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第4章#32 ダメダメではダメ

もくじRemake『ホワイトな学校へ』

(約3000字)

教員の処分発令が、毎月のように公表されています。
自治体内の全教員数は、6万人。
自治体内で起きる服務事故は、毎年約300件。
約0.5%。これが、なかなか0になりません。

処分発令は月2回。
その度に先生方に情報提供し、教訓として服務指導に活用することで、毎月2回ずつ、研修会を行えます。

管理職には、子供たちと先生方を守る義務がありますが、服務事故を起こしてしまった先生を守ることはできません。
普段から、管理職が服務事故防止を呼び掛けることで、先生方を守ることにつながることが期待できます。

私は、校長になる前、教育行政の服務事故を扱う部署で働いていました。

それを踏まえて、服務事故をなくす(減らす)ためには、こうしたらいいのではないか、と一定の考えがまとまったので、そのことについて書きます。

皆さん、実践していると思いますが、ご参考までに。



ダメダメでは、ダメ

子供に対しても同じだと思うが、望ましくない行動をやめさせたいとき、「ダメ」ではなく、どういう行動をとればいいか具体的に示すとよい。(これも、行動科学か何かであった気がするが、私の場合、経験則)

例えば、後ろを向いている子に、「後ろを向いてはいけません。」ではなく、「前を向いてください。」あるいは、もっと具体的に、「黒板を見てください。」「黒板のめあてを読んでください。」と言えば、自分が今とるべき行動を理解させることができる。

大人だって同じ。


個人情報はどうやったら紛失しないのか

誰でも物をなくしてしまうことはある。それが子供たちに関わる個人情報だった場合には、服務事故になる。

「個人情報をなくしてはいけない。」ことは、皆わかっている。これを、先ほどの具体的な行動に置き換えると…

私は、まず、印刷室にあったシュレッダーを職員室の入口に移動した。その上で、
子供の名前が書いてあったら、みなここでシュレッダー。

子供の個人情報書類は、職員室で、手渡し。

職員室の金庫に保管してある個人情報は、職員室内で作業。

テスト、作文等は、学校で採点。
(どうしても持ち帰りたいときは、持ち出し簿に記入する。戻したら確認を受ける。ただし、許可を受けていたとしても、個人情報を入れたかばんをなくしたら、服務事故となるので、注意!)

テスト等個人情報を含む文書を返却、配布するときは、名前を確認しながら本人に手渡し、その場でカバンに入れさせる。

これらを守れば、個人情報をなくしようがない。

さらに、私が勤務していた学校の場合、もしも個人情報をリサイクルに出してしまった場合でも、最後の砦があった。
リサイクルペーパーは、用務主事がすべてチェックするので、そのまま外に出てしまうことはない。

パソコンのデータは、管理職から専用のUSBを借りないと持ち出せないので、データの紛失はまずない。


体罰、不適切な指導はどうやったらなくなるのか

「体罰、不適切な指導をしてはいけない。」ことは、皆わかっている。

子供の名前は、「さん」づけで呼ぶ。授業中は、「です。」「ます。」をつけて丁寧な言葉づかいで話す。

アンガーマネジメントができるようにする。感情的に怒らず、諭す、考えさせる。具体的には、

叱りたくなったら、隣の子を誉めてみる。
それでもだめなら、丁寧な言葉づかいで、叱る。
(丁寧な言葉づかいだと、結構怒っていても不適切には聞こえない。子供にも伝わりやすい。)

行動を止めるための、一喝はよい。その後、深呼吸する。
(叱るだけなら、不適切な指導ではない。その後、感情的になって怒り続け、暴言を吐くから不適切な指導になるのだ。)

他の子供への被害を防ぐため、暴れる子を押さえたいときは、子供の後ろから両腕で、両肩を抱え込むようにする。

など、体罰にならない方法を教える。

そして、職員同士で協力する方法。

怒鳴り声が聞こえたら、近くにいる人は、駆け付ける。

誰かの姿が見えることで、落ち着くことができるし、それでもおさまらないようだったら、駆け付けた先生が止めればよい。

こうやって、実際、いざというときの具体的な行動を示しておくと、あまり腹も立たないようである。
逆に、これらの行動がとれるということは、感情が高ぶっていないということだから、体罰は起きないのである。

ただ、管理職としては、沸点の低い教員を把握し、個別に指導しておく必要はある。


お酒がらみの服務事故

先ほどの、個人情報を持ち出してなくしてしまうという例としては、お酒を飲んでの置き忘れが多い。
個人情報、持ったら飲むな、飲むなら持つな。

個人情報を、持ち帰る日は、どこにも寄らず、まっすぐに帰宅する。


お酒がらみの服務事故として毎年のように起こっているのが、専有離脱物横領。
終電を逃して、タクシーもつかまらず、家に向かって歩いていたら、捨てられていると思われる自転車を見つけ、乗っているところを警察官に職務質問されて、御用…。お決まりのパターン。

そもそも、飲酒して、自転車に乗ってはいけない。
そして、実は、専有を離脱しているか、していないかは微妙なのである。
その、つい乗ってしまった自転車が、家の塀際に停まっていたとか、ライトが点いたなどの場合、これは、専有を離脱しているとは言えなくなる。
どういうことかというと、専有を離脱していない自転車に乗ってしまったら、窃盗ということになる。窃盗であれば、懲戒免職。
専有を離脱しているかしていないかなど、酔っ払っている状況で判断できるとは思えない。
だから、飲み過ぎは厳に慎まなくではならないのだ。

泥酔して電車に乗ると、他の危険性もある。
それは、濡れ衣を着せられることがあるということ。痴漢の疑いを掛けられても、記憶がなければ状況の説明もできない。

これを、具体的な行動で言うと、

飲み始める前に、終電の時刻を確認する。
飲み過ぎそうな人がいたら、同僚が止める。
どうしてもたくさん飲みたいなら、家飲みにする。


お酒好きの人、仕事を失いたくなかったら、ほどほどにしましょう。


対応の要諦

子供から聞き取りをするときは、複数対応する。
あとで、言った言わないというトラブルなどを避けることができる。

部屋のドアを開けて対応する。
濡れ衣を着せられないようにするため。

そして、
危ない、やらかしたかな…と思ったら、速やかに管理職に報告すること。

全てが処分にあたるわけではない。厳重注意(措置といわれる類)で済む場合も多い。隠して、それが後で見つかると罪が一段階重くなる。
本人は隠したつもりでも、どこからか漏れ伝わってしまうものである。


管理職は、報告を受けたら、日時、場所、状況を詳しく確認し、記録します。
関係者がいたら、関係者からも詳しく聞き取ります。
地区の教育委員会には、速やかに一報を入れましょう。
それこそ、すべてが処分に当たるわけではないので、報告をためらわないことです。


もっとも大切なのは、心のゆとり

そして、管理職としては、先生方が心のゆとりをもてる職場環境=ホワイトな学校、になるよう努めることです。

心にゆとりがあれば、落ち着いて個人情報を扱うことができ、子供たちに穏やかに接することができ、浴びるほど飲む必要もなくなるはず、です!


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