あずき

ライター。元派遣社員。スキルと経験を武器に企業を渡り歩くこと10年。時間を切り売りする…

あずき

ライター。元派遣社員。スキルと経験を武器に企業を渡り歩くこと10年。時間を切り売りする非正規という働き方に見切りをつけ、フリーランスに転向する。好きなことを追求し、ストレスフリーな日常をつづる。

最近の記事

あの日のこと

「血肉になるまで練習するしかないです」。 本番までに歌詞を暗記する、ラップ漬けの一週間が始まった。はたして結果は。 世田谷パブリックシアターが主催する「地域の物語2024」のワークショップに参加した。今年のテーマは、「ラップしようぜ!~コロナの日々をふりかえる」。その発表会は、忘れられない体験となった。 本番一週間前。思うようにすすまない。練習してもスラスラ覚えられないのは、歌詞に納得してないからだろう。そう思って、何度も歌詞に手を入れた。ああでもない、こうでもない。ふと

    • ビートに乗せて

      絵を描く、ピアノを弾く、文章を書く……。表現することが好きで、演劇ワークショップがあれば参加する。狂言やシェークスピア劇などいろいろやった。だが、いつもその場限りで物足りない。 世田谷パブリックシアターは、演劇プロジェクト「地域の物語」を主催する。年に一度の発表会つきワークショップで、一般人が舞台作品をつくりあげる。今年のテーマは、「ラップしようぜ!コロナの日々をふりかえる」。コロナ禍に感じたことをラップにして披露する、という企画である。 発表会は3月16日。ラップなんて

      • 作家デビュー乞うご期待! ~クロスワードパズルをつくる~

        何故だろう。 パズルやゲームは好きじゃない。解いていて楽しいと思わない。「解く」というのは、一見、能動的な行為である。しかし「1+1=2」と答えるのと変わらない。あるべき答えを探すだけの行為に「創作」の余地はなく、受動的でつまらない。 だが自分で「作る」となると話は別だ。 区立中央図書館が主催する講座、「作って楽しい!解いて楽しい!クロスワードパズル」(全2回)に参加した。作り方を教わり実際にやってみると、解くより楽しい。 教えてくれたのは、パズル雑誌編集長、株式会社

        • 生きとし生けるものが幸せでありますように~はじめてのバードウォッチング~

          自宅のベランダにはヒヨドリがやって来る。ある時はカップルで。またある時は親子で。羽を休められるよう、餌台をつくり、砂糖水をあげている。シジュウカラ、ムクドリ、キジバト。スズメがプランターで砂浴びをしていたこともある。カラスには、物干竿にかけてあった針金ハンガーを全部持っていかれた。まさか巣の材料を提供することになるとは……。野鳥は見ていて飽きない。 しかし、本格的なバードウォッチングはしたことがない。ある日、「多摩川でバードウォッチング」という案内を見つけた。主催するのは(

        あの日のこと

          あらたなライフワークと出会う ~エンジン01in市原~

          「エンジン01(ゼロワン)」の名前だけは知っていた。しかし著名人の集まりで、自分には関係ない、と思っていた。正式名称は「エンジン01文化戦略会議」。「日本文化のさらなる深まりと広がりを目的に参集したボランティア集団」である。林真理子、堀江貴文、茂木健一郎、……。かつては日野原重明氏もメンバーだったそうだ。 ある朝、エンジン01の年に一度のオープンカレッジが開かれると知った。1月26~28日の3日間、帝京平成大学千葉キャンパスなど、市原市内で140のプログラムが実施される。日

          あらたなライフワークと出会う ~エンジン01in市原~

          道の開き方 ~ストピデビュー~

          あんな風に弾いてみたい。ストリートピアノを弾く番組があるとつい見入ってしまう。公共の場に置かれた、自由に弾けるピアノをストリートピアノ、略してストピと言う。いつの頃からか、ストピをサラッと弾ける人になりたい、と憧れを抱くようになっていた。 子どものとき、練習が嫌でピアノをやめた。そのことが何十年も引っかかっていた。やっぱり、もう一度やりたい。諦めきれぬ思いが飽和に達し、一昨年春から、大人のピアノ教室に通っている。そして、昨年春は、新しいことにチャレンジしようと、クラシックか

          道の開き方 ~ストピデビュー~

          趣味の効用について考える~書道展に出品して~

          「賞をとっていましたよ」。東京都美術館の展示室前で友人と再会した。 「上手く書けていましたからね」。書道の師でもある彼女からこう言われ、耳を疑う。 書道展に出品した。貞香会が主催する年に一度の総合書展。受付でもらった出品目録の、半紙部、一般部入賞者、「特選」の欄に自分の名前がある。賞など皆目期待していなかったので、棚から牡丹餅が落ち、瓢箪から駒が飛び出た瞬間だった。 昨年5月、友人が地元の十条で、念願の書道教室を始めた。彼女のチャレンジに感化され、月に1度、十条に通ってい

          趣味の効用について考える~書道展に出品して~

          死してなお生きることば ~相田みつを美術館閉館に寄せて~

          「次は28日からだっけ?」 「申し訳ございません、当館は28日をもって閉館いたします」 「え?」 これは、美術館の入り口で交わされていた、客とスタッフとのやり取りである。 有楽町の国際フォーラムにある相田みつを美術館が2024年1月28日に閉館する。奇しくも今年はみつをの生誕100年。開催中の企画展のチラシには「次回」の文字がある。来月から「生誕100年記念 特別企画展」が始まるはずだった。 ホームページで発表されたのは1月9日。閉館のわずか20日前である。「東京国際フォ

          死してなお生きることば ~相田みつを美術館閉館に寄せて~

          ~ドバイ紀行~ みんなゲストでみんなキャスト 

          ドバイは巨大なテーマパーク。これが初めてドバイを訪れた印象である。観光開発が進み、安心して滞在できるアラブの都市で、リゾートとして完成されている。「中東のインド」や「中東の香港」といった異名を持つが、どこを見ても、新しく作られた建物ばかりが並ぶ。市場やモスクはショッピングモール、渡し舟はアトラクション。美しい日の出や夕日さえもショーの一部に感じられた。 最初に訪れたのは歴史地区。ガイドブックには「アラブの歴史が最も感じられる」とあり、期待して出かけた。歴史的な建物は、砂漠の

          ~ドバイ紀行~ みんなゲストでみんなキャスト 

          世界とつながるボロ市

          「犬も歩けばまな板にあたる」 「来年のアレ買いました?カアレンダーです」 下手なダジャレは、世田谷のボロ市で見かけたキャッチコピーである。 一日に20万人が訪れるこの市の歴史は、安土桃山時代にさかのぼり今年で445年になる。毎年12月と1月、それぞれ15日と16日の二日間ずつ開かれ、東京都の無形民俗文化財に指定されている。骨董品や古着だけでなく、日用品・装身具・玩具・植木など数多くの露店が並ぶ。この地に越してきて20年になるが一度も行ったことがない。今年の開催日は金曜と土曜、

          世界とつながるボロ市

          真に理解するために ~東京ジャーミィトルコ文化センター訪問記~

          ドバイ行きが近づいてきた。正月休みを利用して夫の単身赴任先を訪れる。はじめての中東訪問を前に、イスラム教への理解を深めておきたい。小春日和の日曜日、代々木上原にあるモスクに行くことにした。 正式名称は、東京ジャーミィトルコ文化センター。サイトには「年中無休」「予約は不要」「信徒以外の方もお気軽に」とある。写真撮影も基本OK。人の集まる場所で、これほど規制がないのも珍しい。敷居の低さに感心し、ガイドツアーに参加してきた。 建物はモスクと文化センターの二つに分かれている。文化

          真に理解するために ~東京ジャーミィトルコ文化センター訪問記~

          セレンディピティのつかみ方~子ども食堂体験記~

          偶然の連鎖。幸運な偶然。こういうのを何と言ったかしら。Googleで検索すると、目当てのワードがすぐに出てきた。そうそう、セレンディピティ。あらためてその意味を確認する。「偶然をきっかけに幸運をつかみ取ること」。たとえとして、万有引力やペニシリンの発見があげられる。人類に役立つ偉業と比較にならないが、「世田谷子ども食堂・上馬」との出会いも、偶然に導かれた幸運だった。 話は少しさかのぼる。この夏、災害ボランティアに参加した。以来、世田谷区の災害ボランティアコーディネイターとし

          セレンディピティのつかみ方~子ども食堂体験記~

          身銭を切るという選択

          「自分に遣ったお金は返ってくる」。 これは林真理子著『成熟スイッチ』の一節である。自己投資をすすめる項で、こうつづく。「知的好奇心を満たすために遣ったお金はすべて、遣った人の教養の一部になる」。ファーストクラス、着物、歌舞伎、オペラ、相撲、一流店での食事。すべて肥やしになっている、と著者は言う。果たして、これは一般人にも当てはまるのか。試しにオペラに行ってみた。 5月の日比谷、ミッドタウンでのこと。友人と休日のランチをすませて店を出る。広場のステージではまもなく「オペラ名曲

          身銭を切るという選択

          利他のこころを育てるために ~災害ボランティアに参加して~

          臨時のメルマガが届いた。「急募」とある。世田谷ボランティア協会からだ。来週 末、2 泊 3 日で秋田市水害支援のためのボランティアバスを出すらしい。東日本大震災 は海外にいたので経験していない。あるのは「防災意識の低さ」だけ。これは現場を 肌で感じ、危機意識を高めるチャンスになるかもしれない。初ボラ、初秋田、予定な し。応募以外の選択肢はなかった。 個人で災害ボランティアに参加するのは、技術面、費用面ともにハードルが高い。 しかしベテランと一緒に行動できる団体なら参加が容

          利他のこころを育てるために ~災害ボランティアに参加して~

          無知の知で破れるか ~はじめての電気風呂~

          「きょう、プールの帰りにお風呂屋さんに寄ってこない?」。 風呂好きの夫が一時帰国した。前から決まっていたプール行きに加え、銭湯という+αを提案してきた。銭湯なんて久しぶり。断る理由がなく、プールに近い「八幡湯」へ行ってみた。 薬湯、水風呂、ジャグジー、サウナ。古い銭湯の割には種類が豊富だ。一人が腰かけられるほどの電気風呂もあった。何やら壁に効能書きのようなものが貼られてあるが、文字がかすれていて読めない。なんだか感電しそうで怖い。それに誰も浸かってない。興味がわかずスルーし

          無知の知で破れるか ~はじめての電気風呂~

          非所有で気づく幸福 ~ミニマリストへの道~

          第一木曜に届けられる赤いパッケージ。中にはスタイリストが選んでくれた服が入っている。トップス、ボトムス、ワンピース。今月はどんな服に袖を通せるのかな。 時代は所有から消費に変わりつつある。そんな中、先延ばしにしていたことがあった。洋服のサブスクを始めること。この夏、重い腰を上げ3カ月のお試しコースに申し込んだ。 サブスクとはご存知「サブスクリプション」の略。モノではなくレンタルというサービスを購入する。手に入れたものは、トキメキ、ワクワク、時間、自信。手放せたものは、箪笥

          非所有で気づく幸福 ~ミニマリストへの道~