年末特別企画⑤:2023年 BEST映画トップ3『春に散る』『首』『RRR』(順不同)次点『アステロイド・シティ』
2022年7月ミニシアターの草分けである東京・神保町の「岩波ホール」、9月大阪の「テアトル梅田」など、歴史あるミニシアターが相次いで閉館。ここ名古屋でいえば2023年3月に「名演小劇場」が休館、さらに7月に「名古屋シネマテーク」が40年余りの歴史に幕を下ろした。理由のひとつは、コロナ禍を経た経営難だった。寂しい限りだ。可能な限り劇場に足を運びたいと改めて思った1年であった。
そんな中、閉館した「名古屋シネマテーク」が 創業資金の一部をクラウドファンディングで募り、2024年2月ごろの開業を目指すという嬉しいニュースが。
新映画館の名称は「ナゴヤキネマ・ノイ」。 「ノイ」はドイツ語で「新しい」という意味。客席40人の1スクリーンだったシネマテーク跡地を居抜きで使用するらしい。 (※フランスの映画監督ゴダールの東西ドイツ統一を題材にした作品「新ドイツ零年」から、「新」を意味するドイツ語「ノイ」と命名) 期待して待ちたい。
新しい年も、いい映画に出会えるといいな。
迷いに迷った結果、鑑賞後 心に残った滞在時間の長さでこの3本(+1本)と追悼1本です。
『春に散る』
監督:瀬々敬久
原作:沢木耕太郎
主演:横浜流星
佐藤浩市
作り手の熱が伝わってくる 熱き映画
猛る横浜流星
老獪佐藤浩市
飄々と窪田正孝
薄幸の橋本環奈
そのほかもキャスティングが見事にハマっていた。
脚本にあと少し深みが欲しかったが それを遥かに上回る俳優陣の熱演
迫真のボクシングシーンは必見。
ただスローカットは興ざめしたが、目を瞑ろう。
”今しかねえんだよ!”叫ぶ翔吾に胸が熱くなる。
そして仁一達は忘れ物を取り戻しにいく。
如何に生き如何に散るか。
久しぶりに阪本順治監督『どついたるねん』(1989)が観たくなった。
『首』
監督:北野武
出演:ビートたけし
西島秀俊
出世を餌に無理難題をぶつけ パワハラ、モラハラしまくりで
裏切り 騙し合い 邪魔者は排除 いつの時代もやってることは同じだが
この時代の方がより欲望に忠実で 性に寛容、奔放で 人間臭い 狂人ばかりの世界。
北野映画の乾いた死 命の軽さ 戦国の世にぴたりとはまる。
鑑賞後、更にじわりじわりと染みこんでくる
キタノとビートが描く戦国絵巻。
『RRR』
監督:S・S・ラージャマウリ
主演:N・T・ラーマ・ラオ・Jr
ラーム・チャラン
公開当時(22年10月)から観たくて観たくて
劇場の大スクリーンで観ないと後悔しそうで、
しかし179分という時間がとれず、年を越してしまったが、
ロングランのおかげで3か月遅れで観ることが出来た。
約3時間の上映時間、体感的にはあっという間でもっと観ていたかった。
鑑賞後3か月くらいは主題歌「ナートゥ・ナートゥ」(第95回アカデミー賞歌唱賞受賞!)のMVをヘビロテしていた。
ドはまりした興奮の1本。
次点1『アステロイド・シティ』
監督:ウエス・アンダーソン
主演:ジェイソン・シュワルツマン
スカーレット・ヨハンソン
トム・ハンクス
とにかく絵面、画角が好き。
どこが面白かったかと説明はできないが(わかりやすく面白かった
『バビロン』や『フェイブルマンズ』を選出しようと思ったが)
しばらく頭から離れなかったのは、このアンダーソン作品。
ジェフ・ゴールドブラムの熱演?もシュール。
ヨハンソンとマーゴット・ロビーが出ていたのも嬉しかった。
次点2『L.A.大捜査線/狼たちの街』(1985)
監督:ウィリアム・フリードキン
出演:ウィリアム・L・ピーターセン
ジョン・パンコウ
ウィレム・デフォー
2023年8月7日、ウィリアム・フリードキン監督死去。87歳。
追悼の1本。
唯一、劇場で観たフリードキン監督作品。
あまり知られていないが、これはおススメ。
衝撃のラスト。北野武監督が『その男、凶暴につき(1989)』を作るにあたり参考にしたとも。
まだ観ていない作品があるので、これからもフリードキンの世界に触れていきたい。 R.I.P.
(text by電気羊は夢を見た)
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