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愛すべき玉響はきっとどこかに存在する/ドラマ『リバーサルオーケストラ』最終回

すっかり春の日差しになったけれど、ここ2週間ほどはなかなか晴れず。だが今日は、夕暮れに日が差し込んできた。部屋の窓を開けていたら、ホルンを奏でる音が響いてきた。近所にピアノ教室がある。昔はよくそこからピアノが聞こえてきたが、最近は防音対策を完璧に施しているのか一切聞こえなくなった。苦情でもあったのだろうか。

ただ、聞こえてくる方角から考えると、ホルンの音はそのピアノ教室からだ。窓を開け放って、音楽仲間が練習しているのかもしれない。

わが家がオレンジ色に染まる中、やさしいホルンの調べ。なんて心地いい音を奏でるのか。

誰も苦情を言うなよ。

そう願いながら、初音と蒼くんが一緒に練習していたあの部屋を思い出した。

ドラマが終わって2週間以上が経ってしまった。

天才ヴァイオリニストとツンデレのマエストロ、その仲間が繰り広げたドラマ『リバーサルオーケストラ』の終盤について、書き連ねたくなった。

まさか前野朋哉さん演じる土井や、岡部たかしさん演じる小野田の玉響愛に泣かされる日が来るとは……。常葉朝陽の玉響愛には、「おいおい、君が犠牲になって高階フィルへ移籍しても意味がないことに、早く気づきなさいよ」と呆れ気味になったが、暴風みたいな初音の行動力と三島親子・高階藍子の寛大さに救われて、どうにか問題を突破。無事に全員で同じ舞台に立ち、オーケストラとして演奏することに成功した児玉交響楽団。王道中の王道の展開にも関わらず、最終回はヤキモキした。

本宮議員をも陥落させた素晴らしい「チャイ5」(チャイコフスキー 交響曲第5番)。だんだんベートーベン風のヘアスタイルになってきた朝陽の父親である市長と共に、私もテレビの前で「ブラボー!」と叫んでしまった。それにしても本宮議員の嫌がらせは、ドラマじゃなかったら捕まってる案件じゃないのか?

初音の告白以降、特に進展のなかった朝陽と初音。余韻を残したラストで十分だった。門脇麦さん、湿り気のある役が似合う役者さんだと思っていたけれど、このドラマでは特に後半、音を奏でるのが楽しくて仕方ない、あっけらかんとした初音を瑞々しく演じてくれた。可愛らしい初音っちだった。それと田中圭さん。ファンの方には申し訳ないが、春たん以外で「この役いいね」というイメージがあまりなく(『おひさま』のお兄ちゃん役は好き)、今回も「いやいやいや、タクト振りといえば玉木宏さんの千秋でしょうがーー!」と勝手にハードルを上げて初回を観ていた。が、笑わない低音ボイスの田中圭って、いいなあ(白旗)。この役が一番好きかもしれない。

今期のドラマ、日曜日の氏真を熱演した溝端くんといい、子犬感満載だった火曜日の一星・北村くんといい、金曜日の護と日曜日の正信・松ケンといい、あまり興味のなかった役者さんに魅了されることが多かった。


最終回のラスト。二人が手をつなぎ直すシーンは、いかにも“ツンデレ朝陽”という感じがお気に入りで何度もリピートしてしまった。

最後まで全員が主人公。大人になって、皆であんなに何かに夢中になることはそうはない。たとえそれが職業であっても。むしろ、職業だから余計に機会はないかもしれない。

数ヵ月前までポンコツだった児玉交響楽団。いつか再び玉響の皆に会えるだろうか。土井の息子は、また演奏会を聴きに来てくれるだろうか。穂刈さんの奥さまは元気だろうか。藤谷と玲緒は結婚生活を無事に送っているだろうか。喧嘩しても町中華で仲直りしてそうだけど。蒼くんと奏奈のその後は? などと、2週間経ってもいろいろ妄想中。個人的には、私も谷岡家に居候して唐揚げが食べたい。

3ヵ月、とても楽しかった。
ありがとう玉響!
また必ず会いましょう。

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