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【大学院生・公募戦士向け】大学教員になるためのコネの作り方

コネで大学教員の道が開かれるわけではありません。ただし、時にコネは採用人事に強力に作用します。そもそも運ゲー要素の強い大学教員公募戦線において、自分にとってプラスにしかならないコネは、可能なら作っておくべきです。特に、近々公募戦線に参戦する予定のD1、D2の方は、現時点からコネづくりを意識しておいたほうがよいです。

「コネなどない。自分は不利だ。」は言い訳です。自分を売り込むことができなければ、この業界では生き残れません。自分をアピールする術は必須です。

コネを作るために学会に顔を出すべきといった主張をよく見ます。もちろん間違っていません。ただ、研究者たるもの院生の時から学会に所属し、顔を売っていくことは、ある意味当然です。問題は、その場で偉い先生方の印象に残ることは困難で、しかも印象に残ったとしても中々「使えるコネ」にならないということです。私は、学会も重要ですが、大学教員になることを目的とするコネづくりはもっと個人的に、閉鎖的に行うべきだと考えています。

以下は、私が実践していたコネづくりです。もっとも、採用されたのはコネも何もない大学でした。ただ、院生当時、1年後・2年後・3年後の就職を視野に入れてコネづくりに勤しんでいました。結構楽しかったです。

まず、近場の大学で、自分が就職できる可能性のあるポストを洗い出します。そして、学部の先生方の年齢構成(HPに表があればもうけもの、なければ教員紹介ページからしらみつぶしに目安をつけます)、当該科目を担当している先生の年齢(大方単著の出版ページやresearchmapの学歴から逆算することで分かります)、その大学の定年(jrecinで大学名で検索をかけるのが手っ取り早いです)を整理します。すると、例えば×年後に〇〇大学で△△という科目を担当している先生が退官する=公募が出る可能性がある、ということが分かります。もちろん、その先生が特任や非常勤で居座ることもありますが、公募が出る可能性も十分にあります。
そこまで分かれば、退官される先生が所属する学部の、自分と近接分野の先生にコンタクトを取りましょう。退官される先生でもいいのですが、近接分野の先生は、もし公募が出た場合にあなたの採用人事の選考委員になる可能性があります。退官される先生があなたが応募する採用人事に関わることはありません。
コンタクトを取るには、論文の抜き刷りに手紙を添えて送るのが最も自然で印象もよいでしょう。ターゲットとなる先生の関心を、論文や紹介ページなどから探索したうえで、自身の関心とリンクさせ一言添えます。私が使っていた文面をざっくりとしたひな形として最後に示しておきますので、参考にしてください。
送り先は、大学の住所&学部&先生の研究室、で届きます。

なお、論文等の業績がまだなければ、研究を優先させてください。論文を書かなければ就職することはできません。

運が良ければ、先生から返事が来るでしょう。連絡の往来が続けば、直接会う機会がくるかもしれません。先に近場の大学といったのは、直接コンタクトをとる確率を上げるためです。
抜き刷りを色んな先生に送ることで、印象が悪くなることはありません。「熱心な学生だな」と感心されるか、無視されるかです。無視されても気にする必要はありません。先生も多忙ですし、気にする余裕のない先生とは学会でもなかなかコネを作ることはできません。一方、返答してくれる「気のいい先生」とのコネは強力です。そういった先生と出会えることを夢見つつ、自己アピールするとよいでしょう。

もしかしたら数年後、知り合った先生から声がかかるかもしれません。

「〇〇先生が今年退官で後任の教員を公募するんだけど、よかったら応募しませんか?」


【抜き刷り送付・添え手紙ひな型】
拝啓
突然このようなお手紙を差し上げるご無礼をお許しください。
当方、〇〇所属の△△と申します。××を専攻しております。

これまで、◇◇先生の論文・著作を頼りに、■■について勉強してまいりました。研究成果の一部を公表することができましたので、抜刷りをお送りさせていただきます。ご査収いただけますと幸いです。

今回お送りさせていただきました拙稿は、--を検討したものです。

課題・問題点等山積する未熟な論考であり、見苦しい点も多々あるかと思いますが、ご笑覧いただけますと幸いです。
先生に直接ご挨拶できる日を心待ちにしております。
                                敬具

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