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「新型インフルエンザ等感染症」でなくなれば「法の適用対象外」のはずなのに

4月13日まで、コロナ5類移行に関するパブコメを募集しています。厚労省の発言には矛盾があるのに、メディアはまったく触れていません。こんなインチキのような形で5類にすることは、本当に国民のためなのでしょうか? このまま5類になってしまったら、国民が望まない方向に行ってしまうかもしれません。

4月13日まで募集中のパブコメ

「新型コロナウイルス感染症の法上の位置付けを見直し、5類感染症に位置付けるとともに、特定感染症予防指針を定める感染症に追加する」ことなどに関して、厚労省がパブリックコメント(国民からの意見)を募集しています。

下記のページにあるフォームから意見を送ることができ、匿名での提出も可能です。

これに関する矛盾などについて、前回(下記参照)からの続きです。


「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の改正について(新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律関係)」に関するQ&Aについて より
事務連絡 令和3年2月10日

〇 こうした中で、指定感染症の指定期限(令和4年1月 31 日)以降も現在実施している措置を継続できるようにする等の観点から、新型インフルエンザ等感染症に位置づけることとしたものです。なお、厚生労働大臣新型インフルエンザ等感染症と認められなくなった旨を公表すれば、法の適用対象でなくなります。

https://www.mhlw.go.jp/content/000737653.pdf

法の適用対象に関しては、上記が重要なポイントとなります。


なぜ新しい名前が必要だったのか?

今年2月に、新型コロナウイルス感染症の名称を「コロナウイルス感染症2019」と変更する方向で調整しているというニュースがありました。

以下、THE SANKEI NEWSからの引用です。

新型コロナ名称「コロナ2019」に変更へ
2023/2/16 15:56 THE SANKEI NEWS 

厚生労働省が、新型コロナウイルス感染症の名称を「コロナウイルス感染症2019」と変更する方向で調整していることが16日、分かった。新型コロナの感染症法上の位置付けが5月8日に、危険度の高い「2類相当」から季節性インフルエンザ並みの5類に緩和されるのに伴い、呼び方を変える。「新型」という表現を止めることで特別視するような見方を減らし、平時への移行を進める狙いがある。

感染症法は感染症を危険性が高い順に1~5類に分類している。新型コロナはこれとは別枠の「新型インフルエンザ等感染症」に含まれている。

https://www.sankei.com/article/20230216-MLD7ACXSXZJWLEWN5GSL4JOX3U/

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前回の記事との関連ですが、ここでも、危険度の高い「2類相当」から季節性インフルエンザ並みの「5類に緩和される」、という表現を使って印象操作が行われています。
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3月の記事を見ると、結局、新しい名前を付けなかったようです。

以下、NHK NEWS WEBからの引用です。

「新型コロナウイルス感染症」 5類移行も法令上の名称変わらず
2023年3月13日 17時17分 NHK NEWS WEB

新型コロナウイルスの法令上の名称について、厚生労働省の専門家による部会は、感染症法上の位置づけが5類に移行したあとも変更せず、当面は今の「新型コロナウイルス感染症」を継続して使用する方針を決定しました。
(中略)

新型コロナの法令上の名称について厚生労働省は、これまで感染症法上の位置づけが5類に移行することに合わせて「コロナウイルス感染症2019」とする案も含め、見直しの検討を進めていました。

しかし、名称を変更すると「今後、感染対策は行わなくてよくなった」などと国民に誤った印象を与えかねないという意見が専門家などから寄せられたため、現在の名称を継続すべきだと判断したということです。

一方で、13日の部会では、将来的にウイルスが弱毒化するなど特性が変化すれば、名称を見直す方針も了承されました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230313/k10014006941000.html

このときはあまり気にしていませんでしたが、名前を変えなかったことにも大きな意味がありました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・以下は、前回の記事との関連。

ここでも「5類に移行することに合わせて」と、5類に移行することが当然のように書かれていますが、本来は「2類相当から下がること」=「5類」ではありません。

なぜなら、「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある状態とは考えられなくなった」ら、「分類外」になるはずだからです(前回の記事参照)。
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「新型コロナウイルス感染症」の中にある「新型コロナウイルス感染症」!?

パブコメ募集の資料に、下記のように書かれた部分があり、括弧の中に括弧があって非常にわかりにくくて、これはなんなんだろうと気になっていました。

新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。以下同じ。)

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000250684

これについて、3月13日に開催された厚生科学審議会の議事録に説明がありました。

2023年3月13日 


○杉原エイズ対策推進室長 
資料3「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の呼称について」という資料を御覧ください。
(中略)
更に、法令上の定義ですけれども、2020年2月に指定感染症としまして「新型コロナウイルス感染症」が指定されましたが、この際、法令上の定義としては、新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルスであるものに限る。)さらに病原体は、「令和2年1月に中華人民共和国からWHOに対して人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。」とされたものが、2021年2月の法改正で、「新型インフルエンザ等感染症」の中の「新型コロナウイルス感染症」という箱の中の感染症の具体的な名称として「新型コロナウイルス感染症」、これが同じようにベータコロナウイルス属のコロナウイルスであって令和2年1月に中華人民共和国からWHOに対して人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限るという名称になっております。

5月8日にこのまま類型変更がなされればということになりますが、この場合は、「新型コロナウイルス感染症」という箱自体は新型インフルエンザ等感染症の中に法令の規則上残るわけですけれども、感染症の名前としては、現時点では「新型コロナウイルス感染症」として5類感染症に位置づけるという変更の提案でございます。 

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32425.html

やはり何を言っているかよくわからないのですが、少しわかりやすい資料がありました。

資料3より

https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001070844.pdf

これと下記を合わせると、なんとなく見えてきます。

新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けに係る考慮要素について 令和4年12月23日 より

https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001029786.pdf

WHOの国際疾病分類上、疾患名が「Coronavirus disease 2019 (COVID-19) 」となっているので、2020年1月に中国からWHOに報告があったものは、以下「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」と書きます。

2020年2月~2021年1月までは、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」は「指定感染症」として位置づけられていました。

それが、2021年2月からは「新型インフルエンザ等感染症」の中に「新型コロナウイルス感染症」と「再興型コロナウイルス感染症」が追加され、分類上の「新型コロナウイルス感染症」という箱の中に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」が入れられたということのようです。

この箱である「新型コロナウイルス感染症」は、「コロナウイルスを病原体とする感染症であって、新たに人から人に伝染する能力を有することとなったもの」かつ「当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの」を意味しています。

その箱の中に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」を入れて、そのまま「新型コロナウイルス感染症」と呼んでいるので、非常にややこしいことになっています。

もう少しわかりやすくなるように、図にしてみました。


(参考) 令 和3年2月3日 健発0203第2号
新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律関係


2023年1月27日に開催された厚生科学審議会では、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」について「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある状態とは考えられない」ということで話がまとまったはずです。

議事録より

○江浪結核感染症課長 
3ページの頭にございますが、新型コロナウイルス感染症は、感染症法に基づく私権制限に見合った「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれ」がある状態とは考えられないことから、新型インフルエンザ等感染症には該当しないものとし、5類感染症に位置づけるべきであるとしてございます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31238.html

5類移行とセットで話が進んでいる点がおかしいのですが、たしかに「感染症法に基づく私権制限に見合った状態ではない」と言っているのです。

ということは、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」はもう国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある「新型コロナウイルス感染症」ではないので、法的には箱である「新型コロナウイルス感染症」から出さなければなりません。

ですから今は、箱から出て法の適用対象外となっているはずなのです。5類への移行は、いったん箱から出した後の話だと思うのですが、なぜか箱から出したら5類に入れることがセットになってしまっています。

分類外なら名前をつける必要もなく、他の風邪と同様に扱われるはずです。5類に入れたいので新しい名前が必要になったのですが、結局、新しい名前は付けずに、「新型コロナウイルス感染症」(・・・)という長い括弧書きがくっついた名前のままになりました。

何のために、こんなわかりにくいことをしているのかについても、考えなければならないと思います。

前述のNHKニュースには、下記のように書かれていました。

名称を変更すると「今後、感染対策は行わなくてよくなった」などと国民に誤った印象を与えかねないという意見が専門家などから寄せられたため、現在の名称を継続すべきだと判断したということです。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230313/k10014006941000.html

「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある状態とは考えられない」と言っておきながら、国民にはまだ怖いものだという印象を与え続けておきたいということなのでしょうか。

個々での感染対策が不要だと言いたいのではなく、法的なレベルで必要かという問題です。

箱の話で考えれば、もう「新たに人から人に伝染する能力を有することとなったもの」でもなく、「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの」でもなくなっているので、「新型コロナウイルス感染症」ではないはず。それなのに、まだそう思わせておきたいなんて、国の機関がやることなのでしょうか。

厚労大臣が法に則って「新型インフルエンザ等感染症と認められなくなった」と公表しなければならないはずなのに、なぜ公表しないのでしょうか。

本来なら、5類にするためには下記のような発表をする必要があると思います。


それなのに間の発表を飛ばして、下記のように進めようとしています。


https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001070844.pdf


「2類相当から分類外になりましたが、新たに5類へ格上げしようとしています。どう思いますか?」と意見を求めるべきところを、「2類相当から5類へ格下げでいいですね?」と、反対意見が出ないような印象操作を行っているのです。

厚労省が手順を無視して5類にしようとしていることを、そのまま受け入れてよいのでしょうか? 

このことに、メディアがまったく触れないのもおかしいと思いませんか? 私には、コロナワクチンのリスクにまったく触れなかったのと同じ流れに思えて、このままでは取り返しのつかないことになりそうな気がしています。取り越し苦労ならそれはそれでよいと思いますが、意見を言っても損はありません。

おかしいと思ったら、今なら意見を送ることができます。
意見を提出できるのは、4月13日までです!!
まだ500件ぐらいしか送られていないようです。
500件では、おそらくスルーされてしまうでしょう。でも、1万件ぐらい集まれば、無視できないようです!!!

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以下、パブコメ関連の続きです。