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「教えないスキル」は人を育てることに関わっている人の必読書でした!

こんにちは。鈴木貴之です。

この記事でご紹介したいのは、佐伯夕利子著『教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』です。

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本の著者である佐伯さんは2003年にスペインのフットボール男子リーグ3部で女性初の監督に就任し、翌年よりアトレティコ・マドリード女子チーム監督や普及育成副部長などを務めた方。

現Jリーグ常勤理事も務めている方です。

彼女がなぜこのような本を書いたのかと言うと、2008年からビジャレアルCFと契約し、行く説部でスペイン代表を育てる重要なポストを担うほど、子供たちの育成という分野で実績を積み重ねてきたからです。

詳しくは本書に譲るとして、なぜこの本を「誰かに教える仕事をしている人」が読むべきかについてお話したいと思います。


この本はあらゆる「人に何かを教える職業」の人が読むべき本だと思いました。

いくつかそう思った箇所を挙げてみましょう。

「あそこに●●君がいるよ!」「右にパスを出して!」と一方的に答えを与えるのではなく、子供たちに「気づき」を促すフィードバックを心がけます。

教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術

多くの指導者が陥る罠があります。

それは、子供たちに何をやるべきか、どうするべきかを教えるということ。

つまり、なんでもかんでも一つ一つ教えすぎてしまうという傾向が指導者にはあるのです。

私自身、英語を教えたりコンサルティングをしているので良く分かります。

教えた方が速いので、つい教えたくなるのです。

でもそれでは生徒は成長しません。

大事なのは、子供たちが自分で考える力を伸ばすこと。

「日本(のスポーツ界)には、一生懸命に頑張る文化はあるけれど、選手が自ら考えて行動する文化がなさすぎる」

守屋志保(大学教授・日本バスケットボール協会理事)

これはスポーツだけではなく、英語に関しても一緒だと考えています。

学校の英語の試験で満点が取れるような子でも、一対一で外国人と英語を話すとなるとしどろもどろになることが結構あります。

それは、答えがあらかじめるテストでは点数が取れるけど、一から自分で考えないといけない状況には慣れていないからです。

慣れればものすごく話せるような子でも、そういう状況にないと話せないのです。

英語力は「考える力」とセットになって初めてその力を発揮するのです。

また、それだけではありません。

英語力が高い子は、みんなと同じようなレッスンを受けていても、常に「このレッスンから自分がよりたくさんのものを得る為にはどうしたらいいだろう?」と意識的ないしは無意識的に考えています。

だから、先生が同じ10というものを教えたとしても、それを10倍に受け取ることができます。それとは逆に、それをそのまましか受け取れない子もいますし、それ以下のものしか受け取れない子もいます。

でもそれは天性の素質もある程度はあるでしょうが、実際は「自ら考える」ことをしている環境にあるかどうかです。

そうです、大事なのは、「環境」なのです。

この本を読んでいて思うことは、同じ素質の子がビジャレアルでサッカーを学ぶのと、日本の昔ながらの日本的な指導をしているクラブでサッカーをしているのとでは、例えば5年後には全く違う結果になっているのではないかということ。

そう考えると、指導者の責任は重いと言わざるを得ません。

この本では「自ら考える力」をどのように育てていけばいいのかということが細かく書かれています。


次にこの本で為になったのは、ここ。

「そこに価値あるメッセージはあるの?」

教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術

メンタルコーチに「あなたたちは、どんなポジティブなフィードバックをしていますか?」と尋ねられた著者は、自分たちのコーチングを撮影したビデオをチェックしてみたそうです。

そこで、「グッド!」「ベリーグッド!」と連呼していたようです。

ずっとこの言葉ばかり言っていたそうです。

そこでメンタルコーチに問われたのが先ほどの言葉。

「そこに価値あるメッセージはあるの?」

教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術

さらに、このように言われます。

「誰でも言えるよね? でも、あなたたちは指導者でしょ?」

教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術

これ、グサッと来ますね。

英語で子供たちが何かをした時に、英語講師は全く同じことを言うでしょう。

でも、本書では一歩踏み込んで質問をするべきだと伝えています。

「ナイスプレーだったね」と言われ続けるだけではなく、一歩踏み込んだところで「なぜそう思って(感じて)、なぜそのアクションをしたのか?」

教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術

そのことを説明させてもらえる機会が与えられると、そこで彼らは自分を表現できると本書ではお話しています。

これこそが「自分は認められている、自分の意見を聞き入れてもらえている」と感じる方法だと言います。

生徒の行動に対して良い・悪いだけで判断することが多いのですが(テストなんてまさにそれ)、「なぜそう考えたのか?」と問いかけていくことで自分の意見を言えるようにする。

「ベリーグッド」

とだけ言われても、「やった」と思うかもしれませんが、それ以上のものが生徒から出てくることはありません。考えることも、自分の行動を言語化することもありません。


本書では、自分の行動を振り返り、生徒をより伸ばして行ける方法を考えるとても大切な機会を与えてくれます。

ぜひ、一度読んでみてください。

めちゃくちゃオススメです!


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