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HPVワクチンへの疑問4 反対意見の出ない会議

HPVワクチン(ガーダシル)の男子への適用が承認されたときの議事録が、厚労省のサイトで公開されています。おかしいと思うことを指摘している人はいるけれど、承認に反対する人がいないのはなぜなのでしょうか。

2020年12月4日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

「HPVワクチンへの疑問3」からのつづきです。

議事録は、下記のサイトで公開されています。資料が用意されていたようですが、公開はされていません。


以下、一部引用です。
「HPVワクチンへの疑問1」を読んでからの方が、話の意味がわかると思います。


○島田委員 この疾患(肛門周囲の尖圭コンジローマ)は皮膚科でもよく診るのですが、ただ、予防効果を期待して注射をするとなると、皮膚科はふさわしくないかもしれませんが、このワクチンは基本的に女の子に推奨されているものですよね。ところが、いまだになかなか反対意見もあるし、先ほど言われた副作用ですが、あれはほぼ否定されていると私などは思っているのですが、いまだに副作用のことで、結局全面的に推奨されないような状況です。

それを男の子のほうにまで広めるということなのですが、順番的に言うと、本当は子宮頸癌が一番のターゲットになるわけだから、そこでもうちょっと女の子に対して、100%と言うと語弊があるかもしれませんが、まずは推奨されて、それから男の子のほうにいくというのなら話は分かるのですが、男の子にどうやってこれを。肛門病変と言っても、将来MSM(男性と性交渉を行う男性)になるかどうかなんて分からないし、どういう男性に打ったらいいのかというのがよく分からないのです。これは予防ですから、一旦できてしまったという人に対しては無効ですよね。

 ということなので、予防効果を期待するのであれば、少女、何歳だったか忘れましたが、9歳か10歳か11歳かなら、意義があると思うのですが、男の子に打っても意義があると思いますが、外国は、女の子のほうにほぼ打つということを前提にして、男にも打てば、全体的に予防効果があるということになるのですが、日本のように、女の子にさえきちんとやっていないような国で男にも打つということが、承認されれば、それは悪いことではないかもしれないけれども、順番的に変だなという感じはします。

○清田部会長 外国では男女関係なく、同様に、子供に打つということになっています。ですから、小児科で打つというパターンもありますし、女の子の場合は、婦人科で打つというようなこともあろうかと思います。ですから、外国ではもう普通にやっていますので、同じような投与の方法になろうかと思います。

○事務局 女性の接種については、定期接種の議論の中で、どのように情報を伝えていくかということの議論がなされているところだと思います。こちらのガーダシル、今回の議題については、まず薬事承認ができるかどうかという話で、女性と同様に定期接種にするかとか、どのように国として勧奨するかとか、その辺りについては、またこの薬事承認を前提として、厚生科学審議会等で議論されるものと思います。

○清田部会長 ということでよろしいでしょうか。

○島田委員 それは分からなくはないけれども、ちょっと論理構成がおかしいなという感覚を私は持っています。薬事承認はしてもいいと思います。これは安全性もあるし、予防効果があるのはいいのですが、そういう意味では、せっかくこういうものが承認されるのであれば、ちゃんと国民に幅広く知らしめて打っていくというような姿勢がないと、意味がないのかなと思います。これは私の意見ですから、薬事承認に関しては承認するというので、私も異議はありません。
○事務局 厚労省の中でも別の部局ときちんと連携して対応いたします。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17323.html

おかしいと思っていることがあるのに、結局「承認に異議はありません」となってしまいました。事務局の回答も、なんだかかみ合っていません。

○宮川委員 7/37ですが、海外の第III相試験において、予防効果が評価された性器周辺部の病変と肛門上皮内の腫瘍について、国内の第III相試験の発生状況のデータもあれば教えていただきたいのですが、122試験です。そちらにも、どのような形で記載があるのかについて、教えていただければ幸いです。

○医薬品医療機器総合機構 国内試験においては病変は出ておりませんで、持続感染のみという形になっております。

○宮川委員 それは持続感染ということだけなのですね。国内で投与されたものは、持続感染に対してだけということでよろしいのですね。

○医薬品医療機器総合機構 病変も収集対象になっていたのですが、結果的に持続感染しか認められなかったということになります。

○宮川委員 その旨はきちんと分かるようにしていただければよろしいのかなと思います。海外の試験と国内の試験が、そのような形で異なるのだということの理解というのは重要なことだろうと思います。もちろん、海外と比べて日本の場合は、症例数が少ないというのは理解できるので、しっかりと記載されていれば問題ないと思います。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。今の内容については、審査報告書の16/37ページの表11の下の所に記載しております。御指摘ありがとうございます。

○清田部会長 ほかによろしいでしょうか。ないようですので、議決に入りたいと思います。なお、南委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17323.html

私も気になっていた海外の試験と国内の試験の違いについても、意見が出ていました。同じ条件で試験ができないほど、日本の場合は症例数が少ないなら、リスクより接種するメリットが大きいと言えるのでしょうか。そもそも、この会議に参加している人たちは、安全だと言い切っているので、結局、反対意見はでないで「承認可」とされました。

反対意見がでないようなメンバーで行われる会議に、意味があるのでしょうか。


議事録の伏せ字

議事録では、他の医薬品についても話し合われているのですが、ヌーイック(遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤)に関しては、かなり伏せ字が目立ちます。

○川崎委員 はい。川崎です。審査報告書では目的物質由来不純物は○○○と○○○とされ、承認申請書では純度試験として、○k、○k、○○kの組成を測定することとなっています。これは○○と○○のヘテロダイマーのことだと思いますが、まず、この試験はヘテロダイマーの管理が目的かどうか確認させていただけませんでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より説明いたします。まず○○、○○は、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○と○○○○○○○になります。御質問のヘテロダイマーとは、○○と○○が会合したものです。また、審査報告書8ページ、2.1.6項、本剤の純度試験としては、○○○○○○○○○と、○○○○○の2種類を実施しております。
 川崎先生の1点目の御質問は、○○○○○○○○○の試験で3つの分子量のペプチド鎖が測定されるのですが、ヘテロダイマーの管理をどうされているかという質問と理解しております。○○○○○○○○○では、○kDaの○○と○kDaの○○、それから○○kDaのペプチド鎖が測定されるのですが、こちらはヘテロダイマーではなくて、○○○○という、○kDaと○kDaが○○○○○○○○○○○○を測定しております。したがって、純度試験のうち○○○○○○○の管理対象は、○○○○の○○kDaを対象とし、ヘテロダイマーではないということになります。1点目は以上です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17323.html

実際には「○○」というわけはないので、会議ではちゃんと明らかにされていたのだと思います。けれども、審査報告書も申請資料概要も不純物Aとか黒塗りになっているところがたくさんあります。

審査報告書

https://www.pmda.go.jp/drugs/2020/P20210113008/670142000_30300AMX00012_A100_2.pdf

申請資料概要

https://www.pmda.go.jp/drugs/2020/P20210113008/index.html

会議で話が出たということは、重要だからだと思うのですが、なぜ公開できないのでしょうか。

このような会議で決められたことを、そのまま納得できますか?