人間として許される罪の範囲はどこまでか。貧困がもたらす悲劇の連鎖!社会的な問題に切り込んだ小説 ~罪の境界~2023年小説10冊
文脈が大切である
僕がニュースにしても人間関係に関しても
本当に大切にしている事は、事実よりも、
事実がもたらされた背景(文脈)です。
犯罪が起こった
人間関係でいざこざが起こった
悪いニュースの事実を切り取るとさ、
センセーショナルというかインパクト強い。
ただ、なぜそうなったのか。
ここが重要よね・・・
この小説では、渋谷で無差別殺人が起こった。
被害者と加害者がいて、それぞれに人生があった。
殺人を犯した人の背景が描かれていて、
事件に巻き込まれた被害者の背景も描かれている。
重要なのはこういうことだよなって
改めて気づかせてくれる小説です。
事件を起こす加害者は、
間違いなく悪い事をした人ではある。
ただ悪い人かどうかは分からない。
根っこに何があったのかを見ないと、
結局同じ様な事件は繰り返されるわけです。
フィクションではあるけど、
日常生活にどんな闇があるのか。
そうなった時にどうするのか。
自分だったらという視点で読むのが、
小説の醍醐味だと思います。
例えば自分の子供が被害者として巻き込まれて、
性格が変わったとする。
どう向き合う?
逆に自分の子供が加害者になった場合に、
どうする?
親も完璧ではないってこと。
子どもを持ったけど、
上手に育てられなかったり、
お金に困ったりもするわけ。
親が生きるのに苦労しているのに、
聖人君子じゃない限り、子供の面倒はみれない。
それによって子供が歪むこともある。
中々深いテーマです。
ただ総じてそういうものだよなって思う事
母親に愛されたいと思う気持ち。
これは誰にでもあるんじゃないかしらねえ
虐待されていても、
いざ母親が連行されそうになったら、
子供はやってないって言うだろうし。
どんな母親でもさ、お腹の中から一緒だと、
理屈じゃない何かってあると思うんだよね・・・
母親じゃなくても
親が虐待していたとして、
子供として親を通報できる子って、
ほとんどいない気がする。
どんな親でも、親がいなくなるって
子どもにとっては大きなこと。
子を持つ親として考えさせられたし、
DVな親に育てられた子として考えさせられた。
この本のタイトルは、
ある一線を越えたら人間ではいられなくなる。
その境界はどこだ?って感じかな。
この小説は、僕にとっては凄く良い作品でした!
引き込まれたからあっという間に読めたし、
考えさせられることも沢山あったので。
是非、機会があったら読んでみて欲しい!
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