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コロナワクチン接種後の救済制度、申請書類が難解すぎる! 国は救う気があるのか?

コロナワクチン接種後に死亡した方の遺族や、健康被害にあった方たちを救済するための制度があります。けれども、申請するために必要な書類を集めるのは非常に困難であり、制度自体が周知されていないため、たらい回しやカルテ開示の拒否なども多発し、なかなか救済されません。国は、被害者を救う気があるのでしょうか。


《繋ぐ会》記者会見【仙台市】

前回の記事(下記参照)に続き、2023年2月3日に仙台で行われた、《繋ぐ会》(コロナワクチン被害者遺族の会)の記者会見で語られたことを取り上げます。

2023年2月3日に、《繋ぐ会》(コロナワクチン被害者遺族の会)の記者会見が仙台市で行われました。約2時間の動画ですが、非常に重要なことが語られています。前半は、コロナワクチン被害者駆け込み寺代表 鵜川和久氏、弁護団 青山雅幸弁護士(6:07~)、臨床薬学博士 堀内有加里薬学博士(39:56~)、後半は、被害者ご遺族の話(60:00~)と質疑応答で構成されています。

今回も臨床薬学博士・堀内有加里氏のお話から、予防接種健康被害救済制度について取り上げ、資料などで補足しながらまとめました。

予防接種健康被害救済制度

コロナワクチン接種後に、健康被害にあった方、死亡した方のご遺族は予防接種健康被害救済制度に申請することができます。厚労省のサイトに説明がありますが、申請に必要な書類が多く、申請してから審査まで1年ぐらいかかり、審査の基準も不透明です。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000912784.pdf

2月10日に認定された方の情報は、下記で取り上げました。

堀内氏は、この制度の問題点について下記のように説明しています。


・亡くなった人や重篤でなくても、副反応で何日か入院した場合も申請できる。
→制度のことがあまり国民に知られていないので、知らずに申請していない人が多い。

・申請するための書類をそろえるの大変。家族がいればよいが、接種後の健康被害に苦しんでいる本人が用意するのは難しい。また、家族を亡くして苦しんでいる遺族にとっても、心が痛み、とても大変な作業。
→作業を手伝う「保健福祉相談事業」があるが、相談員が全国で50人ぐらいしかいない。ボランティア団体にお願いしたり、市町村にある公的制度外のサービスを利用してがんばって申請するしかなく、国は「迅速に救済する」といっておきながら、迅速に救済されない。救済するためには、相談事業の拡充が必要。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_kenkouhigaikyuusai.html

それぞれ様式があり、元気な人が見ても難しく、よくわからないことが多いです。

たとえば、医療費請求書。
医療費・医療手当請求書  別紙1 PDF
2ページ目の注意事項が多く、読むだけでもうんざりしてきます。「※通院・入院日数の欄が足りない場合は、任意で別紙を作成することも可」と書かれていますが、任意で別紙を作成するのも大変だと思います。長期にわたって通院する人もいるのだから、別紙も作っておいてくれればよいのにと思いました。

・申請にはカルテを開示してもらう必要があるが、患者さんが医師にカルテ開示を頼むと拒否する医療機関がある。
→カルテ開示は患者の権利であり、医師は拒否してはいけないのに、わかっていない医療機関が少なくない。

たとえば、港区のサイトにも下記のように書かれています。

質問:医療機関がカルテ開示に応じてくれない。

回答:個人情報取扱事業者は、患者等が患者のカルテの開示を求めた場合、原則としてこれに応じなければなりません。
ただし、開示することにより、第三者の利益を害するおそれがあるときや、患者本人の心身の状況を著しく損なうおそれがあるときなどには、その全部又は一部を開示しないことができます。
また、開示しない場合、医療従事者は請求者に対し理由を示さなければなりません。医療機関側がカルテ開示の求めに応じないときは、理由を確認してください。

https://www.city.minato.tokyo.jp/imuyakuji/karutekaiji.html

本人またはご遺族が救済制度申請のためにカルテ開示を求めるのだから、「開示しない場合」にはあてはまらないはずです。

日本医師会が定める「診療情報の提供に関する指針[第2版]」にも、開示を拒みうる場合について下記のように書かれています。


3-8 診療記録等の開示などを拒みうる場合
a 医師および医療施設の管理者は、患者からの診療情報の提供、診療記録等の開示の申し立てが、次の事由に当たる場合には、〔3-1〕、〔3-2〕および〔3-3〕の定めにかかわらず、診療情報の提供、診療記録等の開示の全部または一部を拒むことができる。
(1) 対象となる診療情報の提供、診療記録等の開示が、第三者の利益を害する恐れがあるとき
(2) 診療情報の提供、診療記録等の開示が、患者本人の心身の状況を著しく損なう恐れがあるとき
(3) 前二号のほか、診療情報の提供、診療記録等の開示を不適当とする相当な事由が存するとき

https://www.med.or.jp/doctor/rinri/i_rinri/000318.html


・医療機関からカルテ開示などを断られた場合、「医療安全支援センター」が仲介してくれることになっているが、たらい回しにあうケースも多い。たとえば、病理診断の結果を渡してもらえなかった人が居住地のセンターに問い合わせたら、病院がある市町村のセンターに聞いてと言われ、そちらに電話したら「ここでは仲介できない」と言われた。

堀内氏は、「国は、各自治体に周知しなおして、国として支援を拡充してほしい」と語っていました。

現在、救済制度で認定された人は約20%、70%以上が未着手の状態。どんどん案件が増えているので、マンパワーが足りないそうです。

「ワクチン後遺症患者の会」発足

このような背景もあり、遺族の会とは別に、ワクチン後遺症に苦しんでいる方たちが「患者の会」を発足しました。現在、全国で330人が参加。ちょうど、2月17日の動画(約7分半)でCBCの大石アナウンサーが取材していました。


後遺症がどんな症状で、何をしたら改善されたかなど、情報の共有と発信のほか、救済制度の支援なども行っているそうです。


https://youtu.be/sdIG6Mme978


https://youtu.be/sdIG6Mme978

この動画の最後に大石氏は、厚労省が出した事務連絡(新型コロナワクチン接種後の副反応を疑う症状に関する研究への協力について)に触れています。厚労省がワクチン副反応に関する実態把握や治療法の研究をするために、動き出したそうです。

事務連絡の内容は、下記のページから見ることができます。

2023年2月15日 「新型コロナワクチン接種後の副反応を疑う症状に関する研究への協力について」(事務連絡)


https://www.mhlw.go.jp/content/001059019.pdf

厚労省がワクチン後遺症について調べることになったのはよいですが、メンバーに問題があると思います。

国際感染症センター長 大曲貴夫氏は、ワクチン推進派です。上記の記事(2022年11月2日付)では、「人々の行動や変異株など不確定要素がある中、目標を立てて進めることができ、結果が期待できるのはワクチンだ。国全体で一気に接種を進めるべきだ」と言っています。去年の11月にこのようなことを言っている人が、ワクチン後遺症の患者さんに理解を示すことができるのでしょうか。

また、川崎市健康安全研究所 所長 岡部信彦氏は、前々回の記事で取り上げた衆議院の厚生委員会に参考人として意見を述べていました。

けれども、こちらも残念ながら推進派としての発言が多く見られます。

下記は、2022年10月25日付のインタビュー記事です。

BA.5対応ワクチンがヒトでのデータなしで特例承認されたことについては「同じ製造法、同じ成分ですから安全性に関しては既に使用されているものと同等であることが担保できると思います。今回のような承認手続きで良いと思います」と語っています。

小児のワクチンについても「ワクチンの安全性は小さい子どもでも変わらない、むしろ大人に比べてリスクは少ないので、使えるようにすること自体はいいことだと思っています」と語るなど、安全性について疑問を持っているようには見えません。

いったい誰が、どのような理由で、このような人たちを中心メンバーに選んだのでしょうか。このままでは、HPVワクチンのように結論づけられてしまうような気がします。

「繋ぐ会」の会見では、他にも重要なことが語られていたので、次の記事でも取り上げる予定です。