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本屋大賞のノミネート作品を全部読んでわかったこと

昨日、津村 記久子さんの「水車小屋のネネ」を読了しました。2024年本屋大賞の一次投票を通過した全10作品を読み終えたことになります。
どの作品も楽しく読めました。

全部読んで思ったのは、書店員さんは大変だなということでした。10作品は、ミステリーあり、少年少女向けあり、ファンタジーありと多種多様です。
僕は新人小説家として勉強の意味もあって全作品を読みましたが、一般読者だったら自分の好む本だけを読んだと思います。

本屋大賞の二次投票を行うには、ノミネートされた10作品を全部読まないといけません。
投票した書店員さんは、それぞれ好みもあるでしょうが、好みとは別に10冊を全部読んだわけです。
本屋さんの勤務形態にそこまで詳しくはないですが、本屋大賞の本だからといって、勤務時間内に「読書タイム」を設けてはいないと思うんですよね。プライベートの時間を使って読破したのだと思います。
書店員さんは本が好きな人が多いと思いますが、それでも自ら好きで選んだ本を読むのと、決められた10作品を読むのでは、モチベーションが違うんじゃないですかね(アマチュアが書いた玉石混交の小説を大量に読む、新人賞の下読みも大変な仕事ですよね)。

しかも投票するためには、全作品のコメントを記載するのがルールです。しかも記名式。批判コメントが公開されることはないと思いますが、良いコメントは、本屋大賞を特集する「本の雑誌」に掲載されるから油断できません。

さらに、ベスト3を決める作業があります。本屋大賞は、書店員さんが売りたい本を選ぶというコンセプトなので、他の賞よりは決めやすいかもしれませんが、全く異なるジャンルの本に順位をつけるのはやはり苦労することでしょう。

僕も全作品からベスト3をつけようとしましたが、なかなか大変でした。ジャンルが異なる本に順位をつけるのは難しいです。

本屋大賞が長い間運営されて、小説に注目が集まるイベントが開かれているのは、こうした全国の書店員さんの苦労があるからです。
ありがたや。

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