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知っていますか?アサーティブコミュニケーション


こんにちは。手術室看護師のnanaです。


今日から新年度ですね。
さて新人さんや中途さんなど新しいスタッフがたくさん入ってきた病院も多いのではないでしょうか。

私の部署でも新たなスタッフが数名入ってきます。慢性的な人手不足なので,大変ありがたい限りです。そんな大切な新戦力の方々を含めて,全てのスタッフが気持ちの良い職場で働くために大切なアサーティブコミュニケーションについてまとめたいと思います。

アサーティブコミュニケーションとは?



アサーティブコミュニケーションは,自分の意見を主張するだけでなく,相手の意見も尊重しながら健全なコミュニケーションを築く方法です。ジョセフ・ウォルピ氏によって開発されたこの手法は,1949年以来,人間関係やビジネスのコミュニケーションにおいて重要視されています。

アサーティブコミュニケーションのメリット


お互いを尊重し合うことで関係を改善し,信頼感を築くことができます。これにより,チーム全体の連携が向上し患者のケアに繋がります。

また,意見や情報が明確に伝わるため,ミスや誤解を防ぐことができます。これは患者の安全を確保する上で非常に重要な点であると言えます。

なかなか自分の意見を言いづらい環境にある場合,アサーティブコミュニケーションを活用することで,自己主張することによるストレスや不安を軽減することができます。



ものすごく堅苦しく書きましたが,簡単に言うと

・本当に必要なこと,伝えたいことを適切に伝えれるようになる
・気持ちよく自己表現ができるようになる
・自分はストレスを溜め込まず,相手にもストレスを与えないコミュニケーションが取れるようになる


ことがメリットであると言えます。


なぜアサーティブコミュニケーションが重要なのか


日本の文化では,集団重視や他者への配慮が重んじられる傾向があります。個人主義や自己主張が抑制される傾向があり,そのためアサーティブな振る舞いが難しいと感じる人が多いと言われています。

また従来の日本の教育では,集団の中での調和や協調性が重視されます。そのため,自己主張や議論する能力よりも,他者との良好な関係を築く能力が強調されることがあります。

そして日本のコミュニケーションスタイルは,暗黙の了解や間接的な表現が多い傾向があります。そのため,直接的な意見や感情を表現することに抵抗を感じる人が多いのではないでしょうか。
正直私自身も直接的に意見や感情を話すことは苦手です・・・

アサーティブな行動は時にリスクを伴う場合があります。集団の中での調和や協調性を大切にするように教育されてきた人たちは,失敗や他者との摩擦を避けるために,無難な行動や意見を選びがちと言われています。

これらの要因が複合的に影響し,日本人がアサーティブな行動を取りにくいという傾向が生まれることがあります。しかし,近年では個人主義や自己表現の重要性が認識されるようになりつつあり,アサーティブなコミュニケーションスキルを身につける動きも見られます。

そのためアサーティブコミュニケーションは,看護師や医療従事者にとっても非常に重要なスキルであり,日常の業務において積極的に取り入れることが求められます。




アサーティブコミュニケーションで大切なこと


アサーティブコミュニケーションで大切なことは4つあります。それぞれの特徴と具体例を挙げていきたいと思います。

1. 誠実 (Integrity)

誠実なコミュニケーションは,相手を尊重しつつも自分の意見を隠さずに述べることを指します。この柱では,自己主張だけでなく,相手の立場や意見も受け入れることが重要です。


例:後輩看護師が処置で小さなミスをした時に先輩看護師が声をかける場面

非アサーティブな場合
「あの患者の処置,ちょっと違うような気がしたんだけど,私だけかな?」

アサーティブな場合
「昨日の患者の処置,ちょっと疑問があったんだけど,今度時間のある時に一緒に振り返りをしてみない?」



2. 率直 (Directness)

率直なコミュニケーションは,自分の気持ちや意見を素直に表現することを意味します。攻撃的な言葉や余計な感情を排除し,明確で正直なコミュニケーションを心がけます。

例:看護師が医師の指示に疑問を感じている場面

非アサーティブな場合
「この指示,ちょっと変だと思わない?でも,何も言えないよね。」と,同僚同士でのみ会話している。

アサーティブな場合
「先生,この指示なんですが今の患者さんの状況は◯◯◯なんです(指示の状態と少し違う状況を伝える)。もう少し詳しく教えていただいてもいいですか?」と,直接医師に伝えに行く。


3. 対等 (Equality)

対等なコミュニケーションは,すべての関係を平等に扱うことを指します。立場や権力の違いに関係なく,お互いを尊重し,力関係に左右されずに意見を交換します。

例:新人看護師が上司の指示に疑問を持っている場面

非アサーティブな場合
新人同士の会話の中で「でも私たちはまだ経験が浅いから,何も言えないよね。」と話して終ってしまう。

アサーティブな場合
直接上司に「すみません,◯◯◯についてわからない点があります。もう少し詳しく教えていただだいてもいいですか?」と聞きに行く。


4. 自己責任 (Responsibility)

自己責任の柱では,自分の意見や感情に責任を持ち,適切なコミュニケーションを行うことが求められます。自分の信念を貫き通す姿勢が重要です。


例:看護師が他のスタッフのインシデントを発見した場面

非アサーティブな場合
「あのインシデントは私には関係ないよ。他の誰かがやったんじゃない?」と同僚に話している。

アサーティブな場合
「すみません。先ほど私が発見したインシデントについて報告をさせてください。」と上司に報告に行く。




医師や上司,他職種との連携役となることが多い看護師は,適切なバランスを保ちながら患者のために自己主張することが求められているます。そのため患者により良い医療を提供するためにアサーティブコミュニケーションは大切であると思います。

アサーティブなコミュニケーションを実践することでミスや誤解を減らし,より健全な人間関係を築きチーム全体の効率性と効果性を高めることにつながると思います。

少しでもスタッフ全員がアサーティブコミュニケーションを心がけて,皆が気持ちの良い職場で働けるようになるといいですね。



最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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