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算数の教材研究で役立った本 4選

ごきげんよう。私立小学校教員のとみんです。
今回は算数専科として採用された自分が、初任の頃に購入して役立った本を4冊紹介します。

板書で見る 算数シリーズ

 定番中の定番です。筑波大付属が出版している本で、教科書にリンクした各教科の授業案を1時間ごとに紹介しています。
一番おススメできるポイントは、算数・数学で学ぶ抽象的な概念を、具体的な活動を通して楽しみながら学べる工夫が沢山記載されていることです。
例えば、6年生の相似の単元では、以下のような授業案が提案されていました。
・6年生算数 「拡大図・縮図(相似)」
【マス目を使った拡大図・縮図の作図】
マス目を使った拡大図・縮図の作図はマス目を数え、機械的に作業をしなければなりません。子どもにとってあまり楽しい活動ではないでしょう。
せっかくなら書けるようになるだけでなく、作図を楽しみながら活動に参加してほしいですよね。本書では、マス目を使って四角形の拡大図・縮図を作図し、それを重ねることで何か気が付くことがないかを問いかけています。
なんだかわかりますか?

答えは、等しい比の図形は一本の直線で結ぶことができる、ということ。
大人目線だと当たり前かもしれませんが、子ども達にとっては大きな発見になります。これは教科書にも書いてありませんし、塾でも習う機会は少ないでしょう。

等しい比の図形は一本の直線で結ぶことができる

自分がこれを参考にしながら授業をしたときは、子ども達から「うわ、すげっ!」って声が上がったのが印象に残っています。

ただ知識として学ぶだけでなく、授業を通して楽しみながら学習する。
子ども達にとって充実した学びになると思います。
授業準備に必要なものも少ないため、気軽に真似できるのも魅力の1つですね。
ただし、ベテラン教員が考えた授業案なため、何も考えずに実践すると収集がとれなくなるときがあります。参考にしつつ、必要に応じてアレンジする姿勢は必要ですね。

・算数科 授業づくりの基礎・基本

坪田耕三先生の著作です。
この本はすごいですね。この本一冊で算数科の教材研究は事足りるかもしれません。1年~6年までの算数科においての指導方法や単元にまつわる深い話が多く載っています。
子ども達がアッと驚く豆知識や、教師も知らない数学の知見が多く書かれており、これ一冊極めるだけで、算数科のプロと名乗ることができるといっても過言ではないような気がします。(自分はまだできていません笑)
教員生活のおともにこれほど心強い本は他に存在しないと思います。
本当におススメです。

・算数好きにする教科書+シリーズ

同じく坪田先生の著書です。この本は、「算数科 授業づくりの基礎・基本」よりも、具体的な指導案が書かれています。
実際に坪田先生が指導した実践が書かれているため、読んでいて非常に面白いです。特に単元ごとの導入としては非常に面白い授業アイディアが書かれています。
例えば、拡大図・縮図では、ペントミノを使ってパズルをし、拡大図とは何か、本当に同じ角度になるのか、面積は何倍になるのか、など体験しながら学ぶことができます。

他にも直線を書く練習として、同じ数字を3つ結ぶと直線が曲線のようになる、といった指導アイディアや

カードゲームを通してじゃんけんをし、仮分数と帯分数の基礎を遊びを通して学べる活動が書かれています。
とにかく授業していて楽しいです。子どもも教師も楽しめる、そんなアイディアが山ほど詰まっています。
ただ、板書シリーズと違って、授業準備に時間のかかる内容が多いため、ある程度余裕のある時に実践してみると良いでしょう。

・通常学級で役立つ 算数障害の理解と指導法

ディスカリキュアに焦点を当てた本です。
何故、この子は筆算ができないのか、どうしたらそれができるようになるのか。題意をとらえることが難しい、立式ができない。様々な子どもが抱える困難さについて、解決策を提案しています。
この本の素晴らしいところは、算数障害ではないけど、算数が苦手な子たちへの支援法としても非常に優れているということです。
自分も筆算の習得が難しい子への指導として、本書を参考にしました。
視覚優位な子も入れば、聴覚優位な子もいる。図やイラストで理解することが得意な子もいれば、箇条書きされた言葉を読みながら理解するのが得意な子がいる。様々な認知特性を持つ子ども達の指導法がこれでもか、と思うほど書かれています。
一斉授業でつまずいてしまった子どもへの支援方法の引き出しとして、本書を読むことをお勧めします。

・終わりに

今回は初任の頃に役立った本を4冊紹介しました。今回は指導方法に焦点を当てた本を多く紹介したため、次回は算数・数学の教科理解に役立った本を紹介しようと思います。

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