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第2章#22 一人一人を見よう~本当に「みんな」ですか?

もくじRemake『ホワイトな学校へ』

(約1800字)

Y先生に、「校長先生は、行動科学を勉強されたんですか?」と聞かれたことがある。
#20でお話した 「ほめほめ作戦」は、学説として提唱されているらしい。
私の場合、すべて経験則だったのだが、「行動科学」という裏付けができた。

今回は、「子供たちの見方」について。

よく、「児童の実態を把握する」と言われるが、具体的にどのように把握すればいいのだろうか。
大切なことは、全体としてなんとなく見ないで、一人一人をよく見ること。



本当に「みんな」ですか?

「この学級はうるさい。」「みんなやる気がない。」
などという言葉を耳にすることがある。
本当に、全員がうるさいのですか?
本当に、全員がやる気がないのでしょうか?

逆に、「みんなできていました。」という場合もあやしい。
わからないと言えずに、黙って困っている子もいるのではないでしょうか?


一人一人を見る癖をつけよう

例えば、授業を始めようとしたとき、全体がざわざわとうるさい感じがしたとする。
しかし、一人一人をよく見れば、きちんと先生のお話を聞こう、授業に取り組もうとしている子が必ずいるはず。
それなのに、全体に向けて「静かに!」と怒鳴ったら、もともと静かにしている子も一緒に怒鳴られてしまうことになる。

そこで、例のほめほめ作戦を使う。
まず、その当たり前にきちんとできている子たちを認めて、評価する。
口先だけで褒めても子供たちは見抜いてしまうので、事実を正当に評価する。
「Aさん、話を聞く姿勢ができていますね。」
その一言で、多くの子が気づいて話を聞く姿勢になる。
それをまた評価する。
これを繰り返せば、先生は、最後まで気づかずにいる数名を指導するだけでよい。

一人一人を見ることは、授業を進める上でも生活指導をする上でも、必須である。
子供たち一人一人を大切にすることにつながり、先生のその姿勢は、子供たちにも伝わる。

もちろん、悪いことをしたらきちんと叱ることは必要だ。
しかし、ただ叱るだけでは、ましてや怒鳴り続けたのでは何も伝わらない。
子供たちには、「先生に叱られた」ということしか残らない。
何がいけなかったか、どうすればよかったかを、その子自身にきちんと考えさせること。
そして、行動が変わったら、すぐに評価する。

多くの子供は、先生に注目してほしいと思っている。
私たちはどうしても、騒いでいる子に目が行って、その子が黙るまで注意をし続けるなんてことをやりがち。
褒めることより叱ることを優先すると、先生に構ってほしい子は、悪さを続けるようになる。
先生方が注意をし続けている間、最初からきちんとしている子は、待ち続けることになる。
悪さをしている子は先生に注目され、授業を受けようとしている良い子は我慢を強いられるという矛盾が生じる。
どちらにしようか迷っている子は、先生に注目してもらうために悪の道を選ぶようになる。
ますます騒ぐ子が増える…という負のスパイラルに入る。

叱り続けると、疲弊する。
褒める、認める方が、自分も子供たちも、互いに気分がよい。
先生が、叱り続ける代わりに褒める(=正当に評価する)ことを優先すれば、多くの子供は褒められる方を選び、学級は落ち着いていくはず。

個別に要因を見る

それでもなかなか改善しない子については、その要因を個別に見ていく必要がある。
特別支援が必要な子であれば、心理士等の専門家と相談しながら、その子にあった指導法を考えていく。

そうではなく、改善しない場合は、その子ときちんと話し合ってみよう。
勉強がわからないだけだなく、自分の感情をうまく言葉にできない場合や、勉強に気持ちが向かない原因が、学校以外のことにある場合もある。
(これらの話、詳しくはまた、別の機会に)

また、子供によっては、担任ではなく他の先生への方が話しやすい場合もある。
担任一人で抱え込まず、学校の子供全員を、全教職員で見る、その意識と体制も大切。(これもまた、別の機会に)


個々の行動を記録しよう

そして、個々の行動は、こまめに記録しておくとよい。
方法はなんでもいいが、私は、週ごとの指導計画を自作し、右側のページに学級の児童の出席番号を書いて、毎週一人一つ以上の主に望ましい言動をメモすることにしていた。
「係活動の様子」など、テーマを決めて書くこともある。
1日を振り返って何も書けない子は、私がその子を見ることができていないということ。
木曜日までに書けなかった子を、金曜日に重点的に見たり話しかけたりしていた。
こうすると、子供に公平感が伝わるし、通知表の所見に困らないのでおすすめである。


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