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◇週末の心をTURNする。今週はサプライズも。お聴き逃しなく! #2350_2400 #83.1MHz_space

【再生】

 「私は昨日夢を見ました」……(リュートの震えに重なるびあぼん口琴とチャフチャスの鳴動、半拍の停音、玩具喇叭ぱフっ)

 ハ~イ本日もゆるく始まりましたFM DOOR SPACE(放送局)、「キノ夢~」。昨日の夢の続きが、今日の暮らし。今日の夢が明日のかたち、昨日から明日へ、そして明後日へ。愛するリスナーの皆様とひと時をご一緒するのは、パーソナリティのオハラ獏です。

 ちょっとお部屋のカーテンを開けて空を見て?「夏の大三角形」が天頂で瞬いているね。さ、僕らを包む無限の闇の中、まず厳かに青白く輝く0.0等星、ベガを探そう。今、全天で最も明るい星だからすぐに見つかるはず。そのベガの右下、ググッと離れた場所へ視線を動かして。目に飛び込んでくる星がアルタイル。アルタイルから左へ目を戻し、ベガから下ろした直線のちょっと先で見つかる星、そう、それがデネブ。3つの星を繋ぐと作れる壮麗なトライアングルに見守られている今夜、あなたと共に過ごせる奇跡に感謝です。Check it out!

 まずお一人、コウタさんとお電話が。もしもし?こんばんは~。「こ、こんばんは」あなたの昨日の夢をどうぞ。「はい。あの、私、夢でになっていて。何千っている群れの中の一匹で、高い柵で区切られた巨大牧場にいました。たくさんの柵の中に、それぞれ数千の羊の群れがいます。私は放牧の時間に会った、遠い柵の向こうの羊の一匹が気になっていて、会いたいのに柵が越えられない。牙も無いしも無いも無い、二つの蹄で足掻くうちに目が覚めました」

 ウンウン。夜、夢に見るものは、昼間、なおざりにした気持ちの残滓。少しずつ決着をつけていこ。「はい」コウタさん、小学校でお仕事なさってるんだよね。「あ、はい。発達障がいの子どもたちを支援するクラス、みどり級を持っています。気になってることは確かにあって」ウン?「あの、インクルージョンって言葉を考えたいんですけど」もちろん。最近よく聞くね。

 「元々クラスにいろんな子、居たと思うんです。最近、細かくADHDLDだと規定されて別れているけれど」分かる。僕も昭和な生まれだから。今、知的障がいのある子どもさんを、通常級とは別クラスで、言語や算数や日常生活のルールなど細やかな教育サポートを受けられるシステムになっているんだよね。「それ自体は良いことだと思うんですが。無理に苦手な分数などで苦しまなくていいですし、自己肯定感も生まれます。ただ何気ない話の中で、通常級の先生が、あの子は本来みどりの子なのに、とか、みどりの先生が、A子ちゃんはこっちの子、と仰る。1年生で、和式のおトイレができない、入るのが怖いと言う子に。こだわりが強いということなんですが」

 え、僕、学校のトイレ怖かったけど!3年生になってもまだドア閉められなかったなあ。僕、みどり級だわ。「私もです。ちょっとした仕草やコミュニケーションの取り方などから判断はなさっていると思いますが、なんだか視線が分断、にしかなってないような気がして残念で。縦割り学級の日や、学年での時間もありますが、インクルージョン、交流になっているかと言われると、内容的に疑問が」これね僕、東大の湯浅誠先生のお話を聞いたことがあるの。

『インクルージョンは繋がり方で、工夫、デザインをしないと分断される』

 楽しい、負担のない繋がり方をデザインすること、そこに人が人である試みが現れるんじゃないかって思う。心のバリアフリー、ってよく言うよね。社会の、人の心を開拓していくのが、これからの僕たちの課題の一つなんじゃないかなって。あと、デザイン研究者のライラ・カシム先生の、

『ゴールを先に決めない』でプロジェクトに取り組む

との言葉も送りたいね。システムをゴールとし子どもを合わせるんでなく、柔軟に現場で、子どもを主体にしたプログラムを作りたいよね。「共感します!教育そのものも見直しつつ、楽しいインクルーシブプログラムのデザインを考えたいです」

 OK!コウタさん、あなたは羊です。あ、ショーンをイメージして、Eテレでやってるショートアニメの。「アハ、見たことあります」良かった。黒くてスリムでお茶目で器用なヤツさ。高い柵が巡らしてある牧場で、今日の夢は、世界に誇るニッポンの重機ブルトーザーで、柵を片っ端からぶち壊すことにしよう。ショーン・コウタ、君の手で。柵のこちらの羊とあちらの羊を、混ぜ混ぜしてしまいましょ。「ヤギも混じってたり?」いいね!「あ、リャマも入れちゃお!」調子出て来たじゃん。アルプスアイベックスとかどうよ。「あはははは」まずは全てをがらがらどん、明日の夢に繋げよう。「はい。寝るのが楽しみです」Good night.Sweet dreams.

 お二人目、ミカさんと繋がっています。こんばんは~。「あ、ふふっ、こんばんはァ」ミカさんの昨日の夢、聞かせてください。「はい。幹線道路の上を何か、から逃げて、ずっと走ってました。トンネルがあって、息を切らしながら逃げ込んで走り続けて。出た先が」ほうほう、先が?

「スタジアムだったんです」

 ン~。オモシロイじゃない。「広いスタジアムの中央に私は一人で立っていて。なんだか寂しくて困ってたら強い風が上から吹いて、なんとか両足で踏ん張って、芝生がザザァ~ッっと揺れて。そこで目が覚めました」なるほどなるほど。え〜、ミカさんは、サッカーチームを作っているんですよね?「ええ。地域の自主クラブで30年」継続は力なりだよ。「皆の居場所を作れればと。でもゲームだから、勝つための練習に熱を入れたいメンバーも当然出てきて」ウンウン。「一方、年齢だったり家庭の都合でそこまではできないメンバーも。板挟みの中、年嵩の自分が若い人に言うと強く取られてしまうかな、って悩むことも最近は」言葉を呑み込んで?「ええ、割れるのも怖いし、先々チームが続くためにも若手に任せたがいいのかなとも思うし」ミカさんは、いろんな人が入れるチームを作ってきたんだよね?

 「はい。初心者も、経験者も。年齢も性別も、障がいや国籍関わりなく、誰でも。強さだけを求めるのでなく、地域の繋がりを作りたくて」場作りは、ちょっとゆるくないと、新しい人が入ってきにくいんだ。そういう意味では、ミカさんの姿勢は間違ってない。

 僕たちは、弱くていいんだ。ただ何ものにも、負けなければいいんだ。

 ミカさんは負けない人だと思う。違う?「そう、ありたいと思います」それで充分以上よ。ちょっと怖いけどさ、チームのみんなに自分の気持ち、話して伝えて、ゆらぎながら作っていこ。東大の福島智先生の言葉だけれど、

『生きることは語り合うこと』だって。

 福島先生は目が見えないし耳も聞こえない。宇宙空間に浮かんでいるようで、人と指で触れ合い「話して」いないと、世界に自分が存在しているのかさえわからなくなる圧倒的孤独の中で、社会とのネットワークを作れたことで全盲ろうの自分が生きる意味があった、という一つの悟りに似た答えに辿り着かれた。

 宇宙の彼方でどんな状態であっても、生きていることには必ず意味がある、と語った福島さんの研鑽を積んだ心は、宇宙と地球を自在にスイングバイして戻ってくるんだ。戻るのに必要なナビゲーターは、ただ、手の温もり。ベガ、デネブ、アルタイルの作る彼方の空間へ心を飛ばし、人の手を縁(よすが)に戻ってくる、思考の深さと広さを感じて僕、圧倒された。

 ミカさんの昨日の夢、上空から強い風が吹いたんだよね、立っていられないくらいの?「はい」それさ、

 UFOだったんじゃない?

 「えぇ~~っ?!」ミカさんのチームに、宇宙人の方々が入りたくてやって来たんじゃないの?「それは流石に考えなかったです~!」将来は宇宙人の方も入って来れるチームを考えなきゃね!「全っ然思ってなかった。今日の夢は3丁目に越して来た宇宙人さんと、インクルーシブフットサルをする夢にします」いいね、是非。「あのぉ~?」何なに?「宇宙人の方って、足何本でしょう?」そうね!オールドタイプだと8本だよね。サッカー大変かも!

 「いや、意外とドリブル、早いかもしれませんね。即戦力かも」

 アハハハハ。一本足の宇宙人さんもいるかもしれないし、そこも夢だから自由に楽しんで。「は~い。ではまた」またね。報告、待ってます。

 さァて。宇宙の話が出たところで。皆さんに驚きのお知らせ!実は、本日の放送の録音は「宇宙」、Spaceへ送ることになっているんです。広い宇宙のどこかに生きているはずの知的生命体の皆さんに向けて、地球の僕たちの日々の営みをデータ化して探査機に乗せるんだって。昔、ボイジャーって探査機に「レコード」を乗せましたよね、その2019版です。メディアが発達したから、かなりのデータが詰められるようで。そんな一大プロジェクトに、ちっちゃな僕のプログラムを、って、戸惑いもスゴくありましたが。等身大の人の営みの記録の集積(アーカイヴ)だからって。日本からも100の番組が選ばれたその一つ、ってことで今日聴いてくれたみんなッ、一緒に、宇宙へ飛ぼうッ!

 さて寂しいですが、本日も締めのお時間です。

 ビッグバンで生まれた138億年前の昨日の夢は、膨らむ宇宙の470億光年先の、光の中にある。プログラムを共に支えてくれるリスナーの皆さん、僕たちは今、昨日の夢から派生した「今」この瞬間、83.1MHzの超短波放送にて繋がっています。粒子の波にて繋がる人々のそれぞれに、小さな暮らしと心があること、遠いあなたにも伝えたい。

 届け届け、470億光年彼方の、君の夢へ。聞こえますか、届いていますか、負けない僕たちの昨日の夢と今日の夢、明日に続く暮らしの息吹が。彼方の君がこれを聞く頃、僕たちはもう疾うの昨日に、塵の一片として亡いけれど。飛ばした心はきっといつか、君の元へ届くと信じています。

 When I communicate with people,I touch the future.

 本日のお相手は、オハラ獏でした!遠い未来のいつか、僕たちのコミュニケーションを受け止めてくれるであろう、宇宙の彼方の君へ寄せて。全ての言葉を基盤に夢として刻み。送ります。(弾む弦の音に乗るびあぼん、繰り返されるチャイム、幽けき水の流れ、半拍の無音、玩具喇叭ぱフっ)

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