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イタリアは培養肉や昆虫食を規制!食文化や健康を守るために首相も署名

イタリアの右派政府は3月29日、培養肉などの合成食品を禁止する法案を支持すると発表しました。けれども、EUの決定によっては、この法案も意味がないものになるかもしれません。


署名50万筆の中にはメローニ首相の署名も

以下、BBC NEWS JAPANからの引用です。


イタリア政府、培養肉を禁止する法案を支持 食文化の保護が理由3/30(木) 16:36配信 BBC NEWS JAPAN

イタリアの右派政府は29日、培養肉などの合成食品を禁止する法案を支持すると発表した。イタリアの食文化と健康を守るためとしている。 法案が可決された場合、違反者は最大6万ユーロ(約860万円)の罰金を科される可能性がある。

刷新された農業省トップのフランチェスコ・ロロブリジーダ氏は、イタリアの食の伝統の重要性を強調した。 農業ロビー団体はこの動きを歓迎している。一方、培養肉が炭素排出からの環境保護や食の安全性につながるとしている動物愛護団体には打撃となった。

コルディレッティをはじめとするイタリアの農業ロビー団体はこの数カ月、「自然食品を合成食品から守る」ための署名を集めていた。集まった50万筆の中には、ジョルジャ・メローニ首相の署名も含まれている。
(中略)

■「伝統を守れなくなる」

政府はこの法案と併せ、コオロギやイナゴなどから作られた粉をピザやパスタに使うことを禁じる、さまざまな命令も策定している。

閣僚らは、こうした法案と命令を支持する理由として、評価の高いイタリアの地中海食を挙げている。

首相と同じ右翼政党「イタリアの同胞」に所属するロロブリジーダ農相は、「合成食品では品質やウェルビーイング(人が健康で幸せな、良好な状態にあること)、そして我々の伝統と結びついているイタリアの料理・ワイン文化と伝統の保護を保障できない」と語った。

■アメリカなどは培養肉を認可

アメリカ食品医薬品局(FDA)は昨年11月、「慎重な評価」の結果、細胞から培養した鶏肉を食用として認可した。2020年にはシンガポールで、チキンナゲットへの培養肉の使用が認められている。 欧州連合(EU)加盟国では今のところ、こうした認可は降りていない。しかし、欧州食品安全機関(EFSA)は培養肉を含む「細胞農業」について、「健康的で環境に優しい食品体系のための、有望で革新的なソリューションと考えることができる」と明言している。

EU圏内ではモノやサービスの行き来が自由なため、EU当局が合成肉を認可した場合、イタリアがその販売に反対することはできないのではないかという指摘も出ている。
(以下略)

(英語記事 Italy to ban lab-grown meat to protect heritage)

https://news.yahoo.co.jp/articles/114913ee883bf367f4f6b42709307e9eba0b29ff

集まった50万筆の中には、イタリア初の女性首相、ジョルジャ・メローニ氏の署名も含まれていたとのこと。羨ましいです。

もう1つ、別のメディアの記事から引用です。

伊政府、細胞培養食品を禁止へ
2023年3月29日 11:57 発信地:ローマ/イタリア
【3月29日 AFP】

イタリア政府は28日、培養肉などの細胞培養食品の製造と販売を禁止する法案を提出した。
オラツィオ・スキッラーチ(Orazio Schillaci)保健相は法案を閣議決定した後の記者会見で、「現時点で細胞培養食品の摂取の有害性を示す科学的根拠はなく、予防原則に基づくものだ」と説明した。
(以下略)

https://www.afpbb.com/articles/-/3457583

「予防原則」について調べてみました。

予防原則とは
欧米を中心に取り入れらてきている概念で、化学物質や遺伝子組換えなどの新技術などに対して、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れがある場合、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする制度や考え方のこと。

https://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=2635

日本の大臣には、この概念が全くないようですね。

けれども、これでイタリアがずっと培養肉や昆虫食を避けられるというわけではなさそうです。

最初の記事にも書かれていますが、培養肉の市場への投入がEUによって承認された場合は、EU内での商品の自由な移動を妨げることができないので、イタリア料理の伝統を保護するためという主張するだけでは避けることはできないようです。

すでにアメリカのFDAが培養肉を承認していることも、EU内に流通させる追い風となってしまうでしょう。

翻訳サイトを使って読んだので間違いがあるかもしれませんが、以下の記事に詳しく書かれていました。

それでも、首相が食文化や健康を守ろうとしていることは、日本と大きく違います。

そして、50万筆の署名というのも大きな力となったでしょう。日本は、国民が政治に関心を持つことから始めなければならないと思います。

声を上げなければ、どんどん自由が奪われていきます。