見出し画像

調べないことの罪

note公式でお題企画「#私の仕事 with サイボウズ式」という募集があったので、ライターとしての仕事と関連して、この3年間思っていたことを書くことにしました。

情報を発信することの責任

私はフリーランスのライターとして、様々な原稿を書いています。ライターなので書くことが仕事ですが、書くことと同じくらい調べることも大切です。例えばインタビューの仕事では、取材対象者やテーマについて事前に調べたり、インタビューが終わってから、相手が話した内容で事実関係が曖昧だった部分を調べたりします。間違った情報を発信しないように、一次情報にさかのぼって調べることも、ライターがするべき仕事の一部です。情報を発信する人には、その責任があると思っています。

ライターだけでなく、テレビなどのメディアに関わる人たちも、情報を発信する前には、調べることに時間を費やしていると思っていました。けれどもこの3年間、テレビのニュース番組や情報番組に関わっている人たちは、政府に言われるままを報じているだけで、何も調べていないのではないかと感じています。

例えば、コロナワクチンに関する情報は、あまりにも偏っています。コロナ前までは、ワクチンの実用化までには早くても7年はかかると言われていました。それなのに、コロナワクチンはたった300日で実用化されたのです。今後、100日で実用化する動きもあります。

基礎研究はされていたとしても、ヒトに対して初めて使われるmRNAワクチンがそんな短期間で実用化され、なぜ「安全です」と断言できるのでしょうか。中長期のリスクについては「わからない」としか言えないはずなのに、ある時期から、メディアではワクチンに対して慎重な専門家の意見は取り上げられなくなりました。

このことに、ニュース番組や情報番組に出演している人たちがなぜ疑問を感じないのか不思議でした。コロナワクチンの審査報告書を見れば、リスクについてはわからないことだらけなのに。

「審査後にわかってきたこともある」という人もいますが、厚労省は医薬品等の広告について、下記のように指導しています。

医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日薬生監麻発0929第5号厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf

「明示的又は暗示的であるか否かにかかわらず承認等を受けた効果効能等の範囲をこえてはならない」はずなのです。

ですから、テレビでワクチンについて語るなら、まずは審査報告書を見るべきです。審査報告書は、誰でも見られるように公開されています。

審査報告書 より

https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_6.pdf
https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_6.pdf
https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_6.pdf
https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_6.pdf

承認審査の段階では「期待」ばかりで、「長期の有効性及び安全性や重症化抑制効果は現時点では不明」だったのです。

不明なのですから、リスクを否定することもできないはずです。それなのに、リスクについて発信すると、元ワクチン担当大臣などが「デマだ」と否定して、メディアも「デマ」としてそれを報じました。

2023年9月1日時点で最新の添付文書にも、効能・効果については下記のように書かれています。

https://www.mhlw.go.jp/content/11123000/001140464.pdf

今でも予防効果の持続期間は確立していないし、重症化を予防するとも書かれていません。

また、すでに緊急事態ではないのに、特例承認のワクチンを使い続けていることもおかしいのに、それをテレビ番組で指摘する人もこれまでいなかったと思います。

参考)特例承認とは
   医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14 条の3第1項の規定に基づき、
   1.疾病のまん延防止等のために緊急の使用が必要、
   2.当該医薬品の使用以外に適切な方法がない、
   3.海外で販売等が認められている、
  という要件を満たす医薬品について、承認申請資料のうち臨床試験以外のものを承認後の提出としても良い等として、特例的な承認をする制度です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16734.html

厚労省は、2023年1月27日の厚労科学審議会で「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある状態とは考えられなくなった」と言いました(下記参照)。

このような矛盾を知っていて、テレビに出ている人たちは、あのように平然と視聴者に偏った情報を伝えることができるのでしょうか。調べていないから、平然としていられるのかなと思ってしまいます。

一方で、番組スタッフの中には、調べたけれどそれを発信することができなかった人もいると思います。発信できなかったのは、上司の許可が出なかったからでしょう。上司が許可を出せないのは、企業のトップ、スポンサーや株主、国の意向に逆らえないからでしょう。そうなってしまったメディアは、役割を果たしていないどころか、事実を伝えないことにより視聴者に害を与えてしまっています。「安全だ」というテレビの情報を信じた多くの人がコロナワクチンを接種して、亡くなったり健康被害に苦しんでいるのです。テレビ番組に関わる人たちは、罪の重さを自覚しているのでしょうか。


テレビの力は親よりも大きい!?

9月7日に行われた医療学会「ワクチン問題研究会」設立に関する記者会見も、在京キー局は報じませんでした。

厚労省の会見室で行われたものであり、怪しい団体でもありません。ワクチン接種後の健康被害に苦しみ、病院でまともに治療をしてもらえない人たちのために設立した学会です。同じ時間帯に行われたジャニーズ事務所の会見は長々と報じているのに、こちらの会見には一切触れません。

コロナワクチン接種後に、死亡した人や健康被害で苦しんでいる人がいるのは事実です。国が因果関係を「評価不能」として逃げているので、国に代わって因果関係や治療法を調べるために「ワクチン問題研究会」が設立されました。因果関係の「評価不能」は、「因果関係がない」と証明されたわけではありません。サリドマイド薬害のメカニズムが解明されたのは、50年以上経ってからでした。

厚労省が接種を継続させていても安全とは限らないことは、過去の薬害事件からもわかっているはずなのに、テレビでは事実を事実として報じません。

テレビ番組が取り上げないこの会見では、設立の目的などのほか、日本が製薬会社と不平等な条約を結ばされてしまったこと、ジャーナリストの責任放棄、厚労省の隠蔽についても語られています。それら以上に私が衝撃を受けたのは、代表理事の福島雅典氏(京都大学名誉教授)がご自身の家族について語ったことです。

福島教授には3人のお子さんがいますが、ワクチンの危険性について説明したのに、接種しなかったのは1人だけだったそうです。さらに、ご自身の兄弟も接種してしまい、接種した人はみんなコロナに罹患。兄弟のうち1人は、接種後に自己免疫疾患になってしまったとのこと。福島教授は、薬の副作用に関する事例研究や薬害防止に尽力してきた方です。そのような専門家でも、自分の子どもや兄弟に耳を傾けてもらえなかったなんて・・・。それほどまでに、テレビは大きな力を持っていることを痛感しました。テレビには大きな力があるからこそ、きちんと事実を調べて報じない罪も大きいと思います。

私に大きな力はありませんが、もしかしたら、自分が発信した情報が誰かの人生に影響を与えてしまうことはあるかもしれません。ですからこれからも、「書く」作業と同じくらい「調べる」作業も大切にしていきたいと思っています。