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私のスペイン900km巡礼記 in 2023春 #20 【18日目】やはり少しでも前へ、ブルゴス大聖堂見学〜タルダボスへ

こんにちは、ナガイです。今日はブルゴスで休養日を取る予定でしたが、最終的にはタルダホス(Tardajos)へ向かうことになりました。
前回の記事はこちら。

天気予報(タルダホス) 晴れ 最高気温17℃ 最低気温3℃

6時頃に他の人たちが出発の準備をする音で起きる。途中何度か目覚めてはいるが、昨日の18時頃からベッドに入ったのでほぼ半日寝ていたことになる。ずっとベッドの上に横たわっていたので腰が痛い。疲労は幾分取れた気がするが昨日から咳が出始めており、やはり今日はブルゴスで休養日を取ることにしよう。
アルベルゲはチェックアウトの時間が早く、ここも8時までには出ないといけない。他の巡礼者たちが出発していくのを見送りながら8時ギリギリまで過ごすことにする。
ベッドの上で今後の予定を確認していると、当初の予定では今日歩く距離は20kmしかないようだ。これなら歩けるか…?と早くも休むことにした決心が揺らぐ。
とりあえず今日最低限しておきたかったスティックの新調とブルゴス大聖堂の見学をしてから、昼頃に体調と相談して最終的にどうするかを決めることにしよう。

8時前にアルベルゲを出発。1階ロビーでペレグリンと会った。彼も2,3日前から喉が痛いとのこと。巡礼者の間で風邪が流行っているようだ。

今朝はとても寒い。歩く時は暑くなるので着ないが、今日はダウンジャケットを着て外に出る。

アルベルゲの目の前にあるバルで朝食を取る。朝食セットがあったのでそれを注文。パン、コーヒー、水、オレンジジュース、フルーツがついて5.50ユーロ。そういえば昨日は夕食を食べていなかった。

バルを出ようとしたところで男性が声をかけてきた。日本人のSさんだ。友の会のガイドブックを持っているのを見て日本人だと分かったらしい。昨日は少し離れた場所にあるホテルで個室に泊まっていたそうだ。正直スペイン巡礼ではあまり日本人と会いたくないと思っていたのだが、MさんもSさんも少し会話を交わしただけで魅力的な人たちだと分かる。二人とも自分より大分年上だと思うが、自分もこういう歳の取り方ができたらいいなと思う。

空はすっかり明るい。いつもならすでに数時間は歩いている時間だ。他の巡礼者は先を進んでいると思うと、少し取り残された気分になる。

アルベルゲの近くにマウンテン&アウトドア用品店があり、10時半オープンなのでそこに行ってみよう。それまで時間があるのでブルゴス大聖堂を見に行くことにする。

目の前にして驚く。これはとんでもない大きさだ。間違いなく今まで見た大聖堂の中で一番巨大だろう。ファサードもこの上なく美しい。

別の方向から見るとまたその大きさがよく分かる。いつまでも見飽きることがない。

ちょうど大聖堂の内部の見学は9時半からと間もなくだったので、大聖堂の周りをぐるりと一周しつつ待つことにした。

9時半になりチケット売場がオープンする。この時間から団体の観光客もいる。通常の入場料金は10ユーロのところ、巡礼者は割引が適用されて5ユーロで入ることができる。クレデンシャルにスタンプをもらう。

大聖堂の中は贅の限りを尽くした豪華な内装だ。ただあまりに豪華すぎてやや食傷気味になる感じは否めない。

30分ほど見学したところで外に出る。いい感じの時間になったのでスティックを買いに店の方に向かう。

Arco de Santa María

ちょうど店がオープンする10時半に到着。よかった、店内にはスティックも置いてあった。

店員の男性が親切にスティックの種類や使い方を教えてくれる。カーボン製の軽くて丈夫なスティックを買うことにした。149.90ユーロ。痛い出費だが、まだ先は長いことを考えれば賢明な判断だと自分に言い聞かせる。

さて、これからどうしようか。アニータからウリーは今日ブルゴスで休養することにしたらしいと連絡があった。今から歩き始めれば16時くらいには20km先の目的地に到着できるはずだ。12時間寝たおかげで肉体的には調子も悪くないし、大聖堂を見てブルゴスはほぼ満足してしまった感もある。よし、歩こう。
人目のつかないところでスポーツタイツを履き、ダウンを脱いで帽子とサングラスを身につける。これが正しい選択かは分からないが、とりあえず自分がやりたいと思ったようにやってみよう。
という訳で11時半前にブルゴスを出発。今までで一番遅いスタートだ。

Arco de Fernán Gonzalez

街中にあまり目印がないのでキョロキョロしながら歩いていると、街の人が「あっちだよ」と方向を指差して教えてくれる。そのすぐ後には、車道を挟んだ向こう側から大声で「ブエンカミーノ!」と言っておじさんが親指を立ててくれた。こうした街の人たちの親切やエールを受けると歩く気力が湧いてくる。ただし、くれぐれも無理はせず、今日は省エネモードで歩くようにしよう。

この時間でもちらほらと他の巡礼者を見かける。自分と同じようにブルゴスを遅い時間に出発したのか、あるいはブルゴスの前から歩いてきたのだろうか。

ブルゴスの中心街を抜け、12時頃にピンク色の教会の前を通る。かわいらしい外観だ。

ブルゴスを抜けると建物はすっかりなくなり、緑と茶色の風景を通る白い砂利道をひたすら歩く。

今日は快晴だが最高気温は20℃には届かない予報で、12時を過ぎてもそこまで暑くならず歩きやすい。

しばらく歩いていると道に帽子が落ちているのを見つける。拾い上げてしばらく歩いていると、男女二人が道端に座っており、女性の方が荷物を漁っている。女性は自分が持っている帽子に気づくと駆け寄ってきて早口のスペイン語で何か話している。「Muchas gracias」だけ聞き取れたので「De nada(どういたしまして)」と答えて彼女に帽子を渡した。なぜか巡礼では困ったことが起こる際、タイミングよく近くに他の巡礼者がいてお互い助け合うという状況に度々なるから不思議だ。

13時半にタルダボス(Tardajos)の村に到着。当初の計画ではここから10km先のオルミージョス・デル・カミーノ(Hornillos del Camino)まで行く予定だったが、大事を取って今日はここで泊まることにする。今日は少しでも前進できただけで十分だ。

着く前に歩きながら調べて当たりをつけておいたアルベルゲに着くが、空いている気配がない。同じ建物の裏手にバルがあったので昼食を食べがてら店の人に聞いてみよう。

ハムとチーズのボカディージョとコーラを注文。5.50ユーロ。カウンターの女性に今日アルベルゲはオープンするか知っているか聞くと、どうやらここはアルベルゲ併設のレストラン兼バルらしく、食べ終わったら声を掛けてほしいと言われた。ボカディージョは分厚くていい感じだ。体調は悪くてもご飯はおいしい。

アルベルゲにチェックイン。宿泊代は12ユーロ。バルが併設しているアルベルゲで、設備も申し分なく居心地がよさそうだ。村にある商店が14時半に一度閉まるようなので先に買い物に行く。スポーツ飲料、のど飴、フルーツジュースを購入。3.45ユーロ。

最近スペイン語が少しずつ上達してきた。日本で覚えてきたスペイン語以外にも「もし可能なら二段ベットの下にしてもらえますか?」とか「アメ売ってますか?喉が痛くて」といった会話ぐらいならできるようになり、やはり実際に使って覚えるのが上達の近道だと感じる。

シャワーと洗濯を済ませ、今日買ったスティックのパーツ交換に挑む。今日買ったスティックの先端には元々金属製のパーツが付いており、アスファルトの上だとカンカンと大きい音が鳴るため付属のゴム製のものに交換したかったのだが、ネジが固く締まっており手で緩めることができなかった。それを見つけたホストの男性が「ついて来なよ」と外に案内してくれ、アルベルゲの前に止めていた彼の車からペンチを取り出してきた。それから共同作業で元々付いていたパーツを外し、付属のパーツを取り付けることができた。一人の客にここまでしてくれる親切心に感動すら覚えた。作業が終わると男性から「君はどこから来たの?」と尋ねられて「日本だよ」と答えると「君は頭がいいね」となぜかほめてくれた。アジア人でここまでスペイン語を話す人が珍しかったのかもしれない。

ベッドの上でゆっくりしていると、同じ部屋になった女の子と目が合ったので会話を交わす。彼女はフランスから来たエノラ。彼女は10代で父親とカミーノに来ており、一度には歩けないので分けて歩いているそうだ。今回が2回目で、前回はサン・ジャンからサンソルまで、今回はサンソルから明日のホンタナス(Hontanas)まで行ったら帰るそうだ。若いうちからカミーノを経験をすることは必ず今後の人生の糧になるだろう。現に彼女は外見こそ幼いが、話していると大人と変わらない落ち着きぶりだ。
19時半過ぎまでベッドの上で安静にしてから、村の教会だけ見に出かけることにする。

自分にとってはこういう質素な教会の方が心安らぐので好きだ。

広場では子どもたちが楽しそうに遊んでいる。

20時にアルベルゲ併設のバルで夕食。一皿目にミックスサラダ、二皿目に牛フィレ肉のステーキ、デザートにアイスレモンケーキを注文。12.50ユーロ。体調は悪くても食欲はある。これで寝て明日起きたら体調がよくなっているといいのだが。

しばらく寝つけず、23時半就寝。

歩いた距離
今日9.8km 合計297.8km 残り482.6km

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