ハイ-スタンダード。

　もう秋めいてきたというのに、夏の歌を聞いている。SUMMER OF LOVE。好きだった曲。

　写真のアルバムに収録されている。手にとるのは何年ぶりだろう。たぶん、ほぼ20年ぶり。あの頃は欲しくても買えなかった。お金がなかったから。迷いに迷って、同じバンドの別のものを買った。だから、このアルバムは持っていなかった。

　インディーズだったし、ツタヤにも置いていなかった。で、友達に借りた。すぐにMDにコピーした。擦り切れるまで聞いた。愛用していたソニーのMDプレーヤーで。低音にノイズが混じるまで聞いた。

　あの頃の、ぼろぼろのMDに入っていた、ぼろぼろのMDでしか聞いたことのなかった、アルバムが、手元にある。さっき手に入れた。

　ネットで中古が破格で売っているのを見つけて、懐かしくなり思わず、ポチっとした。数日後の今日、自宅に届いた。手の中にある大好きなバンドのアルバムは思ったよりピカピカで新品のよう。

　ジャケットを眺め、ドキドキしながら封を開け、歌詞が載った冊子を見る。あの頃もそうだったと思い出す。CDって、そういうものだった。

　しかし、こんなだったっけ。バンドの3人の写真が若い。今はレジェンドの彼らが、このアルバムの時は20代だろうか、とても若い。

　そりゃそうだ。ジャケット裏に記された発売日を見ると、1995.11.1。ん？　15年前…いや、いや、いや、、25年前!? 　25年!!!!

　時間が経ったなぁ。。。

　ノートパソコンを開いてソフトを立ち上げ、CDを読み込ませる。すぐに、全曲がパソコンに落とされた。

　あの頃はMDに録音するのに時間がかかったんではなかったか。曲名を一文字ずつ、手打ちして登録した。今は、ネットから自動で情報を得て曲名が瞬時に全てパソコンに表示されている。一瞬のことだ。

　大人になるってどういうことなの？　この間、息子に聞かれた。横で寝息をたてている息子に。いろんな経験を積むことだとか、お酒が飲めるだとか、仕事をするだとか、説明したけれど、このアルバムを前に、なんだか実感している。

　大人になるって、欲しいものが買えることなのかもしれない。何も考えずに、即買いできることなのかもしれない。

　時の流れって、スゴイですね。

　アルバムの名前は『GROWING UP』。

　同名の曲も収録されている。こちらも好きだった曲。

　あの頃から、成長はしたのだろうか。

　秋の夜長にセンチ（死語？）になるのは、年をとった証左なのかもしれないですね。

　よし、もう1回、初めから聞こうっと。