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不正確なワクチン情報の拡散に注意! レプリコン(変異株対応)は来年秋冬の供給を目指して開発中

11月28日の厚生労働大臣記者会見で、国産の新型コロナワクチン2品目について「承認を可」とするとの審議結果が発表されました。2品目とは、第一三共社のオミクロン株XBB.1.5対応ワクチンと、Meiji Seikaファルマ社のレプリコンワクチン(起源株対応)です。SNSでは、この2つに関する情報がごちゃまぜになっている発信が見られます。

厚生労働大臣記者会見(2023年11月28日)


大臣:
 本日は、国内企業が開発に成功した新型コロナワクチンの薬事承認について、ご報告いたします。11月27日、月曜日の薬事・食品衛生審議会(医薬品第二部会)において、国産の新型コロナワクチン2品目について審議を行い、承認を可とするとの審議結果をいただきました。本日、第一三共社のオミクロン株XBB.1.5対応ワクチンおよびMeiji Seikaファルマ社の起源株対応ワクチンにつきまして、有効性・安全性が確認されたことから、薬事承認を行うこととしましたので、ご報告いたします。

第一三共社のXBB.1.5対応ワクチンにつきましては、現在実施中の秋開始接種で使用されるワクチンとして準備が整い次第、12月4日の週から自治体へ配送する予定です。また、Meiji Seikaファルマ社の新型コロナワクチンにつきましては、世界初のレプリコンmRNAワクチンとして、世界に先駆けて初めて承認されたものとなります。同社のワクチンは起源株対応であり、今後、変異株対応ワクチンの開発を進めるものと承知しています。厚生労働省としては、今後の感染症危機を見据え、感染症に対する国産ワクチンを国内において開発・生産できる体制を確立するため、引き続き必要な支援を行ってまいります。いずれも詳細については、事務方にお尋ねください。私からは以上です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00626.html


第一三共のオミクロン株XBB.1.5対応ワクチンは、「12月4日の週から自治体へ配送する予定」と言っています。

けれども、Meiji Seikaファルマ社の新型コロナワクチンは、「起源株対応であり、今後、変異株対応ワクチンの開発を進める」と言っています。

これについて、テレ朝ニュースでも下記のように報じています。


https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000325953.html

今回了承されたのは従来株対応のため供給の予定はありませんが、今後、変異株に対応したワクチンの開発も進め、来年度からの出荷を目指しています。

https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000325953.html

Meiji Seikaファルマ社のリリースにも、下記のように書かれています。

新型コロナウイルス感染症に対する次世代 mRNA ワクチン(レプリコン)「コスタイベ筋注用」の国内製造販売承認取得に関するお知らせ
~次世代 mRNA ワクチン(レプリコン)として世界で初めての承認~

Meiji Seika ファルマは CSL Seqirus と日本国内における供給・販売提携に関する契約を締結しており、製造については、株式会社 ARCALIS と連携し、福島県南相馬市の製造施設で原薬から製剤まで国内で一貫して製造できる体制の構築を進めています。現在、変異株対応の追加的な臨床試験を進めており、来年の秋冬接種に向け 1 日も早い実用化を目指してまいります。

https://www.meiji-seika-pharma.co.jp/pressrelease/2023/detail/pdf/231128_02.pdf

今回承認されたのは起源株対応ワクチンで、それは供給の予定なし。変異株対応ワクチンは、まだ臨床試験中ということです。

レプリコンワクチンの接種が12月から始まるという発信をしている人がいますが、それは間違いです。

レプリコンワクチンについては、下記の記事で取り上げました。



第一三共のオミクロン株XBB.1.5対応ワクチン

https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001171222.pdf

こちらは、配送スケジュールが組まれています。

レプリコン(自己増殖型)ワクチンが承認されてしまったことはショックですが、慌てずに、情報をしっかりと確認してから発信しなければ、様々な混乱の原因になってしまいます。

インフルエンザワクチンについて

もう1つ気になったのが、「今年度のインフルエンザワクチンもすでにmRNAだった」という情報です。いろいろ噂は以前からありますが、今回、根拠とされている資料からはそのような事実は確認できないと思います。


https://www.nihs.go.jp/mtgt/pdf/section3-2.pdf

右端の開発段階に注目すると、ARCT-154の下からはすべて臨床試験中です。P1はPhase 1、第1相試験中ということになります。


https://www.nihs.go.jp/mtgt/pdf/section3-2.pdf

インフルエンザのワクチンはどれも試験中なので、この資料からは「すでに使用されている」ことは確認できません。

SNSではすでに訂正があったのかもしれませんが、発信された情報は一人歩きしてしまうので、訂正が一緒に伝わるとは限りません。

重要な情報は、一刻も早く伝えたいと思う気持ちはわかります。けれども、情報を得たときは、しっかりと自分の中で消化してから発信する習慣をつけることが、自分のためにも、周りのためにも必要だと思います。