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【徒然草 現代語訳】第百十六段

神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

寺院の號、さらぬ萬の物にも、名をつくること、昔の人は、すこしも求めず、ただありのままに、やすくつけけるなり。この頃はふかく案じ、才覚をあらはさむとしたるやうに聞ゆる、いとむつかし。人の名も、めなれぬ文字をつかむとする、益なきことなり。

何事も、めづらしきことをもとめ異説を好むは、浅才の人の必ずあることなりとぞ。

翻訳

お寺の称号はもとより、ありとあらゆるものに対し名を付けようとする時、昔の人は捻ったり凝ったりせず、ただありのまま、さらっと付けたものだ。今日びは、こねくりまわして、殊更に知識蘊蓄をひけらかそうとばかりに付けているとしか思えない、まったくもって野暮ったい。人名も、やたらと見慣れない文字を遣ったりして、鼻につく。

何事においても突飛なことを志向し椿説を好むのは、浅学菲才の輩が常々やりがちな愚挙だそうだ。

註釈

○號
読みは「な」。


キラキラネームって、この頃からあったのか!ダメじゃん。

追記

キラキラネームは森鴎外が走りかと思ってました。
ちなみに森鴎外の子供、孫たちの名前は、長男「於菟(オットー)」、長女「茉莉(マリー)」、次女「杏奴(アンヌ)」、次男「不律(フリッツ)」、三男「類(ルイ)」、孫「真章(マックス)」、「富(トム)」、「 (ジャック)」、「亨(トール)」。

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