Seiji Kato (仏光)

神奈川県大磯で仏像専門の骨董店を営んでいます。 もともと編集者として働いていたのですが…

Seiji Kato (仏光)

神奈川県大磯で仏像専門の骨董店を営んでいます。 もともと編集者として働いていたのですが、 改めて古典文学の魅力を広く知っていただければと考え 投稿をはじめました。 普段は地域の骨董市などにもお邪魔をしています。 「仏光」の名を見かけたらお声をかけてください。

最近の記事

【徒然草 現代語訳】第百三十段

神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文物にあらそはず、己を枉げて人に従ひ、我が身を後にして人を先にするにはしかず。 萬の遊びにも、勝負を好む人は、勝ちて興あらむためなり。おのれが藝の勝りたることを喜ぶ。されば負けて興なく覚ゆべきこと、また知られたり。我負けて、人をよろこばしめむと思はば、更に遊の興なかるべし。人に本意なく思はせてわ

    • 【徒然草 現代語訳】第百二十九段

      神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文顔回は、志、人に労を施さじとなり。すべて人を苦しめ、物をしへたぐる事、賤しき民の志をも奪ふべからず。また、いとけなき子をすかし、おどし、いひはづかしめて興ずることあり。おとなしき人は、まことならねば、事にもあらずと思へど、をさなき心には、身にしみて恐ろしく、はづかしく、あさましき思ひ、誠に切なる

      • 【徒然草 現代語訳】第百二十八段

        神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文雅房大納言は、才かしこく、よき人にて、大将にもなさばやとおぼしける頃、院の近習なる人、ただ今、あさましきことを見侍りつと申されければ、何事ぞと問はせ給ひけるに、雅房卿、鷹にかはむとて、いきたる犬の足を斬り侍りつるを、中檣の穴より見侍りつと申されけるに、うとましくにくくおぼしめして、日来の御気色も

        • 【徒然草 現代語訳】第百二十七段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文改めて益なき事は、改めぬをよしとするなり。 翻訳改めたところで所詮何の役にも立たないものなら、はなから改めないのがいいというものだ。 註釈 改めたら害になってることのがむしろ多いような気もします。 追記 「汝、悔い改めよ」って、トルストイでしたっけ?もちろん読んでません。

        【徒然草 現代語訳】第百三十段

          【徒然草 現代語訳】第百二十六段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文ばくちの負けきはまりて、残りなく打ち入れむとせむにあひては、打つべからず。たちかへり、つづけて勝つべき時のいたれると知るべし。その時を知るを、よきばくちといふなりと、或る者申しき。 翻訳博打の負けが込みに込み、いよいよ残る有り金全部を賭けてきた相手の勝負を、受けて立ってはならない。一巡めぐって

          【徒然草 現代語訳】第百二十六段

          【徒然草 現代語訳】第百二十五段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文人におくれて、四十九日の佛事に、ある聖を請じ侍りしに、説法いみじくして、みな人涙をながしけり。導士帰りて後、聴聞の人ども、いつよりも、殊にけふは尊く覚侍りつると感じあへりし返事に、或る者のいはく、何とも候へ、あれほど唐の狗に似候ひなむうへはといひたりしに、あはれもさめてをかしかりけり。さる導師の

          【徒然草 現代語訳】第百二十五段

          【徒然草 現代語訳】第百二十四段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文是法法師は、浄土宗にはぢずといへども、學匠をたてず、ただ明暮念佛して、やすらかに世を過ぐす有様、いとあらまほし。 翻訳是法法師は、何処に出しても恥ずかしくない浄土宗きっての傑物であるが、学識のあることを決して鼻にかけたりせず、ただひたすら念仏に明け暮れ、心穏やかに日々を過ごす有り様は、まさに理

          【徒然草 現代語訳】第百二十四段

          【徒然草 現代語訳】第百二十三段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文無益のことをなして時を移すを、おろかなる人とも、僻事する人とも言ふべし。國のため君のために、止むことを得ずしてなすべきこと多し。そのあまりの暇幾ばくならず。思ふべし、人の身に止むことを得ずしていとなむ所、第一に食ふ物、第二きる物、第三に居る所なり。人間の大事、この三つには過ぎず。饑ゑず、寒からず

          【徒然草 現代語訳】第百二十三段

          【徒然草 現代語訳】第百二十二段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文人の才能は、文あきらかにして、聖の教を知れるを第一とす。次には手書く事、むねとすることはなくとも、これをならふべし。学問に便あらんためなり。次に醫術を習ふべし。身を養い、人を助け、忠孝のつとめも、医にあらずはあるべからず。次に弓射、馬に乗ること、六藝に出せり。必ずこれをうかがふべし。文武医の道、

          【徒然草 現代語訳】第百二十二段

          【徒然草 現代語訳】第百二十一段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文養ひ飼ふものには、馬、牛。つなぎ苦しむるこそいたましけれど、なくてかなはぬ物なれば、いかがはせむ。犬は、まもり防ぐつとめ、人にもまさりたれば、必ずあるべし。されど家ごとにあるものなれば、殊更に求め飼はずともありなむ。その外の鳥、獣、すべて用なきものなり。走る獣は檻にこめ、くさりをさされ、飛ぶ鳥は

          【徒然草 現代語訳】第百二十一段

          【徒然草 現代語訳】第百二十段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文唐の物は、薬の外は、なくとも事かくまじ。書どもは、この国に多くひろまりぬれば、書きても冩してむ。もろこし船のたやすからぬ道に、無用の物どものみ取り積みて、所せく渡しもてくる、いとおろかなり。 遠き物を宝とせず、とも又、得がたき貨を尊まず、とも、文にも侍るとかや。 翻訳支那の輸入品は、薬以外、

          【徒然草 現代語訳】第百二十段

          【徒然草 現代語訳】第百十九段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文鎌倉の海に、かつをといふ魚は、彼のさかひにはさうなきものにて、この比頃もてなすものなり。それも、鎌倉の年よりの申し侍りしは、この魚、おのれら若かりし世までは、はかばかしき人の前へ出づこと侍らざりき。頭は下部もくはず、切りて捨て侍りしものなりと申しき。 かやうの物も、世の末になれば、上ざままでも

          【徒然草 現代語訳】第百十九段

          【徒然草 現代語訳】第百十八段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文鯉のあつもの食ひたる日は、鬢そそけずとなむ。膠にもつくるものなれば、ねばりたるものにこそ。 鯉ばかりこそ、御前にても切らるる物なれば、やんごとなき魚なり。鳥には雉、さうなき物なり。雉、松茸などは、御湯殿の上にかかりたるも苦しからず。その外は心うきことなり。中宮の御方の御湯殿の上のくろみ棚に雁の

          【徒然草 現代語訳】第百十八段

          【徒然草 現代語訳】第百十七段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文友とするにわろき者七つあり。一つには高くやんごとなき人、二つには若き人、三つには病なく身つよき人、四つには酒を好む人、五つには武く勇める兵、六つには、虚言する人、七つには、欲深き人。 よき友三つあり。一つには物くるる友、二つにはくすし。三つには、智慧ある友。 翻訳友達になっちゃいけない者は以

          【徒然草 現代語訳】第百十七段

          【徒然草 現代語訳】第百十六段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文寺院の號、さらぬ萬の物にも、名をつくること、昔の人は、すこしも求めず、ただありのままに、やすくつけけるなり。この頃はふかく案じ、才覚をあらはさむとしたるやうに聞ゆる、いとむつかし。人の名も、めなれぬ文字をつかむとする、益なきことなり。 何事も、めづらしきことをもとめ異説を好むは、浅才の人の必ず

          【徒然草 現代語訳】第百十六段

          【徒然草 現代語訳】第百十五段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文宿河原といふところにて、ぼろぼろ多く集まりて、九品の念仏を申しけるに、外より入り来るぼろぼろの、もしこの御中に、いろをし房と申すぼろやおはしますと尋ねければ、その中より、いろをしここに候。かく宣ふは、誰ぞと答ふれば、しら梵字と申す者なり。おのれが師なにがしと申しし人、東国にて、いろをしと申すぼろ

          【徒然草 現代語訳】第百十五段