手術室看護師nana🩺学びのコンパス

年間8000件の手術室での学びと時々息抜き旅の記録* * * 現在は3次救急の市中…

手術室看護師nana🩺学びのコンパス

年間8000件の手術室での学びと時々息抜き旅の記録* * * 現在は3次救急の市中病院で勤務

最近の記事

リフレクションと現代の教育方法

こんにちは。手術室看護師のnanaです。 春は入れ替わりの時期であり,ヒヤリハットやインシデントが増えてないでしょうか?私の部署でも幸いなことに患者さんに影響はなかった小さなヒヤリハットが立て続けに発生しています。 何らかのヒヤリハットやインシデントが生じた後にスタッフ間で振り返りを行うことは多々あると思います。その際にただ反省をするだけの時間にするのではなく,次の行動に繋げられるメリットがある振り返り方法として,リフレクションがあります。 そこで今回は看護リフレクション

    • リアリティショックについて知っていますか?

      こんにちは。手術室看護師のnanaです。 そろそろ部署に新人看護師が研修を終えて配属されてきた頃でしょうか? 私の病院でもついに初々しい新人看護師の皆さんがきてくれました。 さて新人看護師が臨床現場に足を踏み入れる際,多くの場合期待と現実の間にギャップが生じます。この現象は一般的に「リアリティショック」と呼ばれ,看護師としての理想と実際の業務遂行における現実とのギャップによって引き起こされます。 今回は新人看護師が直面するリアリティショックの原因と,それに対処する方法に

      • 知っていますか?アサーティブコミュニケーション

        こんにちは。手術室看護師のnanaです。 今日から新年度ですね。 さて新人さんや中途さんなど新しいスタッフがたくさん入ってきた病院も多いのではないでしょうか。 私の部署でも新たなスタッフが数名入ってきます。慢性的な人手不足なので,大変ありがたい限りです。そんな大切な新戦力の方々を含めて,全てのスタッフが気持ちの良い職場で働くために大切なアサーティブコミュニケーションについてまとめたいと思います。 アサーティブコミュニケーションとは? アサーティブコミュニケーションは,

        • 新人看護師の皆さんへ 

          こんにちは。手術室看護師のnanaです。 明日から新年度ですね。 新人看護師の皆さん,ご入職おめでとうございます。 辛かった実習を終え,国試合格へのプレッシャーにも耐え,ようやく春がやってきたのではないでしょうか。 学生時代の実習とは違い,これからは自分の行った行為全てに責任が生じるようになります。 私自身は入職前の今日,ものすごく不安でいっぱいでした。 もちろん入職してからも常に不安でした。 実習や学生時代に習ったことと,現場とのギャップに苦しむ人もいるかもしれま

        リフレクションと現代の教育方法

          知っていますか?MAC

          こんにちは。手術室看護師のnanaです。 吸入麻酔に調べると必ず出てくる「MAC」というワード。英単語というだけでそれが何を意味するのか嫌煙しがちだと思います。 なので今回は「MAC」についてです。 MACとは最小肺胞内濃度(MAC: Minimum Alveolar Concentration)は,吸入麻酔薬の強さを示す指標であり,麻酔の深さを定量化するための重要な概念です。具体的には,動物実験において外部刺激に対する反応が50%減少する濃度を指します。 もっと簡単

          その抗菌薬は何のために使っていますか?

          こんにちは。手術室看護師のnanaです。 私たち看護師は医師の指示のもと薬剤を準備します。もちろんその薬剤の薬効や副作用はある程度把握していますが,何をターゲットにその抗菌薬を使用しているかご存知でしょうか。 恥ずかしい話,私自身は若手の頃は「感染予防のために抗菌薬を投与する」という大雑把な解釈しかできていませんでした。 なので今回は何をターゲットにその抗菌薬を使用しているか?に焦点を当てたいと思います。 なぜ予防抗菌薬が必要か術後感染症予防はSSI(手術部位感染)の

          その抗菌薬は何のために使っていますか?

          知っていますか?悪性高熱症

          こんにちは。手術室看護師のnanaです。 今回は悪性高熱症についてです。 手術室看護師であれば一度は勉強すると思います。 手術室での勤務経験のない医療職者の方では馴染みのないワードかもしれません。 しかし患者さんの生命に直結する疾患のため頭の片隅に覚えておいて欲しいです。 悪性高熱症とは 悪性高熱症とは全身麻酔中に突然高熱となる常染色体優性遺伝の筋肉疾患です。 全身麻酔症例10万人に1〜2人の頻度で、男女比は3:1で男性に多いと言われています。 死亡率は1960年代

          知っていますか?悪性高熱症

          体温管理の重要性知っていますか? 体温調節機構と薬剤の関係

          こんにちは。手術室看護師のnanaです。 皆さんは手術室内でなぜ体温管理が重要か知っていますか。 手術室看護師であれば、必ず勉強する周術期の体温管理。 今回は周術期の体温管理についてです。 体温の調節機構 ここはちょっと堅苦しい話になるので、苦手な方はざっと流し読みしてください。 言うまでもなくなく人は恒温動物です。 人の中枢温は、視床下部・中脳・延髄・脊髄などを介し極めて狭い温度の範囲内で細かく調整されています。 さらに交感神経・副交感神経が複雑に絡んできます。

          体温管理の重要性知っていますか? 体温調節機構と薬剤の関係

          知っていますか?手術室の仕事 〜手術をするだけが仕事じゃない〜

          こんにちは。手術室看護師のnanaです。 手術室看護師なら誰でも一度はもやっとしたことがある話を今回は書きたいと思います。 私自身は非常にもやっとしていますよ・・・笑 大きな病院に勤めている看護師であれば「応援制度」は耳にしたことがあると思います。 その名の通り、看護師の人数が足りていない部署や、忙しい部署に「応援=お手伝い」に行く制度です。 患者さんが困っているわけですから、応援に行くのは当然と言えば当然なんです・・・ ご飯の介助や、おむつ交換、体位交換などを行う

          知っていますか?手術室の仕事 〜手術をするだけが仕事じゃない〜

          可能性のある命の最期の時間を延ばすために

          こんにちは。手術室看護師のnanaです。 今回は救命の砦でもあるPCPSについて書きたいと思います。 前回の急変時の対応でもPCPSは出番がありました。 COVID-19が流行した時にはよくニュースなどでもECMOという呼び名で報道され、医療関係者でない方でも、耳にする機会は多かったのではないかと思います。 医療関係者であっても、循環器や心臓外科、ICU、ER、OPEに関わりの少ない看護師やコメディカルの方は馴染みが少ないかもしれません。 PCPSはpercutan

          可能性のある命の最期の時間を延ばすために

          予測できなかった急変

          こんにちは。手術室看護師のnanaです。 前回は術中の急変対応の中でも、イベントが生じた後に予測し、対応ができた際の話をしました。 いわば良く対応できた一例です。 どんな急変に対しても予測し、速やかに対応できたことに越したことはありません。 もちろん医師を含め、医療者は日々進歩する医療に対して、そしてさまざまな不測の事態に対応できるように日々勉強しています。 しかし現実には予測不能な展開へと発展してしまうことがあります。 今回は予測できなかった急変が起きてしまった

          急変が多い日々…

          こんにちは。 手術室看護師のnanaです。 最近写真とは無縁なくらい日の目に当たるのは出勤時のみというほど、仕事がばたばたと忙しい日が続いています。 これまでに手術室看護師の役割などについて書いてきましたが、抽象的な内容が多かったと思います。 なので実際に私が経験した急変とその時の対応について次回書き出してみようと思います。 もちろん守秘義務や医療倫理等々もあるので、具体的なことは書くことはできませんが、現場のリアルな状況を少しでも知っていただければ…と思っています。

          手術室看護師のストレスに対する対処方法

          こんにちは。手術室看護師のnanaです。 前回は看護師のストレスの要因に焦点を当てたので、その対処方法を考えたいと思います。 1.手術室看護師の高度な専門知識とスキル 1.継続的な学習と専門知識の向上 手術室看護師として、高度な臨床判断力と専門知識が不可欠です。手術の種類や状況に応じて、異なる看護アプローチが求められ、最新の医療情報に追随することが求められます。 医学書籍や医学雑誌の継続的な研究:手術技術、医療機器、新たな治療法などの最新情報にアクセスする習慣を身につけ

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          看護師のストレス要因〜病棟看護師と手術室看護師〜

          こんにちは。 手術室看護師のnanaです。 今回は病棟看護師と手術室看護師のストレス要因について考えてみたいと思います。 病棟看護師と手術室看護師のストレス要因 看護師は医療現場において不可欠な存在であり、患者のケアと安全を担当します。しかし、彼らの仕事は常に高度なストレスに晒されており、その中でも病棟看護師と手術室看護師は特に高いレベルの責任を負っています。この記事では、病棟看護師と手術室看護師が経験する可能性のある主要なストレス要因に焦点を当て、それぞれの要因を詳細に

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          実はよく知られていない手術室看護師の仕事〜外回り看護師〜

          こんにちは。 手術室看護師のnanaです。 前回は器械出し看護師に焦点を当てたので、今回は外回り看護師の役割と重要性について焦点を当てたいと思います。 手術室外回り看護師とは? 手術室外回り看護師は、手術室に入る前後の患者さんのケアを専門的に担当する看護師のことを指します。手術の前、患者さんとのコミュニケーションをとり、手術中や手術後の状態をモニタリングし、患者さんの安全と快適さを確保します。 1.患者さんとの最初の接点 手術室外回り看護師は、患者さんと最初に接する医

          実はよく知られていない手術室看護師の仕事〜外回り看護師〜

          実はよく知られていない手術室看護師の仕事 〜器械出し看護師〜

          こんにちは。 手術室看護師のnanaです。 看護学校の実習生を担当することが先日ありました。 学生さんと話をする中で、 「ドラマで手術の場面を見ることがあるので、器械を渡したりするのはわかるが、それ以外の看護師の仕事って具体的に何がありますか」 と聞かれました。 医療系のドラマのおかげで、手術室看護師が認知されつつあることは大変嬉しい限りです。 実際に某医療ドラマでの器械出しシーンを見て、手術室看護師に憧れ、希望して配属になった新人さんもいます。 手術室看護師の仕

          実はよく知られていない手術室看護師の仕事 〜器械出し看護師〜