見出し画像

『ドミナント戦略』3つのメリット&デメリット、事業計画との関係性

こんにちは、事業計画研究所です。

以前、ランチェスター戦略についてご記載しましたが、本日はそこから“地域”に焦点を当てた戦略についてお話いたします。

今回ご紹介するのは、ある地域に特化した事業展開を行う戦略です。

弱者が強者に勝つためのランチェスター戦略の一つとして、限定された地域で競合優位性を得るために中小企業が行うことの出来る戦略の一つとも言えるでしょう。

それでは、その戦略の概要について説明してきます。


ドミナント戦略とは・・・

画像1

dominant:「支配的な」「独占的な」という意味の言葉が用いられた戦略で、文字通り地域を特定し、その地域に優先的に経営資源を投入することにより、市場独占の確立を狙うというものです。

実店舗を持つ(小売業や飲食店)などのビジネスモデルで活用されやすい傾向にありますが、その大きな理由としては地域を限定することにより、より効率的に顧客のシェアを獲得・確立するための戦略ともいえるからです。

仮にスーパーマーケットの経営を行う際に、いきなり飛び地や全国展開を行うには資金的にも人材的にも厳しい上に、突然できた知らない名前の店舗に抵抗感を覚える方がおられるのは容易に想像がつくところかと思います。

そこで、地域を限定することにより、小数店舗から自社の屋号や商品などをその地域の人に重点的に知ってもらうことでシェアを確立するというのがこの戦略です。

少し言い換えれば、ターゲットを絞ったマーケティングで効率的に利益を上げようということですね。

ドミナント戦略のメリット

1.地域での認知度向上に努めやすい

画像7

全国的には知名度が低くても、ある地域には良く知られているという店舗を見たことはありませんか?

一定地域に複数店舗出店することにより、その地域での認知度が高くなる傾向にあります。

2.業務効率の向上

画像6

小売などの店舗を持つ事業所であれば、配送にかかる時間的効率や、スタッフの相互のやりとりなどの業務効率の向上に繋がるケースがあります。

場合によれば、エリアマネージャーやスーパーバイザーといった店舗を管理する立場にある人が店舗間を行き来しやすくなるというメリットもあります。

3.広告宣伝の集中化

画像8

広告を行う際、地域によって特性や需要が異なります。そのため全国にチェーン展開している企業では地域に合わせた広告をうつことが多くみられます。

ドミナント戦略において、一つの地域に集中して出店を行った場合、その地域に合わせた広告をまとめて低コストで作成する事ができるという利点を持つと言えるでしょう。


よろこび吹き出し

一点に集中したエリアに、複数店舗を構えることにより他社との競合優位性を確立することへと繋がります。コスト削減や、人の管理がしやすいといった利点を持ちます。

その利点を最大限生かすには、地域の特性や需要などを事前に調査しながら出店・起業することがより大切だと感じます。

闇雲に出店してしまうと後述するデメリットの一つ、『自店舗が競合となる恐れ』があるので注意を要する事があることも忘れないようにしていきたいですね▲

よろこび吹き出し下部



ドミナント戦略のデメリット

1.災害時などのリスク分散がしづらい

画像9

地震や台風などの自然災害が生じた場合に、集中出店している店舗がまとめてダメージを受けてしまう恐れがあります。

複数店舗が同時に被害を被ると極端な売上減少だけでなく、それに伴う修繕費が必要となるといったリスクがあるでしょう。

2.自店舗が競合となる恐れ

画像10

上述したように、近隣に自社の店舗を複数構えてしまうと店舗同士で顧客の奪い合いという本末転倒な自体になることもあります。

自社の店舗や新しい商品が、自社の既存の店舗や旧商品とバッティングしてしまう「カニバリゼーション(共食い)」と呼ばれる状況に陥ってしまうケースも少なくはありません。

3.地域変動の影響を受けやすい

画像11

例えば、新設された駅やバイパスなどによる交通事情に関することや、店舗に面した道路などの影響を直に受けることにもなります。

また、少子高齢化社会と言われる我が国において、過疎地域などであれば人口減少の影響をもろに受けてしまうのは言うまでもありません。

悲しい吹き出し

“一点集中”しているからこそ、リスク分散できずに共倒れしてしまうこともあるのはお分かりいただけましたでしょうか。

その中で、リスクヘッジの方法としては、次項でもお伝えする人口動態や(場合によれば)ハザードマップなどで事前の調査を行うことが挙げられます。

悲しい吹き出し下部



事業計画との関係性

さて、ここで当研究所の命題でもあります事業計画との関係性について述べていきます。

リスクヘッジの方法として挙げたように、ドミナント戦略において重要となる大きなポイントの一つとして、ずばり“調査”が挙げられます。

画像12

例えば、人口動態
その地域の人口の増減や、男女比率や年齢層、他にも世帯数などを調査することにより、需要の有無などを判断する材料となります。

(例えば・・・)
○○市の人口は100万人
10年後には120万人(20%増)となる見込みである。
現在、弊社の売上は100万円であるが、10年後には人口増加に伴う需要増加により売上も20%増を予想することができる。

流石にここまで単純なことはありませんが…。笑
人口から事業計画における信憑性やその根拠となるのはイメージいただけましたでしょうか。

・夜間と昼間の人口差
・競合店舗の有無、立地
・需要特性

などといった項目に分けて調査を行うことができます。

その調査結果を元に、成功する根拠を示していくことが事業計画における重要なポイントとなるでしょう。

まとめ

一つの地域に集中して出店する『ドミナント戦略』では、やはりその地域特性を知ることが最重要課題の一つです。

メリットとデメリットをそれぞれ把握し、地域の人への認知へと繋がれば強固な事業基盤を築くことができるのではないかと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?