マガジンのカバー画像

詩 ≒ poetica

6
綴りなしたすべての詩を網羅...奏集編✧
運営しているクリエイター

記事一覧

傷|詩

傷|詩

欠けたカケラは
わたくしの
薬指の白い爪

爪先の端は
甘く鈍い切れ味の
ちいさな刃に化けた

浅い睡りのはざまで
掻り 掻り 掻り 掻り
肌を掻き

容赦もなく心無く
いたずらに肌身
傷つくる

ベッドサイドの白色ランプは
然も人工の月よろしく
嫋やかに光って

仄か
照らしだされた手腕の
しらじら幽けく浮かびあがるわ

あゝ

滲んだ
血の玉が潤めく
傷から涌きいずルビーのやうに

photo

もっとみる
星衛り|詩

星衛り|詩

たとえるなら

宇宙空間に

.

漂流する



一個の衛星

*.

なんだよ

.
*

.
.*

ほぼ

.*

おんなし周期で



まわるよまわる

.

ほぼ

*.

おんなし衛星

.

なきかな

.
*

.
.*

あろかな

.

い つ ま で


*

飛 ん ぼ

.

星衛り

*.

飛 ん ぼ

.
*

.
.*

もっとみる
母味|詩・随想百感

母味|詩・随想百感

母味は

吾が子においしい

こころ味

下手に上手くて

おいしかろ

心身はぐくむ

根源よ

料理名人とて

およばぬさ

母味は

吾が子においしい

こころ味

photo & poetica by...十阿弥阿世

〜 随想百感 〜

思いだしたら
ほほ笑ましくて、
食べたら無性に懐かしい...

そんな

ぬくもる感じに包まれる、
自分のために作られた
手料理の記憶...

あるので

もっとみる
逢 瀬 坂|詩

逢 瀬 坂|詩

振る袖からまり

逢ふたが仕舞ひの

百年目

をみな盛りを

君ヶ坂

のぼせて暮れる

婀娜えにし

閨の暗す間

甘き言なら

縄の罠

憂き身つひやし

七つ吐息に

美も死ぬる

撫ぜる手に

情けもなくて

男人こそ

思はぬ愛染

かえりみて

かなし君

断つ

衣々あした

切に惜しくや

さようであらば

photo & poetica by...十阿弥阿世

言、葉らり、、、。| 三聯詩

言、葉らり、、、。| 三聯詩













































もっとみる
ヱッセンス:詩

ヱッセンス:詩

豐かな水から一掬を

手皿に滿たしたなら

指の隙から泪のやうに

したたり落ちてゆくけれど

汲みとれた

その僅かさこそが

ヱッセンス

御惠みの

一滴

photo & poetica by...十阿弥阿世