リフレクションと現代の教育方法

こんにちは。手術室看護師のnanaです。

春は入れ替わりの時期であり，ヒヤリハットやインシデントが増えてないでしょうか？私の部署でも幸いなことに患者さんに影響はなかった小さなヒヤリハットが立て続けに発生しています。

何らかのヒヤリハットやインシデントが生じた後にスタッフ間で振り返りを行うことは多々あると思います。その際にただ反省をするだけの時間にするのではなく，次の行動に繋げられるメリットがある振り返り方法として，リフレクションがあります。
そこで今回は看護リフレクションの定義，プロセス，そして現代の教育方法との関連についてまとめたいと思います。

看護リフレクションの定義と意義

看護リフレクションは，過去の経験や行動を振り返り，学びや成長を促すプロセスです。これは，看護師が日常的に行う活動や対話を客観的に見つめ直し，質の向上を図る手段となります。看護リフレクションを実践することで，看護師は次のようなメリットを得ることができます。

・経験の再確認

過去の経験を振り返ることで，看護師は自身の行動や意思決定に関する新たな洞察を得ることができます。これにより，同様の状況に再び遭遇した際により適切に対処することができます。


・感情の理解

リフレクションを通じて，看護師は自身の感情や反応を客観的に評価し，その背後にある理由を理解することができます。これにより，ストレスや感情のコントロールに役立ちます。

・プロフェッショナリズムの向上

リフレクションを通じて，看護師は倫理的なジレンマや専門的な責任について深く考える機会を得ます。これは，看護師としてのプロフェッショナリズムを向上させるのに役立ちます。

看護リフレクションのプロセス

看護リフレクションを行うためにはいくつかの方法があります。今回はGibbsのリフレクションプロセスのステップについてまとめます。

1 経験の記述・描写

過去の経験や出来事を客観的に記述し，事実を整理します。これにより，看護師は客観的な視点から状況を再確認することができます。

2 感情の分析

自身の感情や反応を振り返り，その背後にある理由や影響を考えます。これにより，感情の管理やストレスの軽減に役立ちます。

3 評価

出来事や自身の行動を客観的に評価し，それらの評価を根拠として考えます。これにより，行動の適切さや改善点を特定することができます。

4 分析

事象や感情の背後にある理由やパターンを分析し，深層の理解を深めます。これにより，同様の状況に対する理解が深まります。

5 総合

これらの要素を総合し，新たな理解や視点を得ます。これにより，より幅広い視野で問題を見ることができます。



6 行動計画

得られた洞察を基に，将来の行動や対応方法を考え，具体的な行動計画を立てます。これにより，同じ失敗を繰り返さずに改善されたアクションを実行することができます。

看護リフレクションの必要性

看護リフレクションは，単なる技術や知識の習得だけでなく，倫理観やコミュニケーション能力の向上にも繋がります。現代の医療環境では，患者のニーズが多様化し，チーム医療の重要性が高まっています。そのため，看護師が自己成長を促すリフレクションを行うことは，医療サービスの質を向上させるうえで不可欠です。

現代の教育方法との関連

現代の教育方法は，アクティブラーニング，フレキシブルな学習環境，問題解決能力の育成，コミュニケーションの重視など，さまざまな特徴を持っています。これらの特徴は，看護リフレクションを実践する上での基盤となります。

・アクティブラーニング

学習者は自ら問題解決や実践的な活動を通じて学ぶことを促されます。看護リフレクションも，自己の経験から学び，実践を改善するプロセスです。

・フレキシブルな学習環境

オンライン教育の普及により，学習者は時間や場所に縛られることなく，柔軟な学習が可能となりました。看護師も，自己成長のためのリフレクションを自身のスケジュールに合わせて行うことができます。


・問題解決能力の育成

現代の教育は，単なる知識の収集だけでなく，問題解決能力や批判的思考能力の育成にも重点が置かれています。看護リフレクションは，問題解決のための洞察を得るプロセスとして重要です。

・コミュニケーション

チーム医療の重要性が高まる中，学習者は他の専門職との協力やコミュニケーション能力を養う機会が増えています。看護リフレクションも，チーム内でのコミュニケーションや協力を向上させることに役立ちます。


・エビデンスに基づく実践

医療の分野ではエビデンスに基づく実践が重要視されており，教育もそれに沿った内容が提供されています。看護リフレクションも，最新のエビデンスやガイドラインを参考にして実践を改善するプロセスです。

これらの特徴は，看護リフレクションを効果的に実践するための基盤となります。看護師が自己成長と専門性向上のためにリフレクションを行う際には，これらの教育方法を活用することが重要です。

看護リフレクションは，看護師の成長と看護の質の向上に向けて不可欠なプロセスです。現代の教育方法との統合により，看護師はより効果的な学びと成長を促すことができます。
起きてしまったヒヤリハットを責めることは誰にでもできることです。しかし責めるだけでは，負の感情しか生まれません。リフレクションを用いて振り返りの時間を有意義なものとし，少しでも私たち看護師の成長と，看護の質の向上に繋がればいいなと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。