見出し画像

定番の質問をやめてみた結果

こんばんは。今日は前職の方たちとランチしてきました日本語教師のknkです。親の方が歳の近い方2人ですが、気の合う、いい人生の相談相手です。

日本語を教えるにあたって、よく話題になるのが

日本では〇〇のとき△△をしますが、皆さんの国はどうですか

という質問。

実は私、この言葉を最近なるべく言わないようにしています。

なぜ「みなさんの国はどうですか」と言わないのか


理由は簡単

同じ国にいても地域、民族によって習慣は大きく異なるから。


たとえば、

①ベトナム

ベトナムは国民の9割がキン族という民族ですが、昔ベトナム人学生の中で2人、キン族ではない、少数民族出身の子たちがいました。1人はモン族、もう1人はタイ族でした。

ベトナムの学生に「ベトナムはどう?」というと、ほとんどの子たちは「ベトナムは〜」「北部は〜ですが、南部は〜」など大多数の意見を言っていましたが、その2人は「ベトナムの多くは〜ですが、私の村は…で、全然違う」という言い方をしていました。

②中国

広大な国土と多くの民族がいる中国。「中国の多くは〇〇しますが、私はあまり知りません」や、中国人同士で相談して、「たぶん〇〇が多いです。」など濁した言い方です。北部や南部だけでなく、沿岸部か内陸か、香港やマカオ出身なのかでも全然違います。

③フィリピン

島が多いフィリピンも例外ではありません。しかもその島は日本より細かい。「マニラは…と思います。でも私たちの島は〜です」

昔アメリカ人にも「州によって違うし、宗教などでも違う」とよく言われていました。

他にもタイ出身だけど、ラオスとの国境近くで育った子たちは「ラオスの文化と混ざっているし、私の母語はラオス語に似ています」と言ったり、モンゴルの子も「ウランバートルはこうですが…遊牧民の文化はもうわかりません」など様々です。

そりゃそうよね。

日本でも全然違うもの。お正月にお節を食べるとか、節分に豆を撒くなどは全国的に同じですが、食べるものや飾るものは地域それぞれ。

わたしは自身が親の転勤で幼少期をあちこちで過ごし、そもそも両親の出身地もそれぞれバラバラという家で育ったので、それぞれの出身地の郷土料理や行事、引っ越し先の行事などを見てきましたが、それを一まとめにすることはできないことはよくわかっていたつもりでした。(ちなみに両親と私と妹が話すと5つの方言が混ざり合った会話になります。)

東京と大阪では人柄や文化が違うのもそう。

北海道のアイヌ文化や沖縄の琉球文化も日本の文化として忘れちゃいけない。

でも、自分は無意識に国内で大多数のものだけに意識を向けていたし、日本の外では「国」単位で括ってしまっている。


国としての文化や習慣も聞きたいけど、そこで寂しい思いをしている子も居るかも?もっと個の話を聞いてみようと思ったわけです。それにこの時代、幼少期を別の国で過ごしたという子も少なくありません。

そこで質問を変えました。

「みなさんの出身地はどうですか」

そうすると彼らの生き生きすること。

「わたしの街は〜」「◯さんは〜といいますが、わたしの街はちょっと違います!」合戦の始まりです。「私の村では今日は〇〇の日です!」なんてことも教えてくれます。

同じ国でも違うこともあるねー!日本も北海道と沖縄だったら全然違うもんね!おもしろいね!

国ごとの異文化、多文化を知ることも大事だし、その国の中の異文化にも耳を傾けるととても興味深いものですね。

3月の卒業式には、各々の文化を象徴する「民族衣装👗」で出席する学生が多いので、寂しくもあり楽しみでもあります。


恵まれない日本語教師に愛の手を…!いただいたサポートは更なる教材研究に使わせていただきます。