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『外国人に伝わる日本語』を広め隊!

#私の仕事

タイトルセンスがなくてすみません。日本語教師knkです。

私の勤務している学校では、遠足のほかに、半期に一度、レベルごとで課外授業に行きます。一応授業なので、何か学べることが目的。

今回の場所は『明治なるほどファクトリー』

超有名なお菓子、きのこの山とたけのこの里の製造工程の見学です。このお菓子自体は知らなくても、チョコレートは大好き、工場も興味ある🏭という学生が多かったです。

今日はここでいつも感じていることをいつもに増してヒシヒシと感じたので、それを心のままに訴えたいと思います。

すこしでも日本語教育関係者以外の方にも伝わると嬉しいな。


3人の教師で3クラスを引率し、それぞれのクラスで見学をしました。

その見学をする前、案内係の人と少しお話しする機会がありました。まずはそこでの一コマから。

係「みなさん何年生ですか?」

私「うーん、学年はバラバラで、とりあえず高校は卒業して日本に来ています。長い子で1年、短い子で3ヶ月ほど日本にいますが、4月に来て9ヶ月くらい日本にいる子がほとんどでしょうか。」

「そうですか。私たち英語が全然できませんので、先生方、通訳をお願いします😊」

こういうところに行くと必ず言われる一言です。仕方ないんですが、、、、うぉーい「日本語学校」で予約してるやんかー?

そこで私は

「私たちも英語は話せません💦彼らも英語が話せる子はごくわずかですし、みんな簡潔な日本語を話していただければ理解できます(o^^o)」

とお話ししました。その方は

「あ、そうなんですね!では簡単な日本語を心がけます!」

おー!わかってもらえた!?

残念ながらその方は私の引率するクラスではないクラスの案内になってしまったのでそこでお話は終わってしまったのですが、別のもっとベテランそうな方と一緒に私のクラスは見学スタート。

そのベテランの方、日本語で普通に聞いているだけだと流れるように美しい日本語。後ろで聞いている私は「へー!」となりますが、私がわかったところで、

学生はちんぷんかんぷんです😪🤯


だって…

①係「こちらでは型にビターチョコを流し、冷蔵する工程をご覧いただけます」

②係「(カカオがどうやってチョコレートになるかの説明で)カカオの種から皮を取り出来たカカオニブを焙煎してすりつぶすと油分が出ますので、それを抽出し…」


めっちゃ難しいやーん!漢字語いっぱい!カタカナ語いっぱい!


なので、説明する必要があります。

↓↓

①「あれは苦い、甘くないチョコレートです。今そのチョコレートを小さい箱に入れています。それから、冷蔵庫に入れます。かたくなりますね。ここはその場所です。」

②「カカオの中の種、(模型を指差し)この小さい丸ね。これを出して、きれいにします。それから焼きます。小さく小さくします(手ですりつぶす真似をしながら)。砂みたい。すると中から油が出ますから、その油とカカオを別々にします…」


このくらいバッキバキに噛み砕いてゴリゴリにすりつぶしてドロドロに柔らかくした日本語だけであれば学生も「ああ〜!」です。


私はこれが仕事なので通訳しますが、そのたびに実は少し寂しく思います。何にかというと2つ、

①外国人=英語ができる or 英語または外国語の案内が必要と思う日本の社会や企業


②日本語でいいとなると、型通りの説明以外が用意されていない現実


あちらの方に非があるわけではありません。お仕事ですし、きちんと、しかも超わかりやすい説明です。楽しい仕掛けもいっぱい。そもそも留学生の団体なんてそうそう来ないでしょう。

言葉を言い換えるだけで日本語を勉強している人にはかなり通じるというのは想定されていない。すべて翻訳、通訳をつければいいという考え。


翻訳を用意することは間違いではないし、優しいし、グローバル社会に適応してるんだけど、うーん、それでは日本語の勉強にならない〜もどかしい〜😖


普段学校とアルバイトと近所のスーパーしか行かない彼らには他の日本語を真面目に聞くいいチャンスなんですが、生かしきれないのももどかしい〜😖

こちらも説明を聞いてそのままわかるところまでレベルを上げる指導できればいいんですが、そこまで行くのは多分まだ先。初中級クラスの彼らにはちょっと、いやかなりハードル高い。


ここに、学校で習う日本語と実際耳にする日本語、また日本人の思うおもてなしと日本語を学ぶ人のニーズ(観光客に対するおもてなしは別です)にはまだ差があるな〜と思います。


今行政機関では各国語訳での説明やパンフレットのほかに、『やさしい日本語』での案内を推進する動きがありますが、それがもっともっと、民間レベルで、さらにはそこら辺歩いてるおばちゃんレベルで一般的になればいいのに〜と常に思っています。

災害時、各国語版の案内だけ渡されて孤独な思いをした定住外国人の話を聞いたこともあります。でも周りの人がその人がわかる程度でいいから日本語でも話せばその人は情報が得られます。


解散後、教員は学校へ戻る際、最初に私とお話しした係員の方は別の先生のクラスだったそうで、その方に当たった先生が

「簡単な日本語を話そうとしてくださるのはわかるんですけど、話し方が幼稚園児を相手にしているようで…私、後ろから日本語で通訳してました。」

とおっしゃっていました😅どのクラスもやることは同じか…


簡単な日本語=幼い喋り方ではない、むしろ彼らは国で成人した大人、難しいですね。。かと言って何の解説もなしに「とりあえず説明聞いとけ!」じゃ分からないから意味ないし。世間と学習者のこの差を埋めるのに私たちは何ができるでしょう、と話しながら帰りました…。そしてやっぱり生きた日本語を意識した授業をすることかな、に落ち着くのでした。。


最後に、何かのご縁でこの記事にたどり着いた方、「外国人に伝わる、伝える日本語」の普及をいっしょに考えてみませんか〜?



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