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私のスペイン900km巡礼記 in 2023春 #19 【17日目】ついに体調不良でダウン、世界遺産の大聖堂がある大都会ブルゴスへ

こんにちは、ナガイです。今日はアヘスから人口18万人の大都会ブルゴス(Burgos)へ向かいます。
前回の記事はこちら。

天気予報(ブルゴス) 晴れ 最高気温18℃ 最低気温5℃

夜中0時に一度目が覚める。やはり喉が痛い。しばらく寝つけず、なんとか再び寝てから6時起床。抜かりのないように準備をして7時前に出発。

ここで残り一本のスティックに異常が発生した。一本を盗難に遭って以来、スティックは毎回折り畳んでしまうことにしていたのだが、再び開こうとした時にかかるはずのロックがかからなくなってしまった。今回は試行錯誤しているうちになんとかロックがかかったが、ちょうど今日の目的地のブルゴスは何でも揃いそうな大都市だ。そこでスティックを新調してもいいかもしれない。

外はまだ薄暗い。そして少し肌寒い。なぜか半袖Tシャツに薄手のジャケットという組み合わせで出てきてしまった。次の村で朝食を食べるついでに長袖1枚を重ね着しよう。
あと歩き始めてすぐにお腹が痛くなってきた。こちらも次の村で腹痛薬を1錠飲んでおこう。
今は幸い足にはほとんど何の問題もないのだが、どうやらそれ以外のトラブルに見舞われるフェーズのようだ。

後ろを振り返るとオレンジ色の朝焼けがきれいだ。

7時過ぎにアタプエルカ(Atapuerca)の村に到着。

バルはなかったが、小さな商店があったのでチョコチップのマフィンとオレンジを購入。1.15ユーロ。

道端でマフィンを食べていると猫がやってきた。かわいかったが、うまく写真に収めることができなかった。まだまだ精進が必要だ。

半袖の上に長袖を重ね着し、薬を飲んで7時半過ぎに再び出発。

朝日が昇ってきた。たくさんの羊がいる。

ここから険しい山道に入る。石がゴロゴロしていて歩きづらい。

8時頃に大きな木製の十字架が立つポイントを通過。ちょうどリンジーがいたので、写真撮ってもいい?と言って十字架と一緒に撮らせてもらい、後で写真送るね、と伝えた。修学旅行のカメラマンのような役回りになりたくないため、今回の巡礼では意識的に人の写真を撮らないようにしているのだが、リンジーにはディナーに誘ってもらったり色々とよくしてもらっているので特別だ。

十字架のある場所を越えるとここからは下り坂だ。

山道を抜けると周りに緑の草原が広がる平坦な道をひたすら歩く。今日も天候は穏やかで最高の巡礼日和だ。

9時前にカルデニュエラ・リオピコ(Cardeñuela Riopico)の村を通過。

ずっと歩いているとこういう地味な村は何も考えずに通り過ぎがちになってしまうが、だからこそきちんと覚えておきたいと思い、一つ一つの建物を目に焼き付けるつもりで見ながら歩く。

9時過ぎにオルバネハ・リオピコ(Orbaneja Riopico)の村に到着。

ベンチで休憩し、日差しが出てきたので今朝買ったオレンジを食べがてら帽子とサングラスを身につける。

ベンチに座っていると向こうからウリーがやってくる。喉が痛いんだよね、と話をすると、どうやらウリーも風邪を引いたらしく、鎮痛剤を飲んでいるとのこと。みんな疲労が溜まっている頃なのだろう。ウリーは足も痛めているとのことで、ゆっくり歩く必要があるようなので先を行かせてもらう。

10時過ぎにビジャフリア(Villafría)の村に到着。

するとミアが「今日も追いついたわよ」とでも言いたげに「ハロー♪」とおどけた調子で言いながら颯爽と追い抜いていった。

やはりあまり体調がすぐれない気がするのと、トイレにも行きたかったのでバルで再度休憩する。トルティージャとアメリカーノを注文。3.50ユーロ。

大分楽になった気がするので、10時半過ぎに再び出発。
この村の教会は小さいが面構えがいい。

多くの人が巡礼の難しさとして話すのは、基本的には毎日歩き続けなければならないので、何か怪我や体調不良があってもそれを完治することを待つことはできず、よほどの重傷でない限りは何とか折り合いをつけながら歩き続けなければならないということだ。今まさに身をもってそれを実感している。

ここからはしばらく企業のオフィスや倉庫などの大きな建物が立ち並ぶ広い車道沿いを歩く。

ブリヂストンの大きな工場もあった。後で調べたところではスペインに三か所あるタイヤ工場のうちの一つらしい。

11時半に今日の目的地ブルゴスへ到着。見るからに大都会だ。

通りかかった教会に入ってみると、ちょうどミサが行われていた。そういえば今日は日曜日だ。

Iglesia Santa María la Real y Antigua

しばらく歩くとまた別の教会がある。大きい街の教会は数が多いだけでなく、デザインも意匠を凝らしたものが多い。

Iglesia de Santo Domingo de Guzmán

目当ての公営のアルベルゲはブルゴスの街に入ってからさらに1時間弱歩いたところにある。街の広さもかなりのものだ。

ようやくアルベルゲの近くまで来ると広場はたくさんの人で溢れている。

そして建物の向こうにとてつもなく巨大な尖塔が見える。世界遺産のブルゴス大聖堂だ。後で行ってみよう。

12時半前にアルベルゲに到着。すでにオープンしていたので中に入る。

受付に並んで待っていると、見知らぬ男性が「日本人ですか?」と日本語で話しかけてきた。しばらく英語とスペイン語での会話しかしていなかったところに突然日本語が飛び込んできたので軽くパニックになる。辛うじて「そうです」と答えると、男性は「これから中華料理屋にお昼食べに行こうと思ってるんですよ。それじゃあまた」と言って出かけて行き、これまたぎこちない日本語で「いってらっしゃい」と言って見送った。

順番が来たので受付を済ませる。宿泊代は10ユーロ。ここはベッドが150床ある大きなアルベルゲだ。

シャワーと洗濯を済ませ、歯磨きをしていると先ほどの日本人の男性が戻ってきていたので話をする。彼はMさん。なんと今回がカミーノ3回目で、今日はブルゴス2日目とのこと。5月後半までスペインにいる予定なのでフランス人の道を歩き終えたらイギリス人の道も歩くつもりだそう。カミーノの達人であり強者だ。先ほどMさんも行っていたという中華料理屋が安くておいしいらしいので名前と場所を教えてもらった。
14時過ぎに街へ出る。アルベルゲのあるブルゴス大聖堂周辺のエリアはテラスで飲食を楽しむ大勢の人たちで賑わっている。巡礼をしていて少し感覚がおかしくなっているのだろうが、素直にスペインにはこんなにたくさん人がいたのかと思った。通りかかった教会に入ると、ここでもミサが行われていた。

Iglesia de San Lesmes Abad

ブルゴス大聖堂から離れると急に喧騒は収まる。道には日曜の午後を思い思いに過ごす街の人たちが歩いている。

アルベルゲから20分ほど歩いたところにMさんおすすめの中華料理屋があった。

チャーハンとコーラを注文。Mさんは食べきれない分はテイクアウトにしてもらって夕食にしているそうだが、確かに量が多い。

ただ、ちょうどお腹が空いていたので難なく平らげることができた。そしてめちゃめちゃおいしい。これで6.05ユーロ。ここは自分では絶対に見つけられなかったのでMさんには大感謝だ。

ブルゴスはビルばかりの街かと思っていたら川や遊歩道もある。軽く一周して見ただけたが、都市と自然の調和が取れていて住みやすそうな街だ。

Statue of El Cid

そして鎮痛剤を買いに薬局へ。ナヘラの薬局で少し手間取った経験を思い出して少し緊張するが、今回はスペイン語で言うことを予め入念に準備しておいたのでスムーズに購入することができた。5.29ユーロ。
スーパーは日曜休業のところが多く近くになかったので、ブルゴス大聖堂の近くの商店で水、オレンジジュース、ポテトチップス、アイスクリームを購入。6.60ユーロ。

16時半過ぎにアルベルゲに戻り、ベッドで明日のアルベルゲをどうしようか考えていると、ちょうどMさんが声をかけてくれた。Mさんに昨日はどこに泊まったのか尋ねると、Mさんは昨日もここのアルベルゲに泊まったとのこと。アルベルゲは原則連泊できない決まりだと思っていたが、Mさん曰くコロナ禍の数年でルールが大きく変わったらしい。コロナ禍の前はクレジットカードがほとんど使えなかったが今では使えるところがずっと増えていることや、以前はアルベルゲの予約はできなかったが今は公営でも定員の50%まで予約できるようになっていることなどを教えてもらった。Mさんの感覚では日本にはそういった新しい情報はほとんど伝わっていないだろうとのこと。さらに、他の日本人の巡礼者がお金を盗まれた件について教えてくれた。実は少し前にナタリーからそういう噂があると聞いていたが、本当だったようだ。確かに巡礼を始めてから2週間近く経ち、自分自身でも巡礼慣れというか、気が緩みつつあるのを感じる。改めて気を引き締めるようにしよう。

夜になったらまた街へ出ようと思っていたが、全身に倦怠感があり全く外出する気にならない。今日は休養することに専念して、街へ出るのは明日回復できたらにしよう。

歩いた距離
今日23.9km 合計288.0km 残り492.4km

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