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第4章#33 保護者アンケートの活用

もくじRemake『ホワイトな学校へ』

(約2800字)

地区の教育委員会の方針で、学校関係者評価の書式が決まっていました。
(地区によって、またはコミュニティスクールなどは、外部評価を取り入れているところもあります。)

手順は…
年度当初に、学校経営方針を示す

2学期末頃に、教員の自己評価、児童の満足度調査、保護者アンケート等を行う

その結果を示して学校関係者に評価をしてもらう

年度末に報告書としてまとめて教育委員会に提出する

公表

やらなければならないことは、義務的にやるのではなく、最大限に活用します。



学校関係者とは…

私の勤務校の場合、学校評議員に評価をお願いしていた。

学校評議員制度とは、文部科学省によれば、以下のとおりである。

勤務校では、地域の有識者、元民生児童委員、町会関係者、学校応援団長、元PTA会長、現PTA会長の皆さんに、学校評議員をお願いしていた。


学校関係者評価の書式に極力合わせる

地区教育委員会から示される学校関係者評価の書式には、その年度の重点施策が盛り込まれている。
効率的で、効果的に活用するために、私は、この学校関係者評価を軸にいろいろなものを連動させた。

学校関係者評価書式
≒保護者に示す学校経営方針
≒先生方に示す学校経営方針(≒先生方の自己申告)
≒私の自己申告(ということは、教頭先生の自己申告も)
≒保護者アンケートの項目

こうしてすべての項目を学校関係者評価の書式に合わせることにより、地区教育委員会の施策をもれなく学校経営で実施し、それを評価でき、自己申告の評価の根拠にすることができる。


年度初め

先生方と学校評議員の皆様には、以下のように学校経営方針を示す。
大きな項目と、その年度の重点施策は、地区教育委員会が最初から入れているので、それに本校の取組を加えて示していく。
地区教育委員会のその他の施策も網羅するのが肝要である。

具体的な取組の右隣が、数値目標。その右には、年度末に向け、「自己評価」「学校関係者評価」「次年度へ向けての改善策」を記入していく。

先生方や職員は、この中から自分の職務に関係するものを選んで、自己申告の当初申告に記載する。

保護者向けには、「具体的な取組」の内容を、もっと細かく具体的に示したものを、学校経営方針として配布する。⇊⇊

そして、管理職の自己申告も、これと同じ項目で作成する。
私の場合、連動していることがわかりやすいように、通し番号の○数字も同じにしていた。
評価の根拠が一目瞭然である。


2学期末の保護者アンケート

これも、もちろん通し番号を同様につけておく。
年度初めに保護者に配布した取り組み項目の文言を、質問形式にして作成する。
アンケートは、こんな感じ⇊⇊


保護者アンケートの活用

そして、保護者アンケートの集計結果は、学校関係者評価と自己評価の参考にするだけでなく、回答を作成し、学校だよりの増刊号として、必ず保護者に配布していた。
この回答の配布は、保護者が日ごろ聞きたくてもなかなか聞けないことや、学校として保護者に伝えたくてもなかなか伝える機会がないことについて、敢えて伝えることができるとてもよい機会である。

例えば、特別支援教育

このアンケートの見方は、特別支援教育に関わっている子供の保護者については、8割を超える方に満足いただいているが、それ以外の半数以上の保護者がよくわからないという状況。
特別支援教育については個別のことが多いので、敢えてこのように取り上げることにより、多くの人が知らないという事実やその手続き方法など、毎年触れておくことができる。


保護者の意見の捉え方

例えば、子供たちの挨拶について。

挨拶については、「⑬体験的活動」の中の取り組み項目に入れているが、8割を超える(「わからない」を除くと9割以上)肯定的評価である。

左が保護者の意見、右が学校から

しかし、保護者の自由意見には、「自分から挨拶できる児童がほとんどいない。」と書いている人もいれば、「しっかり挨拶できているので安心している。」と書いている人もいる。
このような、相対する意見は、敢えて両方載せるようにしている。

ここから考えられることは、多くの保護者は、子供たちの様子と学校での指導を肯定的に捉えてくれているということ。
でも、挨拶ができていないと感じている保護者もいるわけなので、そのように感じる保護者が少しでも減るよう努力は続けるべきなのだということ。
その努力の方向性としては、「学校での取り組みを理解してもらい、保護者、地域ぐるみで改善したい」ということである。
学校からの回答として載せることで、学校の考え方、具体的な取組を伝えることができる。


一喜一憂しないこと

保護者からのアンケートに、きつい言葉が書いてあると、気持ちがなえてしまうこともあると思います。
しかし、数値からわかるように多くの保護者の皆様は、日々一生懸命子供たちに向き合っている先生方を、応援してくれています。
何も書かれていないということは、言いたいことがないのだと、肯定的に受け止めたいものです。

実は、初年度に、ここに△で示してあるご意見ばかりを載せて、アンケートの回答を示したら、翌年から、わざわざ良いことを書いてくれる方が増えました。
良いことばかりは載せられないので、先程のように反対意見とともに載せたり、このように回答したりしています。⇊⇊

左が保護者の意見、右が学校から

保護者アンケートに書かれている意見に回答することで、学校の方針を伝えるよい機会とすることができます。
肯定的に受け止めることで、改善のきっかけにすることができます。

ありがたいことです。


アンケート結果をとおして、信頼関係を築く

以上のような年度末に取るものだけでなく、普段から保護者にアンケートを取ったら、必ず集計して、回答とともに示すこと。

例えば、保護者に運動会のアンケートを取ったら、意見を集約し、先生方の反省のまとめとともに検討して、次年度の計画を立てる。
そうしたら、なるべく早い段階で、その結果を保護者にもお知らせすることが大切。
そこには、取り入れられることは取り入れたということ、不可能なことにはその理由をきちんと回答として示す。
保護者の意見に対し、真摯に向き合っていることを分かってもらうことができ、その繰り返しが信頼関係につながっていく。

最初に校長として着任した学校で、運動会アンケートの結果をまとめた手紙配布したら、ある保護者に、
「先生方は、アンケートをちゃんと読んでいてくれたんですね。初めて知りました。そうであれば、今度からもっときちんと書きます。」
と言われた。

きょうだいが多く、その小学校に長くかかわっていたその保護者は、私が異動するまでの間、ずっと、アンケートにたくさんの意見を書いてくれた。
先生方への、ねぎらいの言葉もたくさん。

嬉しいことである。


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