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英語も岡山弁も人種もごった煮のクドカン発エンタメ/ドラマ『新宿野戦病院』

フジテレビでクドカンドラマを観るのが新鮮。

(以下、一部ドラマの内容を含みます)

ここしばらく、余白の多い三瓶とミヤビの世界を観てきたせいか、初回では情報過多、おまけに全員クセ強キャラで頭が大渋滞になってしまった。正直、ストーリーどころじゃなくて(笑)。いやー、クドカンドラマの台詞の多さよ。ええっと、もう一回言って! と何度思ったか。ついていくのに必死だ。

住めばミヤコ(都)蝶々!

ようやく登場人物たちを頭に入れて、物語として視聴できたのは第2話だった。地方在住なので新宿・歌舞伎町といえばホストのイメージしかなかったが、昨今は“トー横キッズ”ということばをよく耳にするようになった。初めてトー横と聞いたときは、「東横インがどうかしたのか?」と思ったぐらいである(ごめん)。だが数年前にある事件が起きたことで、その実態を知ることに。そのせいか、今の歌舞伎町には重い社会問題を抱えているイメージが強い。そんな街を、クドカンはどんな風に描くのだろうと思っていた。

それにしても、「BRUTUS(ブルータス)」からの「Bluetooth(ブルートゥース)」、そこからの「これがほんとの鼻歌」って、ことば遊びにもほどがある(笑)。「抗生物質は出してるけど、手は出してない」(by Dr.田島)とか、突然の伊藤修子さん登場とか、あちこちで笑ってしまった。

手術は雑だが判断に間違いはなく、頼れる元軍医・ヨウコ・ニシ・フリーマン(小池栄子さん)。ただし日本での医師免許がないため、バレたら「聖まごころ病院」存続の危機になりゃせんか、今からヒヤヒヤしている。まあ存続しなければ、これ幸いと院長の甥で仲野太賀さん演じる高峰亨と、その父で生瀬さん演じる啓三が病院を更地にして美容クリニックを開業するんだろうけど。

ヨウコが発する「絶対ワザと言ってるよね」的な英語と岡山弁のごった煮は、オーバーアクション気味でコメディー色強め。雑だけど(しつこい)「ワシはあんたが死んだら、ぼっけー悲しい!」と言い、命に平等に向き合うヨウコの強さと生き方を表現しているようで私は好きだ。ただ、世間では賛否両論らしい。

最近給料もらえてないのに忠誠心で働く高畑さんじゃなかった、経理の白木も相当ヤバいけど、パパ活希望の横山(直言!)や顔面偏差値ランキング上位の田島、とにかく外科医と結婚して病院を継ぐことで自分の存在意義を見出そうと、あずさ2号に乗っちゃう院長の娘・はずき(梅子さん!)などなど、病院の面々はヤバい人だらけである。

そんな病院を影でまわすのは、看護師長の堀井しのぶ。塚っちゃん! ぺヤング食べたくなったよ、私も。世間では「もうこういう役で笑わすの、やめよう」と言われる対象みたいだけど、クドカンは別に笑わせたくてこの役をつくったのではないと思う。もともと演技力には定評がある塚っちゃん。しのぶをグレーゾーンで演じ切る彼に安心感を覚える。それは役柄である看護師長としての安心感にもつながっている。バイト先に似た人がいるんだよなあ。

ちょっと脱線するけど、さっきウィキってみたら塚っちゃんの母上は鹿児島県薩摩川内市の離島・下甑島出身と書いてあった。え!そうなの? この島には、『Dr.コトー診療所』のモデルの先生が長年いた診療所がある。意外なところで縁があるものだ。そう思っているのはコトー好きな私だけなんだけど(笑)。

ちなみに、2018年から薩摩川内市の観光大使もやっているらしい。2018年と言えば、大河ドラマ『西郷どん!』で西郷隆盛に仕えた熊吉を演じた年。鹿児島にはそういう縁もあるということか。

今後も堀井看護師長の活躍が楽しみである。

Dr.三瓶から「あなた医者ですか?」と詰め寄られるかもしれない雑さ(ほんと、しつこい 笑)はあれど、「ワシがおる限り命は助ける。何べん死のうとしても、ぜってぇー助ける」と言い切るヨウコ。そのことばが、行き場のないトー横キッズ・マユの心に響いたことがうかがえたシーンには、ずっとコメディーのつもりで観ていたから(いやコメディーよ、基本)ハッとしてしまった。亨のマドンナ的存在の南舞も、おそらく秘めたる思いがあっての諸々(省略)なのだろう。ハイテンポ、ギャグ満載だけど、歌舞伎町の今を描くのはなかなかシビアである。第3話以降も、まだまだワケありな登場人物たちが出てきそうだ。

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