新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけについて、政府は2023年5月8日に、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する方針です。4月13日まで、それに関するパブリックコメントを募集しています。
4/13まで募集中の重要なパブコメ
現在、下記のページで意見を募集しています。タイトルが異常に長く、わざとわかりにくくしているとしか思えません。
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令案及び
新型コロナウイルス感染症のまん延を防止するため新型インフルエンザ等対策特別措置法第四十五条第二項の規定による要請を行うことが特に必要な施設等を廃止する件に関する御意見の募集について」
2つのことについて、意見を求められているようです。
新型インフルエンザ等対策特別措置法 第四十五条第二項
根拠条項
新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令(平成 25 年政令第 122 号)第 11 条第1項第 15 号及び第 12 条第8号
こんな重要な問題を、このようにわかりにくく、読む気をなくすような文章で意見募集するなんて、意見を求めようとしているとは思えません。けれども、これは非常に重要な問題です。このまま5類に移行すると、この先の生活にまた大きな影響がでるかもしれません。
詳しい方が発信している情報を参考に、私なりに解釈して問題となっている点について資料を掘り起こしてみました。間違って解釈しているところもあるかもしれないので、皆さんもご自身で調べてみてください。
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則
の一部を改正する省令案について(概要)
上記の概要には、下記のように書かれています。
5類感染症には、季節性インフルエンザなどが分類されています。
参考: インフルエンザに関する特定感染症予防指針
下記は首相官邸HPの、「季節性インフルエンザ」の対策に関するページです。
一方、新型コロナウイルスに関しては、まだ感染症対策本部が設置されています。対策などを比べてみると、季節性インフルエンザと同等とは思えません。
新型コロナウイルス感染症対策本部の設置について
令和2年1月30日 閣 議 決 定
時短営業や行動制限など、これまでの感染症対策は対策本部で決められていました。
例えば、下記です。
新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針
令和3年 11 月 19 日(令和4年 11 月 25 日変更)
新型コロナウイルス感染症対策本部決定
政府対策本部の設置については、下記に説明がありました。
参考資料1 感染症法と新型インフル特措法の位置づけ より
政府対策本部は、「病状の程度が季節性インフルエンザに比しておおむね同程度以下であることが明らかとなったとき、又は、新型インフルエンザ等感染症と認められなくなった時に廃止」と書かれています。
けれども、パブコメの資料には、対策本部の廃止については明記されていません。
1月27日の新型コロナウイルス感染症対策本部で決定した資料には、下記のようにはっきりと書かれていました。
新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和5年1月27日変更)
ところが、3月10日の資料には対策本部に関する記述がありません。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の見直し等について
医療提供体制などに関する資料だから書かれていないのかもしれませんが、それについても対策本部は関係しているはずです。
しかも、パブコメのタイトルには、21条ではなく45条がでてきています。
政府対策本部の専門家は、これまで様々な対策をするように言ってきましたが、その検証をしていません。例えば時短営業をして、どれくらいの効果があったのでしょうか。政府対策本部がある限り、検証もせずに、言いっぱなしの専門家の意見を今後も聞かなければならなくなるでしょう。
2類相当は2類ではない!?
そもそも、新型コロナウイルスは現在、2類に分類されているわけではありません。2020年の2月に法改正で、5つの類型に入らない「新型インフルエンザ等感染症」に位置づけられました。
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の改正について(新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律関係)」に関するQ&Aについて
事務連絡 令和3年2月10日
厚生労働大臣が「新型インフルエンザ等感染症と認められなくなった」と公表すれば、法の適用対象でなくなるはずです。
けれどもそうせずに、わざわざ5類として分類しようとしているのです。その場合、厚労省は専門家で作る感染症部会で話し合ったうえで、省令改正を行う必要があります。一度5類にしてしまうと、分類からはずす際にも省令改正が必要になるとのことです。
ウイルスが弱毒化し、緊急事態ではなくなった今、わざわざ省令改正をして5類に指定する必要があるのかということについて考えなければなりません。5類ではワクチン接種や上記のような細かい対策が続くことを考えると、他のコロナと同じで「分類なし」でもよいのではないかという意見もあります。
政府対策本部を廃止せずに5類になれば、下記のようなことがまた起きてしまうでしょう。
春高バレー事務局は、新型コロナ対策として出場チームに「抗原検査」を義務付けていました。つまり、症状があったから検査をしたのではなく、出場するためには検査結果を提出しなければならなかったのです。
その後の取材記事にも、当該選手には発熱や咳など新型コロナの症状は見られなかったとあります。さらに、春の高校バレー事務局の対応について、検査キットの結果を当該選手たちに見せることを拒否したことなどから、疑念を抱かざるを得なくなったと書かれています。
この件は、感染症対策以外の問題も絡んでいるようですが、そもそも対策本部がなければ、このようなこともなかったかもしれません。
子どもたちが学校で過ごす時間は、大人になってから取り戻すことはできません。学校は、勉強だけするところではないのです。新型コロナをいつまでも特別扱いすることで、その大切な経験の数々が失われてしまいます。
症状のある人がお休みするのは当然のことだと思いますが、無症状の人に対してもいつまで活動を制限するのでしょうか。検査結果には、偽陽性などもあります。「分類なし」でも、施設ごと、学校ごとに必要な対策を考えればよいのではないでしょうか。むしろ、現場を無視した専門家から的外れな指示があることで、様々な問題が生じてしまいます。
日弁連のサイトには、新型コロナに関連した相談事例が多数掲載されています。
新型コロナウイルス感染症関連法律相談 事例収集(2021年4月1日~同年12月31日) より
このまま5類に分類されれば、ワクチン接種の中止も難しいでしょう。
本来、感染対策本部は廃止される時期にきているはずです。これまでの政府の対応を考えると、それが明記されていないことに何か意味があるように思えてしまいます。
パブコメを送っても意味がないと考えている方もいるかもしれませんが、多くの関心が寄せられれば無視できないようです。
自分や家族を守るためには、まずは無関心でいることをやめなければならないと思います。
下記の募集は、4月13日までです!