出張

【現代日本昔ばなし 7】出張羽目外し男

 むかしむかし、あるところに それはそれは まじめな おとこが いました。

ねっしんに しごとをし おかねも こつこつとためて、けっこんもして、まさに ちゅうかんそう そのものでした。

  あるとき かいしゃでの しごとの かんけいで、ちほうに しゅっちょうすることに なりました。

ちほうに いったことのない おとこは、たいそう よろこびました。


 ちほうで ひととおり しごとを おえ、のみかいも おわり、はんかがいを あるいて ほてるに むかうとちゅう、ひとりの きゃばじょうが おとこたちに からまれていました。

「やめろ。」
おとこは ゆうきを ふりしぼって、いいました。

すると、おとこたちは にげていきました。
「たすけてくれて ありがとう。おれいに すてきなところに つれていって あげましょう。」

おとこが きゃばじょうに ついていくと、それはそれは うつくしい きゃばくらに いきつきました。

「きょうは すきなだけ あそんで いってください。」
きゃばじょうは いいました。

おとこは われをわすれて あそびました。
ごうかな ふるーつの もりあわせとか、かたかなの おさけとか、きれいな おねえさんとか、おとこには みたことないもの ばかりでした。

90ふんほどがたち、
「えんちょうは いかがしますか?」
という、こえが きこえたので、おとこは
「もう、かえります。」
といいました。

きゃばじょうは いいました。
「それは、ざんねんです。こちらを どうぞ。」

そこには0が 7こほどならんだ でんぴょうが ありました。
「いやいやいや、こんなには むりです。そもそも」
といいかけたとき、
「やかましいわい。くったもんは はらわんかい。」
なんと、まえに きゃばじょうに からんでいたはずの おとこたちが でてきたのです。

すべてを さとった おとこは うなだれました。

 きゃばくら「りゅうぐうじょう」から でてきたおとこは まえの おもかげも ないほど、ぼこぼこに なっていましたとさ。

めでたしめでたし

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