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デザインチームをつくるということ  第三回:チームで活動するということ

こんにちは!CreativeDirectorの森下晶代(Akiyo Morishita)です。
先日無事出航と申し上げましたが、ここからはそこまでの準備を数回にわけてお伝えしていこうかなと思います。クリエイティブチーム始動と宣言したのに、デザインチームって書いてある?と思った方もいるかもしれないですね。そうなのです、クリエイティブチームを動かしていくにあたって、最初にはじめたのがデザインチームをつくることだったのです。これがなかなか興味深かったので、何が起きていたか記録に残していこうと思います。
第一回:https://note.com/build_service/n/n1a019409c855
第二回:https://note.com/build_service/n/ne75c76b0713d
はこちら。

第一回:デザインのケイパビリティってなんだろう? 
第二回:できることは?やるべきことは?そして、やりたいことは?
第三回:チームで活動するということ ←今日はココ
最終回:クリエイティブチームとしてのデザイン

第三回では、チーム活動そのものの意味や価値について考えていきたいと思います。目標に対して、チームメンバーが具体的にどう活動していくのが?この点に迫っていきたいと思います。クライアントワークという性質上、どうしても活動の主軸はプロジェクトになってくるのも事実。しかし、それだけに目をむけていて良いのか?という疑問から、チームの良さを再発見していきました

・ひとりでやるしかなかった問題


チーム発足以降、できるだけ毎週1時間程度ですが、デザインチーム会を実施しています。デザインチームの組織組成ややりたいこともこのチーム会でメンバーと議論しましたし、日頃の悩み事や、これからやっていきたいことなど、メンバーのための時間として集まっています。
その中である日気になる発言がでてきました。「これまで誰にも相談できないままプロジェクト進めていました・・・こういう感じでみんなに相談できるのはとても助かります」というような一言。私がおもわず、「え!!!!!」となったのは言うまでもありません。それと同時に、たった1時間でもチーム会というものをやってよかったと思うのでした。何人もデザイナーと言われる人が隣にいるのに、相談できない状況ってちょっと考えるととてもつらい状況ですよね。たしかにクライアントと向き合う中で、どうしても隣の人に言えないこともあります。でもこっちのやり方とあっちのやり方とどっちがいいと思う?とか、クライアントの発言をもう少し引き出したいとか、そういった日々の活動に対する悩みとか、自分のスキルについてのちょっとした相談とか、似たような境遇だからこそ話したいことは確実に存在すると思うので、日々の悩みを共有できる場は、チームで活動する際に大切なものだと感じています。デザインという特に私たちの会社にとっては目新しいものだからこそ、面で見せていくことは不可欠です。

・これってエフェクチュエーション?


チーム会を始めて思ったことは2つあります。1つは実にさまざまなケイパビリティをもったメンバーがこのチームには存在していることです。多少大きなチームになってくると、大まかだとはおもいますが、何種類かの属性にわけて考えられることがほとんどだと思います。でもこのチームは人数も少ないし、新しいチーム。まずは自分の得意技をチームという箱に投げ込んだ状態とでも言いましょうか、実に様々なものがこのチームにはあり属性はないです。
2つ目はよくわからないものというか定義ができないものがたくさんあるということです。先ほど得意技を投げ込んだ状態と言ったことの逆説と捉えてもらっても良いかもしれないのですが、今使えるかどうか判断がつかないものも多く、結果として足りないものもおそらくある状態です。
この状態、私はとても楽しいと思っているのですが、事実としてない袖は振れない状態になることもしばしばあり、そのような時はとても頭をつかいます。どうしたら良いアウトプットを作ることができるのか、どうしたら一人ひとりが楽しく価値を作っていけるのか、エキサイティングです。この状態、安定的な組織運営という視点で見るとかなり綱渡り状態なので厳しいとは思っております。でも新しいならではの、も少し言うと新規事業だからこそのエフェクチュエーションの考え方を適用することで、デザインという組織ごと変化をしていくことが可能になるなと実感をしております。世の中ではデザインもデザイン思考というプロセスができ、わかりやすく手順がありますが、あえてそれを超えて、いまあるケイパビリティでデザインそのものをつくっていくということに私たちは挑んでいます。

・チームでの価値が出てきた瞬間


ちょっと前まではひとりでやるしかない危機を乗り越え、ない袖は振れない状態に落ち着いて構えるメンタリティを要求されていましたが、やっと落ち着いて様々なことに取り掛かれる日々がやってまいりました!チームだからこそできる価値づくりの瞬間です。
デザインの本質は再構築にあるというのは初回でもお伝えしたのですが、この再構築をするにあたって、私自身が大切にしていること、それは視点の獲得です。新しくつくっていく、デザインしていくからには、新しい視点が必要です。そしてその視点の獲得に何が必要かと考えたときにひとつの解として「チーム」があります。同じ想いをもっていても、持っている経験や見えている景色が少しずつ違うメンバーの集まり、それが「チーム」で、そのメンバーの様々な持ち物の組み合わせが新しい価値となり、デザインという活動につながると思っています。
実際に、チームでプロジェクトをやった際に、リサーチをそれぞれしてきてねと宿題を出したのですが、見事に調べる内容も、気づきも違いました。ひとりではできないことだと思います。最近はAIも強力なサポーターですが、それでも入力するプロンプトが人それぞれなのでまだまだチームの優位性はあると感じております。あと、メンバー間でノウハウを伝授しあえるのもチーム活動ならではだなと思います。ひとつのプロジェクトというゴールが一緒だからこそ、お互い学びあって、支えあいながら成長もする。そんな活動が増えてきたように感じます。このお互いが協働していくことは、私たちが日々活動しているサービスでもとても大切にしていることです。先輩だからとかクライアントだからとかそういう垣根を越えてチームが成立すると、時々はっとする素晴らしい瞬間に立ち会うことができます。今後もっとそんな瞬間をチーム内で発生させていけたらと思っています。

早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け。有名なアフリカの諺を思い出しました。アル・ゴア元米副大統領がノーベル平和賞の授与式典での演説で引用された言葉です。何度でも誰にでも言いたいですが、ひとりでは絶対たどり着けません。そして優秀で好きな人とだけやっていてもたぶんたどりつけません。本当にそうなのかは皆さんの価値観によると思いますが、何かしらの化学変化がこれからの時代必要だなと身をもって感じ、コンフォートゾーンの先にチームを作れるかがひとつのキーになるなと感じています。最終回はこのデザインチームの未来をコンフォートゾーンの先にどう描いたのかをお話して、私たちの考えるクリエイティブを紐解きたいと思います。