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科学と世間の間に橋をかける 〜推薦図書のご紹介〜

ビジネス数学教育家・深沢真太郎です。
数字に強いロジカルパーソンを育成する「ビジネス数学」を提唱し、人材育成の活動を行なっています。


ある書籍

今回は1冊の書籍をご紹介します。私の立場から申し上げて、とてもいい本です。ビジネス小説。ちゃんと購入して読ませていただきました。ぜひ多くの方に読んでもらいたいと思っています。

『なぜ君は、科学的に考えられないんだ?』
松尾佑一(クロスメディア・パブリッシング)


数学ではなく数学的

私のことをご存知の方は、この表現を何度も見聞きしたことがあるでしょう。

数学≠数学的
数学≠ビジネス数学

数学の勉強ができるのではなく、数学的な動作ができる人になりなさい。数学の問題が解ける必要はないので、数学のように考えなさい。数学のように説明しなさい。数学のように生きなさい。これが私の提唱するビジネス数学の基本思想です。

これは何を意味するかというと、数学とビジネス、もっと言えば数学と人間社会との橋渡しをするコンテンツであるということです。私はよくメディアでのインタビューなどでこのような表現を使います。

『私のしていることの本質は、おそらく「翻訳」なんだと思います』

私はたまたま「ビジネス数学」というネーミングにしていますが、この先も似たようなコンテンツがもっと増えるといいなと今もずっと思っています。そして今回、そのひとつに出会いました。

思想が似ている

ご紹介した本の著者である松尾さんは大学で生物学の研究をされているとのこと。科学者の持っているものを科学の世界だけで活用するのはもったいない。それは間違いなくビジネスにおいても使えるもののはず。おそらくそんなコンセプトにより誕生した1冊ではないかと感じました。

要領を得ないプレゼン。
職場の人間関係やパワハラ。
次々に届くメールの煩わしさ。
整理や段取りができない。

現代のビジネスパーソンの(ほんのちょっとした)悩みをテーマにしているあたり、やはりこれはビジネス書と定義されるものでしょう。まさに「科学」の話ではなく「科学的」の話です。

第5章以降に登場する「データ分析」「シミュレーション」「イノベーション」などのテーマはまさにビジネス数学そのものでした。数学とビジネススキルの架け橋となる内容だったと思います。とても共感し、楽しく拝読しました。

私はビジネス数学という教育を実践できる指導者を育成しています。ビジネス数学インストラクター制度と呼びますが、彼らインストラクターたちにもぜひ読んでもらいたいと推薦することにします。


学者(=研究者)とビジネス人のあいだ

本書の中にひとつ、興味深く、かつ考えさせられたシーンがありました。
優秀な学者(=研究者)と優秀なビジネス人とで交わされる対話です。(私の用語の使い方:学者と研究者はほぼ同義で使っている言葉ですが著者の松尾さんはそうではないかもしれません。その場合は失礼しました。深い意味はありません)
学者とビジネス人との対話。実にリアリティがありました。

「こういう対話、よくあるよな…」
「こういう対話、よくしてきたな…」

それが私の偽らざる感想です。カジュアルに言えば「あるある!」でしょうか。それぞれに正義がある。「融合」「連携」「交差点」といったものを見出す作業は現実はなかなか難しいでしょう。この作品の中で松尾さんが2名の対立構造を作ったこともそれと無関係ではないと想像します。
私の中でひとつ答えがあるとするなら、AとBに距離があるならその中間にCという別のものを用意し、次のような構造を作ればいいのではないかという考えです。

AーB            ×
AーCーB  ◯

ここまで読んでくださった方なら、このCが「橋」であること、「翻訳」であることがわかってくださるでしょう。この作品の中でも明確にCの存在が描かれていました。このCの価値は、わかる人はすぐにわかるけれども、わからない人には永遠にわからないもの、というのが私の今のところの結論です。

そういう意味で今回ご紹介したこの1冊も、その魅力や素晴らしさ、著者さんはじめ制作に従事された皆様の努力や創意工夫がわかる人はすぐにわかるけれども、わからない人には永遠にわからないもの、ということなのかもしれません。できることなら、わかる人がたくさんいることを願って、勝手ながらこの記事を読んで下さった方々への推薦図書とさせていただきます。

余談(思い出したこと)

かつて私もビジネス書と定義されるような小説本を出版し、決して少なくない方々に読んでいただきました。

数学的思考で人生に必要なことを解き明かす物語。
数学的思考と「勝てるチーム」の交差点を描いた物語。

その時のことを、思い出しました。

余談(忘れていたこと)

大事なことをお伝えし忘れていました。
本書(松尾さんのご著書)の最後にこんな1文がありました。私はまるで数学の答え合わせの瞬間のように感じました。

「科学と世間の間に橋を架ける通訳が必要なんだ」

『なぜ君は、科学的に考えられないんだ?』
松尾佑一(クロスメディア・パブリッシング)



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