見出し画像

私の人生を変えた本

先日書店パトロールをしていると、クウネルという女性雑誌の特別編集号が出ていて、その特集というのが、『私の人生を変えた本』、というものだった。

私は、いい特集だ、と思いそれを手に取りパラパラと眺めた。

数多の著名人、文化人が、それぞれ自分の気に入りの、特別な本を紹介している。
美しい書影が美しいレイアウト組の中に並んでいる。

こういう本で嬉しいのは、私が識らない本というものを知ることが出来るということだ。そもそも、ここでピックアップされている方々は私の嗜好とは異なる人々ではあるが、とはいえ、人の好きな本というのは気になるものである。
国内だけではなく、外国の方々も紹介されている。皆さん品がいい。私のような下等で下品な人間からすれば、けっ!と言うところだが、たくさん本が紹介されているのだから、良しとしよう。

人間というものは、基本好みの系統へと流れるようにできているので、自分の好きな作家や世界などに関しては深掘りはすれど、全く興味のない分野というものは、そこにあることすら気づかない。

そう、気づかないのである。よく、「この鈍感ッ!」と片思いされているキャラクターに怒られる場面があるが、人間というものは、自分の見たいものしか見えていないのである。全然違うか。

本屋には本が山積しているが、それらはあって、ないのである。興味のないものは気づきもしない。知識のない人間には豚に真珠、猫に小判、馬の耳に念仏、なのである。
けれども、興味が出ると、今までそこにあった本が突如発光し出し、こんな素晴らしい本に誰も気づいていないなんて、となるわけである。

そして、そう考えられる今でもそうだ、私はまだ気づいていないのである。あの宝石を、あの星々を、まだ視えていない。昔の私とは違うのならば、それらがまだどこかに存在していることだけはわかっているということだろうか。

そして、本屋で平積みにされている本はその逆で、あれは、要は売出し中のアイドルであり、成功した俳優でもあるのだ。
彼らは意識せずともその存在を誇示する、まぁ、なんというかはしたない連中であり、けれども知名度は抜群である。「◯◯賞受賞!」とか「◯◯万部突破!」とか「◯◯さん激賞!」とか書いてある。チンカスにも劣る惹句だが、それを見て手に取る御仁もたくさんおられる。

私はああいう、平積みされた本が嫌いである。いや、まぁ、別に本自体は嫌いではないのだが、あの、色々な忖度や欲望や自尊心や虚飾がその裏に透けてみえて、それが嫌いなのである。

さて、『私の人生を変えた本』、私にとって、どれが該当するだろうか。
ちょっとずつ、すべての本が、私の人生を少しずつ少しずつ、動かしているのだ。だから、大きな1冊というのは、無いのかもしれない。

そんなことを考えて歩いていると、いつの間にか映画本のコーナーに辿り着く。そこには、あの、忌まわしきバーベンハイマーというミームの元凶であるクリストファー・ノーランの本が出ているではないか!(まぁ、彼は完全にもらい事故だが)。
安定のフィルムアート社である。すでに7月に発売されていたようだ。
コブも回していたコマが回転している。多分、今こうして私が打っているその時間もまた夢なのだろう。人生は夢。

クリストファー・ノーランって本当に天才だと思うけれども、毎回映画の後半の画作りが適当というか、雑になるんだよな。2時間半とか3時間とかそういう映画ばかり撮るからじゃないか。もう少しシャープに1時間40分くらいに刈り込んだ方が良いよ。『インセプション』とは本当に前半は神がかってるし、『テネット』も後半はもっさりするし……。たくさんの人が動くのが苦手なのかな。全編通してキレてたのは『インターステラー』かしら。
『オッペンハイマー』は勿論観たいし、というか、米国以外で上映するなら日本しかないわけで、まぁ、賞シーズンの頃にやるのかしら……。
と、いうか、私が一番ショックなのは、ハリウッドの俳優のストライキの影響で『DUNE-パート2‐』の公開が2024年4月に延期されたことであり、これには腰砕け。

そして、購入したのは講談漫画の『ひらばのひと』の最新4巻。

相変わらず新刊書店に1冊しか置いておらず、悲しい限りだったが、おそらく今作はドラマ化すると見ている。いや、でもあんまり売れていないと無理なのかな……。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?