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waraineko
懐かしい声【500文字小説】
夜、私は懐かしい声を電話で聞いていた。
その声は優しさに包まれ、言葉は愛情に満ちていた。
私は確信していた、それは別れた妻の声だと。
私たちは昔、幸せな日々を過ごしていた。
しかし、たった一度の過ちで、私たちは別れざるを得なくなり、離婚した。
その後、私たちは音信不通になっていた。
だから、彼女の声を聞いて、私は驚きと喜びで胸がいっぱいになった。
私たちは長い間話し続けた。
出会った頃のこと、一緒に行った旅行の事。
彼女は「そうね」と、わたしの話を静かに聞いてくれた。
私は心を打たれ、未来についても語り合った。
再び一緒にいる日が来るかもしれないと思った。
長い電話が終わり、私はベッドに横になった。
窓の外から差し込む月明かりの下、私は考えていた。
何かが違っていた。声、言葉、全てが正しいように思えたが、一つだけ疑念が残った。
なぜ、今になって電話をしてきたのだろうか。
あれは、本当に妻だったのか。
そして、疑念は真実であることを証明した。
私の携帯電話が再び鳴った。
電話に出ると彼女の声が聞こえてくる。
と、同時に、寝室の扉が静かに開いた。
そこに立っていたのは、かつての妻ではなかった。
彼女に瓜二つの……私の双子の妹だった。
〈了〉
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