Seiji Kato (仏光)

神奈川県大磯で仏像専門の骨董店を営んでいます。 もともと編集者として働いていたのですが…

Seiji Kato (仏光)

神奈川県大磯で仏像専門の骨董店を営んでいます。 もともと編集者として働いていたのですが、 改めて古典文学の魅力を広く知っていただければと考え 投稿をはじめました。 普段は地域の骨董市などにもお邪魔をしています。 「仏光」の名を見かけたらお声をかけてください。

最近の記事

【徒然草 現代語訳】第百十八段

神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文鯉のあつもの食ひたる日は、鬢そそけずとなむ。膠にもつくるものなれば、ねばりたるものにこそ。 鯉ばかりこそ、御前にても切らるる物なれば、やんごとなき魚なり。鳥には雉、さうなき物なり。雉、松茸などは、御湯殿の上にかかりたるも苦しからず。その外は心うきことなり。中宮の御方の御湯殿の上のくろみ棚に雁の

    • 【徒然草 現代語訳】第百十七段

      神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文友とするにわろき者七つあり。一つには高くやんごとなき人、二つには若き人、三つには病なく身つよき人、四つには酒を好む人、五つには武く勇める兵、六つには、虚言する人、七つには、欲深き人。 よき友三つあり。一つには物くるる友、二つにはくすし。三つには、智慧ある友。 翻訳友達になっちゃいけない者は以

      • 【徒然草 現代語訳】第百十六段

        神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文寺院の號、さらぬ萬の物にも、名をつくること、昔の人は、すこしも求めず、ただありのままに、やすくつけけるなり。この頃はふかく案じ、才覚をあらはさむとしたるやうに聞ゆる、いとむつかし。人の名も、めなれぬ文字をつかむとする、益なきことなり。 何事も、めづらしきことをもとめ異説を好むは、浅才の人の必ず

        • 【徒然草 現代語訳】第百十五段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文宿河原といふところにて、ぼろぼろ多く集まりて、九品の念仏を申しけるに、外より入り来るぼろぼろの、もしこの御中に、いろをし房と申すぼろやおはしますと尋ねければ、その中より、いろをしここに候。かく宣ふは、誰ぞと答ふれば、しら梵字と申す者なり。おのれが師なにがしと申しし人、東国にて、いろをしと申すぼろ

        【徒然草 現代語訳】第百十八段

          【徒然草 現代語訳】第百十四段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文今出川のおほひ殿、嵯峨へおはしけるに、有栖川のわたりに、水の流れたる所にて、さい王丸御牛を追ひたりければ、あがきの水、前板までささとかかりけるを、為則、御車のしりに候ひけるが、希有の童かな。かかる所にて、御牛をば追ふものかといひたりければ、おほひ殿御気色あしくなりて、おのれ車やらむ事、さい王丸に

          【徒然草 現代語訳】第百十四段

          【徒然草 現代語訳】第百十三段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文四十にもあまりぬる人の、色めきたる方、おのづから、しのびてあらむは、いかがはせむ。ことにうち出でて、男女の事、人のうへをもいひたはぶるるこそ、似げなく、見苦しけれ。 大かた聞きにくく見苦しきこと。老人の若き人にまじはりて、興あらむと物いひゐたる。数ならぬ身にて、世の覚えある人を、へだてなきさま

          【徒然草 現代語訳】第百十三段

          【徒然草 現代語訳】第百十二段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文明日は遠き国へおもむくべしと聞かむ人に、心閑になすべからむわざをば、人いひかけてむや。俄かの大事をもいとなみ、切に嘆くこともある人は、他の事を聞き入れず、人の愁、喜をもとはず。とはずとて、などやとうらむる人もなし。されば、年もやうやうたけ、病にもまつはれ、いはむや世をものがれたらむ人、またこれに

          【徒然草 現代語訳】第百十二段

          【徒然草 現代語訳】第百十一段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文囲碁、雙六好みてあかしくらす人は、四重五逆にもまされる悪事とぞ思ふと、あるひじりの申しし事、耳にとどまりて、いみじく覚え侍る。 翻訳囲碁、双六を好み日がな一日打って暮らしている者は、四重五逆にもまさる悪事を働いていると思う、とある坊主が口にしたのが、今なお耳に残っている、ちょっとやそっとじゃ忘

          【徒然草 現代語訳】第百十一段

          【徒然草 現代語訳】第百十段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文雙六の上手といひし人に、その行を問ひ侍りしかば、勝たむと打つべからず。負けじと打つべきなり。いづれの手かとく負けぬべきと案じて、その手をつかはずして、一めなりともおそく負くべき手につくべしといふ。 道を知れる教、身を治め、国を保たむ道も、またしかなり。 翻訳双六の強豪とうたわれた人に、その戦

          【徒然草 現代語訳】第百十段

          【徒然草 現代語訳】第百九段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文高名の木のぼりといひしをのこ、人をおきてて、高き木にのぼせて梢を切らせしに、いとあやふく見えしほどはいふこともなくて、おるるときに、軒長ばかりになりて、あやまちすな。心しておりよと言葉をかけ侍りしを、かばかりになりては、飛びおるるともおりなむ。如何にかくいふぞと申し侍りしかば、そのことに候。目く

          【徒然草 現代語訳】第百九段

          【徒然草 現代語訳】第百八段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文寸陰をしむ人なし。これよく知れるか、おろかなるか。おろかにして怠る人のために言はば、一銭軽しといへども、これを重ぬれば、貧しき人を富める人となす。されば、商人の一銭を惜しむ心切なり。刹那覚えずといへども、これを運びてやまざれば、命を終ふる期忽ちに至る。 されば道人は、遠く日月を惜しむべからず。

          【徒然草 現代語訳】第百八段

          【徒然草 現代語訳】第百七段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文女の物いひかけたる返事、とりあへずよきほどにする男はありがたきものぞとて、亀山院の御時、しれたる女房ども、若き男達の参らるる毎に、時鳥や聞き給へると問ひて試みられけるに、なにがしの大納言とかやは、数ならぬ身はえ聞き候はずと答へられけり。堀川内大臣殿は、岩倉にて聞きて候ひしやらむと仰せられたりける

          【徒然草 現代語訳】第百七段

          【徒然草 現代語訳】第百六段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文高野の証空上人、京へのぼりけるに、細道にて、馬に乗りたる女の行きあひたりけるが、口ひきける男、あしくひきて、聖の馬を堀へおとしてけり。 聖いと腹悪しくとがめて、こは希有の狼藉かな。四部の弟子はよな、比丘よりは比丘尼はおとり、比丘尼より優婆塞はおとり、優婆塞より優婆夷はおとれり。かくのごとくの優

          【徒然草 現代語訳】第百六段

          【徒然草 現代語訳】第百五段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文北の屋かげに消え残りたる雪のいたうこほりたるに、さしよせたる車のながえも、霜いたくきらめきて、有明の月さやかなれども、くまなくはあらぬに、人はなれなる御堂の廊に、なみなみにはあらずと見ゆる男、女となげしにしりかけて、物がたりするさまこそ、何事にかあらむ、尽きすまじけれ。 かぶし、かたちなどいとよ

          【徒然草 現代語訳】第百五段

          【徒然草 現代語訳】第百四段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文荒れたる宿の人めなきに、女の憚ることある頃にて、つれづれと籠り居たるを、或る人とぶらひ給はむとて、夕づく夜のおぼつかなきほどに、しのびて尋ねおはしたるに、犬のことことしくとがむれば、げす女のいでて、いづくよりぞといふに、やがて案内せさせて入り給ひぬ。心細げなる有様、いかで過ぐすらんと、いと心ぐる

          【徒然草 現代語訳】第百四段

          【徒然草 現代語訳】第百三段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文大覚寺殿にて、近習の人ども、なぞなぞを作りて解かれける処へ、くすし忠守参りたりけるに、侍従大納言公明卿、我が朝の者とも見えぬ忠守かなと、なぞなぞにせらけにけるを、唐瓶子と解きて笑ひあはれければ、腹だちて退り出でにけり。 翻訳後宇多法皇の仙洞御所大覚寺殿にて、お取り巻きたちがなぞなぞを作っては解

          【徒然草 現代語訳】第百三段