクトの今後の展開を語り合う場を指している。当然ながら、この時間を有意義な物とする為に、シナリオを練って臨んでいる訳だが、その対峙シナリオを描くためのフレームについて紹介したいと思う。 1.何

          経営幹部と対峙するシナリオフレーム

          「マネジメント」の語源

          以前、顧客への提案の中で「ゲーミフィケーション(Gamification)」という言葉を用いようとしたところ、下打ち合わせの段階で「当社役員陣の中には聞き慣れない外来語を嫌う者もいて」と書き換えを要望されてしまった。こういう擦り合わせ自体は珍しいものでもないし、正当な要請だと捉えている。むしろ提案前に当該組織の文脈を知り得たことに感謝したぐらいである。ただ、言葉を置き換えるだけでは足らず、提案書には予想外の大手術を施すことになってしまったが。 事物ではなく”概念”を指す言葉

          開かない扉を開ける

          聞いた話になるが、現代の経営コンサルティングは「3.0(第3世代)」に居るらしい。経験ベース、ファクトベースと来て、次は「価値共創」が求められるとのこと。見上げてきた先達や諸先輩が、価値共創をしていなかったかどうかには異論もあるが、いずれにしても、経営コンサルティングの提供価値とスタイルに大きな変化が求められる時代に居るのだと認識している。 私自身は、舞台芸術に10年携わり、経営コンサルティングには、いつの間にかそれ以上の年数で携わってきた。二つの生業には偶然とは思えないほ