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To 絆

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clasp

clasp

 遺書を書こうか迷う日の海を迎えに行く時のこと。忘れたい人の顔ばかり憎んで、辛くて、思い出す。呪いは並べてひりつくような塩の味。留まれ、留まれ、と打ちつけた針で、あなたが傷ついたことなんて知らない。病気の心のとき、教えてもらったハサミグループの曲を実はまだちゃんと聞いたことがないから、聞いてみる。こうやって、泣けもしないのに悲しくなりたがってしまうのは冷酷だ。でもいつかあなたと蟹を食べに行くのです

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Road to glory

Road to glory

 雨天決行。僕はコンビニのイートインでぷちり、ぷちり、ちぎれたり、契ったり、天使、とセンチメンタルを気取って呟きかけている。お守りに君の髪をちぎって持っていきたい傷つけたことを覚えていたくて、痛くて、なんて言いたくはない、ただ、傷みかけの言葉を文句つけないで食べられるようになりたいだけ。屋上を思い描いた真昼間の空はもちろん青いよ、白々しいくらいでちょっと退屈。それを詩と呼んでしまうのは春だからって

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人類満開計画

人類満開計画

 あなたが悲しいとわたしも悲しい、それってつまり欺瞞ですよね、でもこの場合は自覚の有無が重要で、自覚があるのならあなたはその発言をどうしても胸の内に留めておけなかったことを悔やむべきなんじゃないかと思うし、無自覚だったのならそれは、純粋さとか無邪気さでバッタの脚をもぎ取ったあの日のあなた、という形のひとつの呪いなんですよと思う。あなた、が居て、わたし、が居ると、与える、貰う、貸す、借りる、返す、奪

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Necromance

Necromance

 週刊少年ネクスト・ロマンス五月号。コラム掲載、甦りし日々と凶悪殺人犯・五月病の足跡を辿って。

 なぜ彼らは集まったのか。嫌な奴もいれば、嫌な奴にはなるまいとした奴もいた。一緒にラーメンを食べに行ったり河原町に古着を見に行った奴も居れば、女の子の前で格好をつけたいのかなんかいつもと態度が違うなって感じた瞬間からあんまり楽しく遊べなくなった奴もいた。終わるのだろうか、終わるのだろうな、今は悲しくな

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Love××××

 そういえば、っていえば狡くないような気になれた。新しい夜を更新中、黙って見るには大体叙情に欠ける月と星、街明かり。目が腐れましたって言い訳するから見たくないんだろうと冷ややかに笑うけれど、俺も同じ気持ちだって、素直に言えるように練習したこともあったな微笑ましいことに。 
 あなたが怒っているんじゃないかと震えていたら、案の定あなたは白い目で真っ直ぐ突き刺して、でも誰も彼もあなたみたいに強くはいら

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Broken Moon.

Broken Moon.

 土を踏んでも、空を掻いても、高く飛んでも、這いつくばっても、走って転んで歩いて止まっても、寝ても醒めても、(愛しても恋しても狂っても泣いてもキレても、愛しても恋しても狂っても泣いてもキレても、愛しても恋しても狂っても泣いてもキレても、愛しても恋しても狂っても狂っても狂っても)等しい速度で進んでいる。だから、とか、順接はかったるい、上下前後に右左なんて首が疲れるくらい見渡したでしょ好きにやろうね(

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Diary 2

 梅雨が明けるの待っているんだと思う。どうしようもないことだと諦めていれば、予想通りって顔をして余裕ぶっていられる。イヤホンをなくしたら不安になった。聞こえすぎるのがいやで、聞こえなくなるのもいやだった。アイスを買って帰ると食べる時にはいつも溶けている。夏、すべてがおかしくしくなってしまう。怖いなあ、弱いなあ、辛いなあ、って眺めていたら浸潤していた。

 どんなことも間違っているから不安にならない

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