Seiji Kato (仏光)

神奈川県大磯で仏像専門の骨董店を営んでいます。 もともと編集者として働いていたのですが…

Seiji Kato (仏光)

神奈川県大磯で仏像専門の骨董店を営んでいます。 もともと編集者として働いていたのですが、 改めて古典文学の魅力を広く知っていただければと考え 投稿をはじめました。 普段は地域の骨董市などにもお邪魔をしています。 「仏光」の名を見かけたらお声をかけてください。

最近の記事

【徒然草 現代語訳】第百二十三段

神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文無益のことをなして時を移すを、おろかなる人とも、僻事する人とも言ふべし。國のため君のために、止むことを得ずしてなすべきこと多し。そのあまりの暇幾ばくならず。思ふべし、人の身に止むことを得ずしていとなむ所、第一に食ふ物、第二きる物、第三に居る所なり。人間の大事、この三つには過ぎず。饑ゑず、寒からず

    • 【徒然草 現代語訳】第百二十二段

      神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文人の才能は、文あきらかにして、聖の教を知れるを第一とす。次には手書く事、むねとすることはなくとも、これをならふべし。学問に便あらんためなり。次に醫術を習ふべし。身を養い、人を助け、忠孝のつとめも、医にあらずはあるべからず。次に弓射、馬に乗ること、六藝に出せり。必ずこれをうかがふべし。文武医の道、

      • 【徒然草 現代語訳】第百二十一段

        神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文養ひ飼ふものには、馬、牛。つなぎ苦しむるこそいたましけれど、なくてかなはぬ物なれば、いかがはせむ。犬は、まもり防ぐつとめ、人にもまさりたれば、必ずあるべし。されど家ごとにあるものなれば、殊更に求め飼はずともありなむ。その外の鳥、獣、すべて用なきものなり。走る獣は檻にこめ、くさりをさされ、飛ぶ鳥は

        • 【徒然草 現代語訳】第百二十段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文唐の物は、薬の外は、なくとも事かくまじ。書どもは、この国に多くひろまりぬれば、書きても冩してむ。もろこし船のたやすからぬ道に、無用の物どものみ取り積みて、所せく渡しもてくる、いとおろかなり。 遠き物を宝とせず、とも又、得がたき貨を尊まず、とも、文にも侍るとかや。 翻訳支那の輸入品は、薬以外、

        【徒然草 現代語訳】第百二十三段

          【徒然草 現代語訳】第百十九段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文鎌倉の海に、かつをといふ魚は、彼のさかひにはさうなきものにて、この比頃もてなすものなり。それも、鎌倉の年よりの申し侍りしは、この魚、おのれら若かりし世までは、はかばかしき人の前へ出づこと侍らざりき。頭は下部もくはず、切りて捨て侍りしものなりと申しき。 かやうの物も、世の末になれば、上ざままでも

          【徒然草 現代語訳】第百十九段

          【徒然草 現代語訳】第百十八段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文鯉のあつもの食ひたる日は、鬢そそけずとなむ。膠にもつくるものなれば、ねばりたるものにこそ。 鯉ばかりこそ、御前にても切らるる物なれば、やんごとなき魚なり。鳥には雉、さうなき物なり。雉、松茸などは、御湯殿の上にかかりたるも苦しからず。その外は心うきことなり。中宮の御方の御湯殿の上のくろみ棚に雁の

          【徒然草 現代語訳】第百十八段

          【徒然草 現代語訳】第百十七段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文友とするにわろき者七つあり。一つには高くやんごとなき人、二つには若き人、三つには病なく身つよき人、四つには酒を好む人、五つには武く勇める兵、六つには、虚言する人、七つには、欲深き人。 よき友三つあり。一つには物くるる友、二つにはくすし。三つには、智慧ある友。 翻訳友達になっちゃいけない者は以

          【徒然草 現代語訳】第百十七段

          【徒然草 現代語訳】第百十六段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文寺院の號、さらぬ萬の物にも、名をつくること、昔の人は、すこしも求めず、ただありのままに、やすくつけけるなり。この頃はふかく案じ、才覚をあらはさむとしたるやうに聞ゆる、いとむつかし。人の名も、めなれぬ文字をつかむとする、益なきことなり。 何事も、めづらしきことをもとめ異説を好むは、浅才の人の必ず

          【徒然草 現代語訳】第百十六段

          【徒然草 現代語訳】第百十五段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文宿河原といふところにて、ぼろぼろ多く集まりて、九品の念仏を申しけるに、外より入り来るぼろぼろの、もしこの御中に、いろをし房と申すぼろやおはしますと尋ねければ、その中より、いろをしここに候。かく宣ふは、誰ぞと答ふれば、しら梵字と申す者なり。おのれが師なにがしと申しし人、東国にて、いろをしと申すぼろ

          【徒然草 現代語訳】第百十五段

          【徒然草 現代語訳】第百十四段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文今出川のおほひ殿、嵯峨へおはしけるに、有栖川のわたりに、水の流れたる所にて、さい王丸御牛を追ひたりければ、あがきの水、前板までささとかかりけるを、為則、御車のしりに候ひけるが、希有の童かな。かかる所にて、御牛をば追ふものかといひたりければ、おほひ殿御気色あしくなりて、おのれ車やらむ事、さい王丸に

          【徒然草 現代語訳】第百十四段

          【徒然草 現代語訳】第百十三段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文四十にもあまりぬる人の、色めきたる方、おのづから、しのびてあらむは、いかがはせむ。ことにうち出でて、男女の事、人のうへをもいひたはぶるるこそ、似げなく、見苦しけれ。 大かた聞きにくく見苦しきこと。老人の若き人にまじはりて、興あらむと物いひゐたる。数ならぬ身にて、世の覚えある人を、へだてなきさま

          【徒然草 現代語訳】第百十三段

          【徒然草 現代語訳】第百十二段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文明日は遠き国へおもむくべしと聞かむ人に、心閑になすべからむわざをば、人いひかけてむや。俄かの大事をもいとなみ、切に嘆くこともある人は、他の事を聞き入れず、人の愁、喜をもとはず。とはずとて、などやとうらむる人もなし。されば、年もやうやうたけ、病にもまつはれ、いはむや世をものがれたらむ人、またこれに

          【徒然草 現代語訳】第百十二段

          【徒然草 現代語訳】第百十一段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文囲碁、雙六好みてあかしくらす人は、四重五逆にもまされる悪事とぞ思ふと、あるひじりの申しし事、耳にとどまりて、いみじく覚え侍る。 翻訳囲碁、双六を好み日がな一日打って暮らしている者は、四重五逆にもまさる悪事を働いていると思う、とある坊主が口にしたのが、今なお耳に残っている、ちょっとやそっとじゃ忘

          【徒然草 現代語訳】第百十一段

          【徒然草 現代語訳】第百十段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文雙六の上手といひし人に、その行を問ひ侍りしかば、勝たむと打つべからず。負けじと打つべきなり。いづれの手かとく負けぬべきと案じて、その手をつかはずして、一めなりともおそく負くべき手につくべしといふ。 道を知れる教、身を治め、国を保たむ道も、またしかなり。 翻訳双六の強豪とうたわれた人に、その戦

          【徒然草 現代語訳】第百十段

          【徒然草 現代語訳】第百九段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文高名の木のぼりといひしをのこ、人をおきてて、高き木にのぼせて梢を切らせしに、いとあやふく見えしほどはいふこともなくて、おるるときに、軒長ばかりになりて、あやまちすな。心しておりよと言葉をかけ侍りしを、かばかりになりては、飛びおるるともおりなむ。如何にかくいふぞと申し侍りしかば、そのことに候。目く

          【徒然草 現代語訳】第百九段

          【徒然草 現代語訳】第百八段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文寸陰をしむ人なし。これよく知れるか、おろかなるか。おろかにして怠る人のために言はば、一銭軽しといへども、これを重ぬれば、貧しき人を富める人となす。されば、商人の一銭を惜しむ心切なり。刹那覚えずといへども、これを運びてやまざれば、命を終ふる期忽ちに至る。 されば道人は、遠く日月を惜しむべからず。

          【徒然草 現代語訳】第百八段